京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を遊ぶ 更新日:2021.05.13
京友禅職人の工場でトートバッグ染め体験
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
色鮮やかな表現が美しい「京友禅」は、江戸時代に扇絵師の宮崎友禅斎が大成したきものの染色技法です。今回は京友禅の中でも型紙を用いて版画のように色をのせていく「型友禅」の技法を用いて、オリジナルトートバッグの染め体験に挑戦します。
京都の混雑状況(2022年10月25日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。
ぱごんほんてん
パゴン本店
大正8(1919)年創業の「亀田富染工場」は、膨大な京友禅の図案を有する和柄ファッションのパイオニア。着物の需要があった時代は100人以上もの職人が染めに従事していましたが、着物人口の減少に伴い業務を縮小。そうした中、平成13(2001)年、蔵に眠る図案で染めた生地をアロハシャツに仕立てたところ評判を呼び、翌年には工場の一角に自社ブランド「PAGONG(パゴン)」直営店をオープン。京友禅の図案を活用した絹アロハシャツ・綿のカットソーやバッグなど、現在では約200ものアイテムを取り扱います。さらに友禅職人が手染めをしている工場では「パゴン染め体験」を実施。入門者におすすめのトートバッグ染め体験と、本格的に体験したい方向けの一日弟子入り体験が用意されています。
パゴン染め体験・トートバッグ染め体験 | |
---|---|
料金 | 5,500円(税込) |
所要時間 | 約60分 |
定員 | 1名~4名 |
備考 | ・平日15:00より毎日開催(前日までに要予約) |
パゴン本店 | |
---|---|
所在地 | 京都市右京区西院西溝崎町17地図 |
アクセス | 市バス特27・32・73・80号系統ほか「中ノ橋五条」より徒歩すぐ、阪急「西院」駅より徒歩約15分 |
電話番号 | 075-322-2391 |
URL | |
営業日 | 【ショップ】月曜日~日曜日 11:00-17:30 【トートバッグ染め体験】月曜日~金曜日 15:00開始 |
休業日 | 不定休 |
受付・色の選択
受付後、トートバッグ染め体験の柄は「龍」と「花うさぎ」の2柄から、色は約12色から「地色」と「差し色」の2色を選びます。色選びの際に地色を濃い色、差し色を淡い色にすることで、図案の境界部分がより鮮明に染まるそう。
工場見学(染料と工程説明)
はじめに京友禅の染料と工程の説明を受けます。写真は、専門の職人が配色表に沿って色の数だけ染料と糊を混ぜて作った「糊あわせ」の様子。パゴンの色は約1000色もあり、はかりと分銅を用いて正確に分量をあわせて作られます。
工場見学(職人の作業風景)
つづいて染色工場へ。職人が模様の輪郭線に防染糊を施した生地に染め型をセットし、染料を付けたスキージを片手で手早く上下させて色を1つずつのせて染めていく様子を見学。経験を積んだ職人は、1日4反(一反約23m)もの量を染めるそう。※その時々で内容は変わります
工場見学(友禅型コレクション)
貴重な友禅型を見学。パゴンでは、1つの図案を染めるのに10枚以上もの型が用いられるそう。たとえば、糸目(輪郭線)を含めて20色あるとすれば20枚もの型を作り、その数だけ何度も染めを繰り返してゆくのです。精巧な型は京都の名工と呼ばれる伝統工芸師が手掛けたものだそう。
染め体験(職人によるレクチャー)
いよいよ染め体験に挑戦。はじめに職人からスキージの角度や動かし方についてレクチャーを受けます。先がゴムになっているスキージを両手で持って平行に動かし、染料をこすりつけるようにして布を染めます。
染め体験(差し色)
まずは差し色の桃色から染めていきます。生地は練習用と本番用の2枚用意されており、まずは練習用の生地でスキージを動かしてみます。思いのほかスキージが重たいので、平行を保つには体幹を意識すると良さそうです。
染め体験(地色)
差し色部分が少し乾いたところで、つづいて型を変えて地色の緑色を染めていきます。地色はより濃く染めるために下から上に1回、上から下に1回の計2回スキージを動かします。
染めあがり
地色の型を外すと、鮮やかな色合いに染め上がりました。この後、蒸しや洗い、乾燥、縫製の工程を経て、トートバッグ完成までは約1ヶ月。今回は初心者向けの入門体験でしたが、より複雑な配色や染料作り、染めを1日がかりで体験できる「一日弟子入り体験」ではTシャツや日傘を作ることができます。
店内の見学
店頭では、新しい生活に必需品のマスクが登場。日本の美しい芸術を新しい切り口から発信する『ミュージアムシリーズ』のもので、伊藤若冲や円山応挙、歌川国芳などの名画が繊細に描かれています(1枚1650円税込)。
完成
体験から約1ヶ月後、完成品が手元に届きました。自分で選んで染めた色合いに感動もひとしお!パゴンの柄は伝統的な着物の柄を復刻したもので、それぞれにいわれがあります。古来うさぎは、ツキ(月)を呼ぶ、福を招くとされ縁起のよい動物だそう。
今回は開花から新緑へと移ろうサクラをイメージして、2色を組み合わせました。おしゃれな方ほど自由な発想で色合わせを楽しんでほしいと思います。またトートバッグはデイリーユースにぴったりな大きさ。コンパクトに折りたたんでサブバッグとして持ち歩くのもおすすめです。