京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を遊ぶ 更新日:2019.05.16
現存する唯一の京こま工房で制作体験
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
京土産として、縁起物として親しまれる京こま。通常の日本こまは木を削りだして作りますが、京こまは綿紐(色染めをした木綿糸の束)を竹芯に巻き重ねて作ります。現存する唯一の京こま工房「雀休」で受け継がれてきた伝統の技法で、自分だけの京こま作りに挑戦してみませんか。
じゃっきゅう
雀休
宮廷の女性たちが色鮮やかな着物布を竹芯に巻いて作った「お座敷独楽」が「京こま」の起源と伝わります。しかし、時代の変遷の中で一度は途絶えた伝統工芸の京こま。それを復活させ、伝統の技法を今に受け継ぐのがここ「雀休」です。また、同店では定番のこまに限らず、京野菜や祇園祭の山鉾を象ったこまや、ミニチュアサイズのこまで作ったアクセサリーなど日夜新しいこまを生み出し、その魅力を発信しています。
京こまの製法の特徴は巻くこと。「雀休」では製造工程の多くが手作業で行われており、体験では職人と同じ工程で京こまを作りができます。本物の伝統工芸に触れる貴重な体験を、旅の1シーンに加えてみては。
京こま工房見学&制作体験 | |
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料金 | 1名2,500円(税込) |
所要時間 | 約1時間 |
定員 | 1名〜10名 |
備考 | ※対象年齢の制限なし(中学生未満は保護者と同時参加が必須) |
雀休 | |
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所在地 | 京都市中京区神泉苑町1地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「二条城前」駅より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-811-2281 |
URL | |
営業日 | 火曜日〜土曜日 11:30-18:00 |
休業日 | 日曜日、月曜日、年末年始 |
受付
神泉苑の斜向いにあるお店に着いたら、まずは受付を済ませます。店内は色とりどりのこまに囲まれて、体験へのやる気も高まってきます。取材時は小学生の息子さんに、変わったこまの回し方を教えてもらいました。
綿紐の色を選択
こまの材料となる綿紐(色染めをした木綿糸の束)を15色の中から4色選びます。この綿紐は、実は細い糸が集まってできたもの。そのまま巻くこともできますが、半分の長さに切って、2回に分けて巻くことで複雑な色の重なりを出せるそう。
デザインを検討
中央から巻いていく色の順序によっても仕上がりの印象が変わるので、まずは幾つかの色を組み合わせて好みのデザインを検討します。最初に春らしいパステルカラーを選びましたが、外周を濃色にすると締まって見えるとアドバイスをもらい、黄色を赤に変更しました。
のりづけ
巻き始め2cm程度にあたる部分にのりを塗りっていきます。芯に近い部分は巻くのが難しいので、最初の3色は事前に巻いたものが用意されています。この続きから自分の選んだ色を巻いていきます。
巻き始め
前の色の巻き終わりから次の色を巻き始めます。のりを塗った部分を貼り付け、5秒キープしてしっかり接着させます。そしてひっぱりながら、綿紐の最後まで巻いていきます。ここで綿紐が緩まないように注意しましょう。
綿紐をカット
綿紐の長さを半分にして2回に分けて巻くことで、色の間隔が変わるのでデザインに変化を加えることができます。最初に考えたイメージと実際に巻いてみた雰囲気が違っても、途中で変化させることができますよ。
巻きの繰り返し
工程4〜6を繰り返しながら、どんどん巻いていきましょう。少しずつこまの形になってくると、途中で回してみたくなりますが、まだ我慢。普段とは違う手の動きのせいか少し手が痛くなるのも、良い思い出に。
巻きどめ
最後の綿紐を巻き終えたら、またのりを塗って5秒キープ。外れないようにしっかり固定してください。半分の長さで巻いたのが白と水色部分です。最後に巻いた赤の綿紐で全体が引き締まり、こまらしい色合いになりました。
成形
続いてこまの形を決めていきます。キレイに回るこまにするためには、左右対称にすることが大切だそう。親指で均等になるよう成形します。あまり深く押しすぎると外れてしまうので、ほどほどに。
定着剤を塗る
形が決まったら、定着剤としてニスを塗っていきます。こまを回しながら塗るのがコツです。まずは外側にしっかり塗って、次は内側も。ドバっとつかないように少しずつ塗っていきましょう。
乾燥&こまのお話
ニスが乾燥するまで10分ほど。その間に、こまの成り立ちから今まで受け継がれてきた歴史など、「こま」について色々とお話を聞くことができます。京こまだけでなく、日本・世界の色々なこまを見せていただきました。
完成
ニスが乾いてついに完成。写真用に小物も用意されているので、自分だけの京こまを撮影してみては。持ち帰り用の箱には専用の赤毛氈も入っているので、自宅でも飾って楽しむことができますよ。
職人さんと同じ工程を体験でき、京こまをとても身近に感じました。色の組み合わせや順番で全く違う雰囲気になるので、またチャレンジしてみたいです。友達とアレコレ相談しながら作るのも楽しそうだと思いました。/写真は「雀休」中村かおるさんと