京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を遊ぶ 更新日:2018.03.08
一貫制作を行う工房で、和染紅型の世界を体感
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
琉球王国時代に生み出された華麗な染物・紅型(びんがた)。その紅型と京都を代表する染物・京友禅を融合させて生み出したものが「和染紅型」です。京都では珍しい一貫制作を行う工房で、染の世界を体感してみませんか。
くりやまこうぼう
栗山工房
紅型の華麗な美しさと京都の感性が調和する「和染紅型」を手掛ける栗山工房。右京区北部、周山街道(国道162号)沿いの梅ヶ畑にあります。沖縄で紅型に魅せられ、修業を積んだ初代・栗山吉三郎氏が1952年に京都で開いた工房です。より特徴のある作品を目指し、分業制が多い京都の染色業界にありながらも、工房内での一貫制作・手仕事を守り続けています。さらに若い職人の育成にも積極的に取組み、現代の感覚を取り入れたもの作りにも挑戦しています。
多様な工程を垣間見られる工房見学は充実の内容。「和染紅型」の世界に触れた後は、初心者でも手軽に染め体験ができます。
工房見学とテーブルセンターの紅型染め体験 ※3日前までに要予約 | |
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料金 | [工房見学]大人1名1,800円(オリジナルお土産つき・税込) [テーブルセンターの紅型染め体験]1名1,000円(税込) |
所要時間 | 約1時間30分(工房見学含む) |
定員 | 12名(3名~受付) |
栗山工房 | |
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所在地 | 京都市右京区梅ヶ畑高鼻町23地図 |
アクセス | JR西日本バス 周山行・栂尾行「高鼻町」・市バス8号系統「高鼻町」より各徒歩約5分 |
電話番号 | 075-861-9660 |
URL | |
営業日 | 月曜日~金曜日 10:00-18:00 ※工房見学・体験は10:00-12:00・13:00-16:00 |
休業日 | 土曜日・日曜日・祝日、お盆・年末年始 |
受付・作品鑑賞
受付を済ませて工房へ入ると、早速彩色作業を行う職人さんの姿が目に入ってきました。入口付近には「和染紅型」の工程に関するパネルや参考作品が展示されており、その独特な色調に魅せられます。(写真はイメージ)
図案・型彫りの見学
「図案・型彫り」工程から順に、製作の現場を巡っていきます。紅型は専用の型紙を用いて染める「型染め」の技法です。こちらでは約5000枚の型紙を保有し、モチーフは花鳥風月や古紅型の写しなど実に多彩。
糊置きの見学
「糊置き」では、生地に型紙をあてブルーの防染糊(もちのり)を置きます。この糊を置いた部分が染まらない箇所になるそう。型の正確な位置を保ちながら、こまベラを手早く均等に動かす職人さんの技が見事!
彩色の見学
続いて、乾燥させた生地の彩色工程へ。挿し刷毛で模様となる部分に色を染めます。ひとり一反を担当し、配色のバランスは個々の職人の感性が活かされています。生地の裏までしっかりと彩色されているのが印象的。
糊伏せの見学
模様部分の彩色後は、地色の彩色工程へ。その前に模様部分に地色が移らないよう、上から伏せ糊で覆います。(写真は、伏せ糊のひび割れを防ぐため、糊の上を挽き粉で覆った状態)
水元の見学
幅広の刷毛で地染めを行った後は、染料を定着させるために生地を蒸します(蒸し工程のみ専門工場で実施)。その後、工房内にある洗い場で、生地についた余分な染料、顔料、防染糊を水で洗い落として完成です。
テーブルセンターの柄を選択
工房見学を通して「和染紅型」の世界に触れた後は、初心者でも約30分で制作可能な「テーブルセンターの紅型染め体験」にチャレンジ!椿や猫、フグなど約8種の柄から好みのものを選びます。
色挿しの説明
体験では、予め糊置き・地入れが済んだ状態からスタートするので、早速彩色工程へ。まずは色挿しの説明を受けます。刷毛を生地にこすりつけるように塗るのがポイント。色の境界部分はやわらかく滲ませるという技も。
顔料で自分好みに彩色
今回は松竹梅の柄を選択。彩色見本を参考に、6色の顔料から好きな色を組み合わせて塗っていきます。
ドライヤーで乾かして終了
全体の彩色を終えたら、ドライヤーで全体をざっと乾かしてこちらでの作業は終了です。
オリジナルグッズの見学
体験スペースでは、「和染紅型」を用いたオリジナルグッズを購入することができます。写真左は優しい色調が夏の強い日差しを和らげてくれそうな日傘(25,000円~)。他にもバッグなどの服飾雑貨があります。
自宅で糊を落として完成
自宅に持ち帰ったテーブルセンターは、1日以上乾かしてからぬるま湯でブルーの糊部分を洗い落とします。軽く搾って乾燥させ、アイロンをかけると完成です!
今回の体験では工房の中を見学させていただいた後、自分用にテーブルセンターを染めました。色の境目を滲ませるのが難しかったですが、自由に染めていけるので色合いを考えながら楽しく作ることができました! /写真は栗山工房 専務取締役の西田裕子さんと