京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」

伝教大師1200年大遠忌 最澄ゆかりの地

伝教大師1200年大遠忌 最澄ゆかりの地

※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。

現地スタッフ おすすめポイント
現地スタッフ

天台宗の開祖・伝教大師最澄が残した言葉「一隅を照らす、これ則ち国宝なり」は、今なお宗教を超えて一人ひとりの大切さを教え継いでいます。令和3(2021)年は、最澄が入寂されてから1200年の節目の年。今回は京都市内のゆかりの地を厳選して紹介します。旅程にゆとりのある方は、ぜひ天台宗総本山 比叡山延暦寺(滋賀県大津市)も訪ねてみてください。

京都の混雑状況(2022年10月25日現在) ★★★☆☆ 例年並みです。 ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

皇室ゆかりの門跡寺院で雅やかな空気に包まれる

皇室ゆかりの門跡寺院で雅やかな空気に包まれる

しょうれんいんもんぜき

青蓮院門跡

東山・粟田口にある青蓮院門跡は、天台宗五箇室門跡のひとつ。その起源は伝教大師最澄が比叡山延暦寺を開くにあたって作った僧侶の住坊の一つが「青蓮坊」と伝わります。平安時代末期に青蓮坊の第十二代行玄大僧正に鳥羽法皇が帰依され、殿舎を造営して「青蓮院」と改称したのが青蓮院の始まりです。その後明治に至るまで、門主は皇族または五摂家の子弟に限られるなど、皇室と関わり深く格式の高い門跡寺院です。
熾盛光如来曼荼羅が安置される本堂、親鸞聖人が得度を受けた寝殿、庭園を臨む小御所や華頂殿など境内の殿舎は渡り廊下で繫がっています。まずは殿舎内を歩いて参拝し、つづいて池泉回遊式庭園に出て四季折々に移ろう自然美をゆったりと堪能しませんか。

青蓮院門跡

長屋門の門前には親鸞聖人お手植えとされる楠(京都市の天然記念物)が5本あります。見上げるほどの大木は圧巻

青蓮院門跡

相阿弥作の池泉回遊式庭園を臨む華頂殿(客殿)。三十六歌仙額絵や木村英輝氏奉納の蓮の襖絵が空間を彩ります

基本情報
所在地

京都市東山区粟田口三条坊町地図

アクセス

地下鉄東西線「東山」駅より徒歩約5分、市バス5・46・100号系統「神宮道」より徒歩約3分

電話番号

075-561-2345

URL

http://www.shorenin.com/

時間

月曜日~日曜日 9:00-17:00(16:30受付終了) ※春・秋に夜間ライトアップを開催予定

休日

年中無休

料金

拝観料 大人500円


大原の名刹で出会う心癒される美景

大原の名刹で出会う心癒される美景

提供元:三千院

さんぜんいん

三千院

比叡山の北西麓、高野川上流部に位置する大原の三千院は、天台宗五箇室門跡のひとつに数えられる名刹。延暦年間(782-806)に伝教大師最澄が比叡山に庵を結んだ時、東塔南谷に一堂を建立したのが起こりと伝わります。その後、慈覚大師円仁に引き継がれ、平安後期から明治時代に至るまで、皇子皇族が住持する宮門跡としての歴史があります。
三千院の歴史の源とも言える「往生極楽院」(重要文化財/写真)に安置されているのは、国宝の阿弥陀三尊像。堂内の天井には現在は肉眼ではわかり難いものの、極楽浄土に舞う天女や諸菩薩の姿が極彩色で描かれており、あたかも極楽浄土そのままを表しています。往生極楽院南側には、青苔に杉や檜などの立木が並ぶ「有清園」の苔と一体となって苔むしたわらべ地蔵の姿もあり、その柔和な表情に心が和らぎます。

三千院

提供元:三千院

玄関口である「御殿門(ごてんもん)」は高い石垣に囲まれ、門跡寺院にふさわしい風格をそなえた政所としての城廓・城門を思わせる構え

三千院

提供元:三千院

客殿から鑑賞する池泉観賞式庭園の「聚碧園(しゅうへきえん)」は、江戸時代の茶人・金森宗和の修築と伝わります。庭園の木々が季節ごとの色を添えます

基本情報
所在地

京都市左京区大原来迎院町540地図

アクセス

京都バス17・19「大原」より各徒歩約10分

電話番号

075-744-2531

URL

http://www.sanzenin.or.jp/

時間

月曜日~日曜日 9:00-17:00(11月 8:30-17:00、12月~2月 9:00~16:30)

休日

年中無休

料金

拝観料 大人700円


東山より京の都を守る深閑の寺

東山より京の都を守る深閑の寺

おうだいさん ちょうらくじ

黄台山 長楽寺

東山の中心地で静かに京都の街を見守る「長楽寺」は、桓武天皇の勅命により伝教大師最澄によって805年に延暦寺の別院として創建されました。当初は天台宗に属していましたが、幾度かの改宗を経て現在は浄土宗の流れを汲む時宗の寺院となっています。本堂は伏見桃山城内にあったお堂を移築したもの。そのため二枚屋根に土間という浄土宗系には珍しい様式をしています。
元々は今の円山公園の大部分を含む、広大な敷地を有していたそう。『平家物語』に登場する建礼門院が出家したお寺としても知られ、安徳天皇ゆかりの宝物などが数多く収蔵されています。『今昔物語』など多くの古典や詩に登場する長楽寺で、静寂のひと時を愛でてみては。

黄台山 長楽寺

室町時代に相阿弥が銀閣寺の造園に際して、試作的に造ったと伝えられる園池。秋には見事な紅葉が楽しめます

黄台山 長楽寺

梵鐘は1658年に鋳造されたものでしたが戦時中に供出され、昭和31年に再興。毎年大晦日の除夜の鐘として鳴らされ、その時だけは参拝者も鐘をつくことができますよ

基本情報
所在地

京都市東山区円山町626番地地図

アクセス

京阪「祇園四条」駅より徒歩約20分、市バス12・31・46・86・100・201・202・203・207号系統ほか「祇園」より徒歩約10分

電話番号

075-561-0589

URL

http://www.age.ne.jp/x/chouraku/

営業日

月曜日~水曜日、金曜日~日曜日 9:00-17:00

休業日

木曜日 ※特別拝観中は除く

料金

通常拝観料大人500円、こども250円


歴史を伝える貴重な仏さまを訪ねて

歴史を伝える貴重な仏さまを訪ねて

じょうろく かいこうじ

丈六 戒光寺

皇室ゆかりの御寺泉涌寺 塔頭・戒光寺のご本尊は「御身代わり丈六釈迦如来」。丈六とは一丈六尺(約4.8m)というお釈迦さまの身長を表す言葉で、鎌倉初期に仏師・運慶と湛慶の父子によって刻まれ、国の重要文化財に指定されています。
境内には最澄作とされる「弁財天」が祀られています。 融通を利かせてあらゆる願いを聞いてくれると言われることから「融通さん」の名でも知られています。強力な神様だけに、お願いごとをする際には守れないような約束はしないこと。思わぬしっぺ返しに遭うこともあるようです。願いが通じたら必ず来訪してお礼まいりをしましょう。
秘仏のためご開帳は1月成人の日の七福神巡りと、11月3日の弁財天大祭の年2回のみ。平安時代以前の弁財天は現代のように琵琶ではなく剣や宝珠を手にしており、当時の姿を伝える貴重なものです。

丈六 戒光寺

「御身代わり丈六釈迦如来」のように前傾した釈迦像は技術力が必要で、この大きさで作られることは多くなかったと言います

丈六 戒光寺

戒光寺は、山手にある御寺泉涌寺へと続く坂道の中ほどにあります。例年1月成人の日に泉涌寺山内で七福神巡りが行われます

基本情報
所在地

京都市東山区泉涌寺山内町29地図

アクセス

JR奈良線・京阪「東福寺」駅より各徒歩約10分、市バス58・88・202・207・208号系統「泉涌寺道」より徒歩約5分

電話番号

075-561-5209

URL

http://www.kaikouji.com/

時間

月曜日~日曜日 9:00-17:00

休日

年中無休

料金

参拝自由