京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を見る 更新日:2019.12.26
一枚の布に込められた時代の粋・古裂の世界
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
「古裂(こぎれ)」とは、骨董価値のある古い布のことです。着物などの形を残すものから端切れまで、様々な姿で現代まで受け継がれています。古裂ならではのユニークな柄行きや、物を慈しむ想いから愛好家の層も広がっています。今回はそうした古裂の世界へと誘う専門店を紹介します。
(写真は「今昔西村」の店内風景より)
裂を愛する心が生んだ唯一無二の研究所
すずきじだいぎれけんきゅうじょ
鈴木時代裂研究所
古渡更紗と名物裂の研究を行う「鈴木時代裂研究所」ではメイド・イン京都のグッズを目にすることができます。古渡更紗とは300~400年前に日本に輸入された染物のこと、名物裂とは400年前に仕覆(しふく:茶道具類を入れる袋)として特に珍重されていた織物のことを言います。この2つを同時に研究し、再現したグッズを扱っているのはここだけとか。建物1階の店舗では、当時の大名が好んだ柄を再現した生地で作られたバッグなどが販売されています。写真の柄は加賀前田家が愛用した「笹蔓手金更紗」。一国の統治者たちが愛した美しい柄は、決して古びることのない魅力に溢れています。さらに、建物4階のコレクションルーム(予約制)では、貴重な所蔵資料を見学することができます。
基本情報 | |
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所在地 | 京都市中京区丸太町通室町西入道場町4地図 |
アクセス | 地下鉄烏丸線「丸太町」駅より徒歩約2分 |
電話番号 | 075-231-2496 |
URL | |
営業日 | 月曜日~金曜日 10:00-17:00 ※コレクションルームは予約制 |
休業日 | 土曜日、日曜日、祝日、年末年始 |
料金 | 「笹蔓手金更紗 ポシェット」28,600円(税込) |
明治35年創業、目利きも集う古裂専門店の老舗
ちんぎれや
ちんぎれや
読んで字の如く、珍しい裂(きれ)を扱う専門店「ちんぎれや」。博物館に陳列されていてもおかしくないような桃山時代の貴重な裂から、手軽に買える数千円の裂まで数々の古裂を間近に目にすることができます。写真の赤地の二枚の裂と、隣の白地に蓑亀の尾が金糸の裂は「掛袱紗」です。こちらは大名や豪商がお祝いや拝領のときに品物の上に掛けたものです。その他の裂は「小袖裂」と呼ばれる、江戸時代の着物の断片です。200年以上前に使われていた裂を手に取り、持ち帰ることもできるというロマン。まずはここから、味わい深い古裂の世界へ足を踏み入れてみてはいかが。
基本情報 | |
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所在地 | 京都市東山区縄手通り三条南入元町372番地の1地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「三条京阪」駅・京阪「三条」駅より各徒歩約1分 |
電話番号 | 075-561-4726 |
URL | |
営業日 | 月曜日~土曜日 10:00-18:00 |
休業日 | 日曜日 ※月曜日が祝日の場合のみ日曜日も営業、年末年始 |
料金 | 「小袖裂」15,000円(税込)〜、「豆がまぐち」1,500円(税込)~ |
端切れから着物まで、使う楽しみは千差万別
こんじゃくにしむら
今昔西村
様々な時代の古裂を今に伝える「今昔西村」の店内は大きく3つに分かれています。入口付近は小物ゾーンで、写真のがま口やポストカードなどが古裂で仕立てられています。中央付近に進むと端切れゾーンになり、色鮮やかな着物や帯の端切れが並んでいます。一番奥には着物ゾーンがあり、80年以上の年月を経て今なお「着物」の形を遺す古裂を堪能することができます。時代の流れと共に変化し続ける裂は、第二次世界大戦前後でその性質が大きく変わるそう。戦前の着物は目に優しい色味をしていて、絹の質も今とは違うことから軽く、着ていても疲れにくいそう。こうした古裂の素材や色味を活かして、照明の傘に活用したケースも。古裂を使って、自分だけのオンリーワンの楽しみ方を見つけてみては。
基本情報 | |
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所在地 | 京都市東山区大和大路通三条下ル弁財天町36番地 地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「三条京阪」駅、京阪「三条」駅より徒歩約2分 |
電話番号 | 075-561-1568 |
URL | |
営業日 | 月曜日〜土曜日 10:00-19:00 |
休業日 | 日曜日、年末年始 |
料金 | 「ポストカード」500円(税抜)〜、がま口・名刺入れ・ティッシュ入れ各2,000(税抜)〜 |
先人たちの生きた証や想いを現代に伝える
ぎゃらりーけい
ギャラリー啓
江戸末期から昭和初期にかけて主に庶民が使っていた裂や古民芸を扱う「ギャラリー啓」で出会えるのは、どこか落ち着く手作業の結晶たちです。「小豆3粒を包めることができれば捨てずに大切に使っていた時代があったことを忘れてはいけない」と語るオーナー。ここにある裂に頬ずりすると不思議と気分が落ち着くんだそう。紡績機械が存在しなかった時代、木の皮や麻を加工し、気の遠くなるような細かな作業の果てに出来上がるのが裂の素材となる「糸」でした。柄だけでなく、素材の良さを楽しむことができるのも古裂の魅力。まずは自分が好きだと思ったものを、先入観を持たずに選んでみてください。100年以上前の暮らしの中にあった物に対する想いが、現代の暮らしで疲れた時の癒やしになってくれるかもしれません。
基本情報 | |
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所在地 | 京都市中京区寺町通夷川上ル久遠院前町671-1地図 |
アクセス | 京阪「神宮丸太町」より徒歩約10分、地下鉄東西線「京都市役所前」より徒歩約8分、市バス10・65・93・202・204号系統ほか「河原町丸太町」より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-212-7114 |
URL | |
営業日 | 月曜日〜土曜日11:30-18:00、日曜日・祝日12:00-18:00 |
休業日 | お盆、年末年始 |
料金 | 「苧麻(ちょま)の端切れ」4,000円〜 |