京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を遊ぶ 更新日:2020.07.30
涼を呼び込む、透かしうちわ作り
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
京うちわは「都(みやこ)うちわ」とも呼ばれ、京都の伝統工芸品として優美を極めてきました。古来、涼をとるばかりでなく、魔を払うとされる縁起物でもあります。今回は飾って涼しげ、扇いで良しの透かしうちわ作りを紹介します。
京都の混雑状況(2022年10月25日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。
しおみだんせん
塩見団扇
透かし細工や木版画などの工芸技法を取り入れた京うちわは、美しい装飾から鑑賞用としても人気の工芸品です。古来うちわは、涼をとるばかりでなく、高松塚古墳の壁画にみられるように、風や光、塵を防いだり、顔を隠したり装飾用として、中国から朝鮮を経て伝わり、奈良時代に貴族の間で用いられたのがルーツです。
「塩見団扇」は、現在では稀少となった京うちわ伝統の技を継ぐ専門店。工芸品として目を和ませ、また普段使いできるような手に馴染むものづくりをしています。2016年に開始した体験では、京うちわの制作風景を見学し歴史等について解説を受けた後、オリジナルのうちわを作ることができます。
京うちわ工房見学&透かしうちわ制作体験 | |
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料金 | 3名以上での参加の場合1名につき3,300円(税込 ※1名での参加の場合9,900円(税込)、2名での参加の場合1名につき4,950円(税込) |
所要時間 | 約90分 |
定員 | 8名 |
備考 | ※体験希望日の1週間前までに「体験予約サイト」より要予約 |
塩見団扇 | |
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所在地 | 京都市山科区小野西浦町24-3地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「小野」駅より徒歩約1分 |
電話番号 | 075-571-7515 |
URL | |
営業日 | 月曜日~金曜日 10:00-18:00 |
休業日 | 土曜日、日曜日、祝日、お盆、年末年始 |
体験の流れ
※当日の状況によって、流れが変更になる場合あり
※時期により見学できない日もあります
受付
まずは受付を済ませましょう。店頭に陳列された多様な京うちわを鑑賞するのも楽しいひと時です。写真は疫病退散を祈願したうちわシリーズ。現在SNS上で話題の妖怪「アマビエ」をデザインしたうちわ(1,000円税込)が、ネット通販で好評だそう。
京うちわの歴史・解説
京うちわは団扇面と柄を別に作る「差し柄(さしえ)構造」になっているのが特徴。体験スペースの壁面は美しい作品の数々で彩られており、その細やかな職人技を間近に見ながら解説を受けられます。
京うちわ工房見学
工房では職人による作業風景を見学させてもらえます。放射状に100本近くの竹骨を貼った紙に上絵の紙をのせ、丸く仕上げて、写真のように仕上げ時に一斉に柄(持ち手)を付けていきます。手早い作業に思わず見入ってしまいます。※時期により見学できない日もあります
透かしうちわ体験説明
今回の透かしうちわ体験は、京うちわの技法の一端を初心者でも気軽にチャレンジできるものです。時間のかかる糊付け作業を短縮するため、両面接着シートを付きの和紙や仮張りされた骨組みを用います。(写真は透かしうちわのサンプル)
色・デザインを選択
うちわの色(5色)・デザイン(4柄)から好みの組み合わせを選択して、いよいよ体験がスタート。手漉きの色和紙は、糊の代わりに両面接着シートが付いています。今回は涼やかな水色、朝顔のデザインを選択しました。
型紙にそって切り抜く
選択した色付きの和紙にデザインシートを重ねて固定し、小さなカッターで型通りに切り取っていきます。糊付けされた和紙は厚さがあるので、力加減が難しいところ。はじめに端の方で切り取る練習をして、柄の小さな部分から順に切り取っていくのがポイントだそう。
骨組みに貼り合わせる
糊付きの和紙を少しずつめくりながら、仮張りされた骨組みの和紙に貼り付けていきます。貼り付ける際、切り取ったデザインの細かな部分が巻き込まれやすいので、講師にピンセットで整えてもらう場面も。全体を貼り付けた後、念ベラで竹骨を1本ずつなぞると美しい仕上がりになります。
型に合わせて切り取る
この体験では、円型または角型から好みの形が選べます。朝顔のデザインの位置にあわせて鉛筆で縁取り、ハサミでざくざくと切り取っていきます。このうちわの形に成形することを「なり廻し」と呼ぶそうです。
へり紙を巻き付ける
つづいて、切り取ったうちわの周囲にへり紙を貼り付けて補強する「へりとり」の作業に。体験のへり紙はシールタイプなので、初心者でも作業がスムーズに行えます。柄の部分を起点にぐるりと一周、少しずつ張り合わせていきます。
柄を差して完成
さいごに柄(持ち手)を差して完成です。柄は竹、杉の木材のものが長短さまざま用意されており、うちわの色・柄との組み合わせや持った時の印象がぐんと変わります。
はじめて触れる手作り団扇の世界。京団扇の歴史を学びつつ、上手に透かし部分を切り抜けるかワクワクしながら取り組みました。完成時には達成感に包まれ、自慢できる出来栄えに満足しました。/写真は塩見団扇株式会社 取締役の秋田美紀さんと