京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を見る 更新日:2019.10.24
京都で息づく日本の伝統美にふれるミュージアム
© 「木島櫻谷 駅路之春(右隻) 〈1913年〉」 提供元:福田美術館
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
長い歴史を誇る京都では時代ごとに多様な文化が育まれ、数多の文化財・美術品が伝えられてきました。市街地に集積するミュージアムの中には、多くの作品を研究し、蒐集してきたコレクターによる私設のミュージアムもあります。独自の審美眼によるコレクション展示は、館の趣と共に味わい深いものです。この秋は日本の伝統美にふれてみませんか。
日本文化の新たな発信拠点を目指して嵐山に誕生!
© 「木島櫻谷 駅路之春(左隻) 〈1913年〉」 提供元:福田美術館
ふくだびじゅつかん
福田美術館
京都随一の観光地・嵐山に、2019年10月、新たな私設美術館「福田美術館」が誕生しました。オーナーの福田吉孝氏のコレクションは約1,500点。江戸時代から近代にかけての主要な画家の作品で構成されています。とりわけ京都ゆかりの作品には特に力を入れて蒐集しており、琳派から円山四条派、京都画壇の作品を中心に、円山応挙、与謝蕪村、伊藤若冲、竹内栖鳳、上村松園といった絵師たちの作品がその中核となっています。
写真の作品「駅路之春(うまやじのはる)」は、明治から昭和にかけて活躍した京都の画家・木島櫻谷のもので、独特の画面構成や色彩感覚が印象的。屏風6曲1双からなる大作のうち二面が、同館開館記念の『福美コレクション展(Ⅱ期)』で78年ぶりに公開。また、館内2階のパノラマギャラリーには、日本でも馴染み深いマリー・ローランサンやモネ、シャガールなどの西洋の名画を展示。まさに日本美術の伝統と未来を体感できるような構成です。
※2019/10/1〜11/18(Ⅰ期)・11/20〜2020/1/13(Ⅱ期)には、開館記念『福美コレクション展』を開催予定
基本情報 | |
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所在地 | 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16地図 |
アクセス | 嵐電「嵐山」駅より徒歩約3分、JR「嵯峨嵐山」駅・阪急「嵐山」駅より各徒歩約12分 |
電話番号 | 075-863-0606 |
URL | |
開館日 | 月曜日、水曜日〜日曜日 10:00-17:00 ※最終入館16:30 |
休館日 | 火曜日(祝日の場合は翌日)、展示替期間、年末年始 |
入館料 | 一般1,300円(税込) |
歴代の茶碗から時空を超えた魂に想い馳せる
© 「初代長次郎 黒樂茶碗 面影 〈16世紀頃〉」 提供元:樂美術館
らくびじゅつかん
樂美術館
桃山時代に樂家初代・長次郎によって始められた樂焼。450年の歴史ある樂焼窯元・樂家に隣接する樂美術館は、1978年に14代・覚入によって設立されました。樂家歴代が次代の作陶の参考になるよう残し伝えた作品、茶道工芸美術品や古文書など約1200点を所蔵。年に4回樂焼と茶道美術の企画展を開催しており、現在は15代吉左衞門・樂直入による企画展『樂歴代 魂を映じて』が開催中。初代から16代までの茶碗が一堂に並び、樂焼の創造の軌跡を感じられます。
写真の黒樂茶碗「面影」は、長次郎の黒樂茶碗の代表作の一つ。樂家に古くから伝来したものとして著名な作品です。轆轤を使用せず、手で捏ねあげる樂茶碗の特徴をよく表している茶碗です。自然な凹凸の変化、光沢の失せた黒釉など、その静かな存在感は、利休の侘茶の思想を表してもいます。当時は前衛的な茶碗とされ、「今焼」と呼ばれており、今も樂家の伝統の中にその創造精神を伝えています。
※2019/8/24〜12/24には、2019年秋期特別展『樂歴代 魂を映じて Mirrors into the Soul -Raku Tea Bowls through the Ages-』を開催
© 「初代長次郎 二彩獅子(左側面) 〈1574年制〉」 提供元:樂美術館
提供元:樂美術館
基本情報 | |
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所在地 | 京都市上京区油小路通一条下る地図 |
アクセス | 市バス9・12・50・67系統「堀川中立売」・「一条戻橋」駅より各徒歩約8分、地下鉄烏丸線「今出川」駅より徒歩約13分 |
電話番号 | 075-414-0304 |
URL | |
開館日 | 火曜日〜日曜日 10:00-16:30 ※最終入館16:00 |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は開館)、展示替期間、年末年始 |
入館料 | 展覧会により異なる ※年4回、樂焼と茶道美術の企画展を開催 |
南禅寺エリアで茶の湯を通じて日本文化を体感
© 「大天目〈南宋時代 13世紀〉」 提供元:野村美術館
のむらびじゅつかん
野村美術館
野村美術館は、野村證券などの金融財閥を一代で築いた野村徳七(号得庵)(1878-1945)のコレクションをもとに1984年に開館。茶道具・能面・能装束をはじめ、得庵の遺作も含めて約1700点を所蔵。中には重要文化財7件、重要美術品9件が含まれています。この得庵コレクションを中心に、春季(3月上旬〜6月上旬)・秋季(9月上旬〜12月上旬)に特別展が催されています。
写真の大天目は、現在開催中の秋季特別展『茶碗の世界』の展示作品のひとつ。16 世紀に茶の湯が確立する頃は天目類の茶碗が多く使用され、その後中期には朝鮮半島製のもの、ついで備前や信楽などが使われるようになるなど、時代と共に茶碗の種類が増えていきました。時代や産地によって多様な特徴・魅力を持つ茶碗が一堂に揃う今回の企画。ぜひ抹茶を飲むことをイメージして鑑賞してみては。館内には立礼式の呈茶席が設けられており、日替わりで様々な流派のお点前を美しい京菓子、茶碗と共に堪能できます。(立礼茶席 一客700円税込)
※2019/8/31〜10/14(前期)・10/16〜12/1(後期)には、2019年秋季特別展『見て、知って、楽しむ 茶碗の世界』を開催予定
提供元:野村美術館
提供元:野村美術館
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区南禅寺下河原町61地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「蹴上」駅より徒歩約10分、市バス5系統「南禅寺・永観堂道」駅より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-751-0374 |
URL | |
開館日 | 火曜日〜日曜日 10:00-16:30 ※最終入館16:00 |
休館日 | 開館期間中の月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜日休館)・展示替期間 ※夏季・冬季は休館 |
入館料 | 一般800円(税込)、立礼茶席 一客700円(税込)※16:00まで |
江戸初期・寛永文化を今に伝えるガーデンミュージアム
しょうかどうていえん・びじゅつかん
松花堂庭園・美術館
石清水八幡宮の社僧で、江戸初期・華やかな寛永文化の中心となって活躍した文化人・松花堂昭乗(1584~1639)ゆかりの松花堂庭園。2万2千㎡の広大な庭園には、昭乗が暮らしていた草庵「松花堂」と泉坊書院が石清水八幡宮のある男山の山中より移築されています。園内には三棟の茶室(松隠・梅隠・竹隠)があり、露地庭や枯山水とともに趣のある風景を創り出しています。梅・椿・桜・青もみじ・紅葉など、四季折々の景観が楽しめる庭園では、茶会が多く催されています(詳細はHP、もしくは要問合せ)。
また、敷地内には草庵「松花堂」や泉坊書院に付属する内装品などを収蔵する美術館があります。春と秋に企画展・特別展を開催するほか、年に3回ほど館蔵品を中心とした展示を企画。松花堂昭乗に関する常設パネルや映像もあり、松花堂弁当のルーツについて知ることができます。鑑賞後は、隣接する「京都吉兆 松花堂店」で庭園を臨みながら松花堂弁当(要予約)を味わってみては。
※2019/10/26〜12/8には、令和元年特別展『茶室のアイデア~中村昌生と「庭屋一如」~』を開催予定
※茶室「梅隠」・「竹隠」は2019年11月中旬まで復旧工事予定
基本情報 | |
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所在地 | 京都府八幡市八幡女郎花43-1地図 |
アクセス | 京阪バス16・32・67・77系統ほか「大芝・松花堂前」より徒歩すぐ |
電話番号 | 075-981-0010 |
URL | |
開館日 | 火曜日〜日曜日 9:00-17:00 ※最終入館16:30 |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)、12/27~1/4 |
入館料 | 【庭園入園料】一般100円(税込)※復旧工事中のため外園のみの鑑賞・通常は一般400円(税込)、【美術館観覧料】普通展一般400円(税込)※特別展は催しにより異なる |