京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」

京の美意識が光る豆皿・銘々皿の世界

京の美意識が光る豆皿・銘々皿の世界

※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。

現地スタッフ おすすめポイント
現地スタッフ

手のひらにほどよく収まる豆皿・銘々皿。さまざまな素材やデザインを楽しめる器です。古くから食の都として発展してきた京都には、多様な器の専門店があります。今回は京焼、漆器、アンティーク、そして現代作家のセレクトショップを紹介。日々の暮らしを彩る、お気に入りを探しにいきませんか。

伝統ある漆器を守り継ぎ、次の時代へ

伝統ある漆器を守り継ぎ、次の時代へ

ぞうひこ きょうとてらまちほんてん

象彦 京都寺町本店

「象彦」は寛文元年(1661)の創業で、350年続く京漆器の老舗。漆器は"ジャパン"と呼ばれ、世界で愛される工芸品です。日本各地に漆器の産地はありますが、とりわけ京漆器は茶道や和食等の文化と共に歩んできた歴史から、薄くシャープなフォルムや空間を残した余韻のある図案、繊細な蒔絵などに特徴があるとされます。
写真の「花寄せ銘々皿(5客)」は 人気の高い新作で、定番の「朱」に加えて、和洋問わずに乗せるものを引き立てる「きなこ」、さわやかな印象の「ミント」(写真)の3色展開。シンプルですっきりした三日月型のフォルムは1枚でも重宝しますが、5枚組み合わせると縁起の良い梅花の形に。伝統ある漆器を現代の暮らし寄り添うかたちで表現したアイテムで、様々なシーンで活躍します。

象彦 京都寺町本店

建築家・岸和郎氏によるモダンな設えの店内では季節に合わせた漆器を中心に、日常使いからギフト商品まで幅広く販売しています

象彦 京都寺町本店

2014年5月に岡崎より寺町に移転オープン。社内に図案室を有していることから、家紋入れや名入れ、オリジナル図案の特注にも対応可能

基本情報
所在地

京都市中京区寺町通二条上ル西側要法寺前町719-1地図

アクセス

地下鉄東西線「京都市役所前」駅より徒歩約5分

電話番号

075-229-6625

URL

https://www.zohiko.co.jp/

営業日

月曜日〜日曜日 10:00-18:00

休業日

不定休

料金

「花寄せ銘々皿(5客)」9,180円(税込)、「銀箔8.0寸 瑞雲(1客)」7,344円(税込)


古いものが醸す空気感を大切にする骨董店

古いものが醸す空気感を大切にする骨董店

ぷろ あんてぃーくす こむ

Pro Antiques COM

京都でアンティークの器を見つける楽しみは、日本各地の技の美しさに触れられることにあります。文化的、芸術的、そして社会的背景からも、生産地・消費地として爛熟してきた京都。数多の陶工が京都で学び、また各地に帰って以降も京都からの特注時などの交流を通じて、多様な器が生み出されてきました。「COM」は、そんなアンティークの世界に骨董入門者でも気軽に触れられると評判のショップ。2000年にオープンした京町家のショップでは、古伊万里を中心に陶器の器や漆器、ガラス製品など、独特の空気感を醸し出すアンティークの器が豊富に揃います。写真の豆皿は、幕末から明治初期にかけて主に愛知県・瀬戸地域で作られた磁器。瀬戸の磁器の技術が発展途上にあった時代のもので、型押しした生地に色をのせたシンプルなものですが、素朴な味わいがあります。

Pro Antiques COM

「COM」では "日本の古いものを見直す"をコンセプトに、日本製アンティークの修復や小売、古建築物・町屋・古民家のリノベートなどの事業を展開

Pro Antiques COM

京都文化博物館そばの店舗。今秋には隣接する京町家を改装してスペースを拡張すると共にワークショップ開催も計画中

基本情報
所在地

京都市中京区東方町616 コムハウス01地図

アクセス

地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池」駅より徒歩約4分

電話番号

075-254-7536

URL

http://proantiquescom.jp/

営業日

月曜日〜日曜日 12:00-20:00

休業日

不定休

料金

「豆皿(写真)」1枚 2,400円(税別)〜


技を融合し、新たな青磁の表現を日々追求

技を融合し、新たな青磁の表現を日々追求

そりゅうがま

蘇嶐窯

京焼・清水焼は、古来より優れた陶工が都に集まって技や感性を研鑽してきたことから、受け継がれた手法の数だけ多様な特徴があります。「蘇嶐窯」は京都・清水の地から、美しさと機能性を兼ね備えた器を夫婦で提案する窯元。2005年に四代目を襲名したご主人の涌波蘇嶐氏と、福岡・小石原焼の窯元出身の奥様の涌波まどかさん、双方の技が融合した器が国内外で注目を集めています。「蘇嶐窯」の青磁は生地に顔料や鉄分を練り込み轆轤で成形し、青磁釉をかけることで深みのある青を表現しています。そこに小石原の技法である「飛鉋」を入れることで削った土の溝に釉薬が溜まり、文様が浮かび上がります。写真の「青瓷飛鉋皿」はそうした夫婦合作によるシリーズのひとつ。雨上がりの空のように清々しい青に、飛鉋の文様が温もりを添えます。

蘇嶐窯

提供元:蘇嶐窯

夫婦での作陶のようす。使う道具も轆轤の回転の向きも異なるそう。小石原焼の民陶と京都の茶道具としての磁器、互いの技が融合して作品が生まれます

蘇嶐窯

提供元:蘇嶐窯

2018年に改装した工房。制作の現場だけだった空間から、ものづくりの背景を伝えるギャラリーを併設した空間に進化しました

基本情報
所在地

京都市東山区清水4丁目170-22地図

アクセス

市バス100・110・206号系統ほか「清水道」より徒歩約3分

電話番号

075-561-8004

URL

http://soryu-gama.com/

営業日

月曜日〜土曜日 10:00-17:00

休業日

日曜日

料金

「青瓷飛鉋皿」8cm 2,000円(税別)・9cm 3,000円(税別)・12cm 4,000円(税別)・15cm 6,000円(税別)


現代作家の器との出会いを結ぶ場所

現代作家の器との出会いを結ぶ場所

くらしのうつわときりこがらすのみせ ゆい

くらしの器と切子ガラスの店「結」

創る手と使う手を結ぶ願いから2007年に誕生。京都御所の南に位置する趣のある京町家の空間で、器-陶芸作家、窯元の作品を中心に、現代の暮らしに寄り添う器を展示販売しています。現在、常時ショップで取り扱う作家数は約40名。京都・大阪・滋賀など関西を中心に沖縄や美濃で活躍する作家など、産地よりも作家自身の魅力に惹き込まれるようなアイテムが充実しています。写真の豆皿は複数の作家の作品で、形や色、質感など個性が光ります。一見バラバラに見えるアイテムであっても食卓の上で組み合わせることで意外な出会いの妙が生じたり、同じ料理でも盛り付ける器を変えることで新しい変化が起きたりするもの。価格も1枚1,000円〜3,500円ほどで、手に取りやすいのも嬉しいポイントです。

くらしの器と切子ガラスの店「結」

繊細な美しさが印象的な切子グラスの作家作品も多数あり。店舗二階のワークショップスペースでは予約制で切子ガラスの1日体験も可能

くらしの器と切子ガラスの店「結」

築100年近くの京町家の店内は驚くほど明るい雰囲気。ほぼ月替りで作家の個展が開かれ、訪れるたびに新しい出会いがあります

基本情報
所在地

京都市中京区麩屋町通二条下ル尾張町212-1地図

アクセス

地下鉄東西線「京都市役所前」駅より徒歩約6分

電話番号

075-334-5821

URL

http://yui.shop-pro.jp/

営業日

火曜日〜土曜日 12:00-18:00

休業日

日曜日・月曜日 ※イベント開催時は日曜日・祝日営業

料金

「豆皿」1,080円(税込)〜