京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を見る 更新日:2017.04.27
寺院を彩る、現代の絵師が描く襖絵の世界
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
京都は国宝や重文など貴重な文化財の宝庫で、見どころに事欠きません。とりわけ古くから文化の中心であった寺院には文化財が多く残されていますが、一方で現代の文化財も誕生しています。同じ時代を生きる絵師の息吹を感じられる襖絵を鑑賞してみませんか。
現代の風が吹き抜ける門跡寺院の大広間
しょうれんいんもんぜき
青蓮院門跡
「粟田御所」と呼ばれる青蓮院は、古くから皇室との関わりが深い天台宗寺院。境内は宸殿をはじめ小御所や華頂殿、好文亭などの雅やかな建物が並びます。中でも大広間である華頂殿の60面の襖を、ブルーを中心としたビビッドな蓮の花が彩ります。
2005年に完成したこの襖絵は、日本のロックイベントプロデューサーとして注目を集めるキーヤンこと木村英輝氏によるもの。「蓮 –青の幻想 生命賛歌 極楽浄土」と題されたこの襖絵は、伝統的な襖絵で用いられる本金や岩絵具、漆といった画材ではなく、アクリルガッシュやネオ・カラーなど現代の画材で描かれています。現代アートでありながら、格式ある寺内の雰囲気と美しく調和しています。
基本情報 | |
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所在地 | 京都市東山区粟田口三条坊町69-1地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「東山」駅より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-561-2345 |
URL | |
拝観時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00(16:30最終受付) ※春・秋に夜間ライトアップを開催 |
休日 | 年中無休 |
料金 | 大人500円 |
禅寺で女性染色家が描いた幻想的な世界
けんにんじ(こじょいん)
建仁寺(小書院)
栄西禅師が建仁2(1202)年に開いた京都最古の禅寺。多くの文化財を保有しており、書院では琳派を代表する絵師・俵屋宗達の「風神雷神図屏風」(複製)、法堂天井では小泉淳作画伯による「双龍図」を目にできます。
2014年秋に完成した16面に及ぶ小書院の襖絵「凪」「舟出」は、穏やかな水面の風景が独特のタッチで描かれています。この襖絵は栄西禅師八百年大遠諱事業の一貫として、染色作家として活躍する鳥羽美花さんが手がけたもの。日本古来の型染技法を用いて染め上げており、「舟出」は青を基調に静かな湖を浮き立たせ、その裏面にあたる「凪」は水辺の静けさをモノトーンで表現しています。美しい禅庭から光が差し込み、幽玄の世界へ誘われるようです。
※襖絵は寺内行事により拝観できない場合あり(公開日は要確認)
基本情報 | |
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所在地 | 京都市東山区大和大路四条下ル小松町584地図 |
アクセス | 京阪「祇園四条」駅より徒歩約7分、市バス86・202号系統ほか「東山安井」より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-561-6363 |
URL | |
拝観時間 | 3月~10月 10:00-17:00(16:30受付終了)/11月~2月 10:00-16:30(16:00受付終了) |
休日 | 4/19・4/20・6/4・6/5 ※その他法要のための拝観休止日あり |
料金 | 大人500円 |
小野小町を想って描かれた華やぎの襖絵
提供元:随心院
ずいしんいん
随心院
真言宗善通寺派の大本山。平安期の女流作家・小野小町が余生を送った場所と伝えられ、境内には小町ゆかりの化粧井戸や恋文を埋めた文塚などが残されています。また境内の梅園には「はねずの梅」を中心に、約230本もの梅が例年3月に見頃を迎えます。
はねず色と呼ばれる鮮やかな薄紅色を基調とした襖絵「極彩色梅匂小町絵図」は2009年に完成したもので、境内の「能の間」で目にすることができます。4面からなるこの襖絵は京都の絵描きユニット「だるま商店」の作品で、小町の生涯を描いています。中には春の「はねず踊り」の様子が描かれた場面もあり、往時の香りが匂い立つような感覚に包まれます。
基本情報 | |
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所在地 | 京都市山科区小野御霊町35地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「小野」駅より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-571-0025 |
URL | |
拝観時間 | 月曜日~日曜日9:00-17:00(16:30最終受付) |
休日 | 年中無休 ※寺内行事で拝観休止の場合あり |
料金 | 大人500円 |
燃え盛る命のような朱に魅せられる襖絵
提供元:宝厳院
てんりゅうじ ほうごんいん
天龍寺 宝厳院
宝厳院は臨済宗大本山天龍寺の塔頭寺院のひとつで、春・秋に特別公開されます。江戸後期の京都名園案内記『都林泉名勝図会』にも掲載された「獅子吼(ししく)の庭」は、嵐山を借景とする回遊式庭園で紅葉と巨岩の配置が見事。
特別公開時に限って目にできる本堂の襖絵「風河燦燦三三自在」は、2008年に完成した洋画家・田村能里子さんの作品。58面にも及ぶこの襖絵は麻布キャンバスにアクリル絵の具で描かれており、深みのある朱色がその特徴。命が宿り燃えている色をイメージし、観音菩薩の化身として現世に現れた33人の老若男女が描かれています。仏教の世界を力強く描かれた作品を目にしていると、心まで温まるようです。
※春の特別公開:2019年3月16日~2019年6月下旬(予定)
基本情報 | |
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所在地 | 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町36地図 |
アクセス | 嵐電「嵐山」駅より徒歩約3分、JR「嵯峨嵐山」駅・阪急「嵐山」駅より各徒歩約10分 |
電話番号 | 075-861-0091 |
URL | |
拝観時間 | 特別公開期間中の月曜日~日曜日 9:00-17:00(本堂襖絵は16:30最終受付) |
休日 | 通常非公開 ※春・秋の特別公開期間に限り公開 |
庭園 拝観料 |
大人500円 ※本堂参拝(襖絵)は別途500円要。本堂は法要等により参拝できない場合があります |