京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を遊ぶ 更新日:2017.11.02
体験できる伝統工芸、京からかみ新施設
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
寺院や離宮、茶室、料亭などの襖・壁紙に使用され、現在京都で数えるほどの工房でしか作られていない伝統工芸品"京からかみ"。その一つである「株式会社丸二」が、京からかみを体感できる複合施設「唐丸(からまる)」を今年8月にオープン。職人の指導のもと気軽に体験できると注目を集めています。
からまる (きょうからかみまるに)
唐丸(京からかみ丸二)
「唐丸」を運営する「株式会社丸二」は、襖・表具・壁紙などインテリア内装に関わる材料卸と施工・表装を行う企業で、京からかみの製造販売元でもあります。もともと唐(中国)伝来の細工紙を唐紙と呼び、のちに襖紙そのものがからかみと呼ばれるそうになったそう。伝統的な木版摺りの技法による京からかみは、日本の感覚を反映した文様が印象的。同社ではその技法を現代に伝承すべく、2010年より京からかみのミニチュア版体験キットKARAKAMI KITを考案・販売。古くから伝わる版木文様をそのまま縮小して彫り上げ、実際の唐紙と同じ原料・工程で手軽に手摺りの風合いが体感できます。
KARAKAMI KIT体験コース | |
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料金 | 1人 1,800円(税込) ※当日予約2,100円(税込) |
所要時間 | 約1時間 |
定員 | 12名(1名~体験可) |
唐丸(京からかみ丸二) | |
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所在地 | 京都市下京区高辻通柳馬場西入泉正寺町460地図 |
アクセス | 阪急「烏丸」駅・地下鉄烏丸線「四条」駅より各徒歩約8分 |
電話番号 | 075-361-1324 |
URL | |
営業日 | 火曜日~土曜日 10:00-17:30(体験受付【1】11:00~ 【2】14:00~ 【3】16:00~)※【2】は土曜日のみ。詳細は公式サイトで確認を。 |
休業日 | 日曜日・祝日・月曜日、正月・お盆期間 |
コース概要説明
体験スペースに入るとあらかじめ道具が用意されていました。まずは今回の体験について、講師より概要の説明を受けます。今回は"KARAKAMI KIT"を用いて、ポストカード作りに挑戦します。
唐紙解説ムービー鑑賞
続いて「唐紙」に関しての解説ムービー(約7分)を鑑賞します。唐紙に使われる版木の木材、和紙、絵具などの紹介の後、職人さんによる襖紙の制作風景も。短時間で伝統の技の一端に触れることができます。
KITデモンストレーション
体験で使用するKARAKAMI KITはポストカードサイズで、気軽に唐紙の世界を体験できるもの。どのように使うか講師がデモンストレーションを行います。このキットは2010年から販売(各柄22,000円税抜)も行っています。
好みの版木を選んで制作開始
牡丹唐草や梅の丸、光琳大波など全9柄ある文様の版木から好みの版木を選び、いよいよ制作開始!初めに手にしたのは鳳凰蝶唐草の優美な文様。徳の高い君子が帝位につくと出現するとされた鳳凰と、長寿を意味する蝶を組み合わせた吉祥文様です。
摺り色とカードの色を選択
刷り色はシルバーとゴールドの2色から、カードは10色以上から好みの組み合わせを選びます。きらめきが美しい調合顔料は、雲母(キラ)と布糊とを独自に調合したものだそう。
版木に絵具を塗って摺り上げる
版木を濡れタオルで湿らせ、刷毛で柔らかいゴムパッドに調合顔料を塗り、版木にポンポンと色をのせていきます。上からカードを載せて指で柄をなぞるように摺り込みます。二度摺りが最大の難所。片面ずつカードの紙を持上げて、もう一度ゴムパッドで色をのせて指で摺り込むと完成します。
時間内で自由に追加制作
体験時間内(1時間)であれば、複数枚のカードを制作可能!版木の柄やカードの地色を変えると、幾つものパターンのカードができます。写真は"大雲"の文様。このような大柄は余白が多い分、摺り込む際に力を均等にしなければならないため、難易度が高いそう。
ポストカード完成
今回は3枚のポストカードを制作しました。多い方だと1時間で10枚も作られたケースがあるそう。自分の手で作ったカードは感動もひとしお。大切な方へのメッセージカードに使いたいですね。
ショップスペースを見学
体験後は隣のショップスペースを見学。壁面にはモダンな印象の唐紙のウォールパネルや、漆を組み合わせた珍しい唐紙のパネルなどが飾られています。身近な動植物がモチーフとなった、お土産にもぴったりなスタンプ(1つ1,188円税込)もずらりと並びます。
初めての体験で、版木に均等に色を載せて優しく摺り込むのは、簡単なようでコツがいる!と感じました。今回作ったポストカードは、自室に飾ってインテリアにしています。/写真は株式会社丸二 代表取締役の西村和紀さんと。