駅からすぐ、古きよき昭和を感じるお店へ


愛知県豊橋市。新幹線が止まるこの街は、かつては東海道の宿場町として栄え、古くから独自の食文化が育まれてきました。その一つが「うどん」。豊橋といえば、器の底にご飯ととろろが入った「豊橋カレーうどん」も有名ですが、地元の人々に長年愛され続けている伝統的なうどんもあります。

豊橋駅から歩いて7分ほど。活気ある飲食店街の一角に、風情のある建物が見えてきます。ここは、大正3年(1914年)創業、110年以上の歴史を誇る〈勢川(せがわ)本店〉です。そこには「古きよき昭和」の空気が流れていました。
暖簾をくぐると、賑やかだった外の様子とは打って変わって、なんだか懐かしい雰囲気に包まれます。店内にはテーブル席や小上がりの座敷が並び、壁には有名人のサイン色紙も。お店全体が持つ空気感から長い間多くの人に愛されてきたんだなぁと感じられます。

東三河のソウルフード「にかけうどん」


〈勢川 本店〉を訪れたのは、看板メニューの「にかけうどん」を味わうためです。「にかけ」とは、豊橋を中心とする東三河地方で古くから親しまれている、ご当地うどんのスタイルであり、これこそが伝統の味と言えるもの。

運ばれてきた器を見ると、シンプルながらも美しい佇まい。刻んだ油揚げ、豊橋名物のかまぼこ、シャキッとしたほうれん草。そして、その上にはたっぷりの花かつおが。湯気と共に踊るかつお節のいい香りが、食欲をそそります。
まずはつゆを一口。しっかりとした出汁に、醤油のコクが効いた濃いめのつゆは、名古屋のきしめんにも通じるような甘みと深みのある味わい。どこかホッとする、体に染み渡る美味しさです。自家製の麺は、柔らかすぎず、固すぎない。つゆがよく絡み、するすると喉を通り抜けていきます。シンプルだからこそ、美味しい出汁の味がダイレクトに伝わってくる、そんなうどんでした。地元の方が、これに天ぷらをトッピングしたり、定食にしたりして日常的に楽しむ理由が分かった気がします。

うどん屋さんの、熱狂的な人気メニュー「オムライス」


うどんに限らず、中華そばやご飯ものなど、幅広いメニューが揃う〈勢川 本店〉にはもう一つ、忘れてはならない名物があります。それが「オムライス」です。

注文すると、目の前に登場したのは薄焼き卵できれいに包まれた、まさに“王道のスタイル”。流行りのふわとろ系とは全く違う、その潔いビジュアルに嬉しくなります。

スプーンを入れて一口。ケチャップの酸味が絶妙でパラパラのチキンライスは、どこか懐かしい、優しい味わい。具材は鶏肉や玉ねぎなどシンプルですが、不思議と深みを感じます。うっすらお出汁の気配を感じるような…なんとも癖になる味わいでした。
ボリュームも満点で、普通サイズでもかなり食べ応えがあります。豊橋市民の中には「勢川に来たら、うどんじゃなくてオムライス」と決めている常連さんも多いと聞きましたが、納得のお味でした。

ランチタイムは混み合うこともある勢川本店ですが、休憩なしの通し営業をしているため、少し時間をずらして訪れると、スムーズに入店できることが多いそうです。

110年以上の時を超えて、変わらぬ味と温かい雰囲気で人々を迎え続ける〈勢川 本店〉。伝統のうどんを味わうもよし、意外な名物オムライスに驚くもよし。豊橋を訪れた際は、またこの老舗の暖簾をくぐりにきます!



Text:tabigatari editorial department
Photo:Misa Nakagaki




いつもと違う愛知県観光には、豊橋市の〈勢川 本店〉がおすすめ。

勢川 本店


所在地愛知県豊橋市松葉町3丁目88番地(Google Map
アクセス豊橋駅から徒歩約5分
電話番号0532-54-0614
URLhttp://www.segawaudon.com/index.html
営業時間11:00〜19:30
休業日月曜・第3火曜

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