やきものの産地・瀬戸にしかない風景
日本で陶磁器そのものを指す言葉「せともの」。
その語源となった愛知県瀬戸市には、登り窯の焼成で使われた窯道具を再利用してつくられた“窯垣”が続く〈窯垣の小径(かまがきのこみち)〉があります。周辺には窯元や陶芸家の工房が点在していて、「ここはどこへつながっているんだろう?」と気になる小径もたくさん。のんびりとした空気に身を任せ、寄り道をしながらお散歩してみました。
その登り窯の焼成時に使われていた窯道具というのが、柱(ツク)、棚板(タナイタ)、茶碗などを重ね、保護するカバー(エンゴロ)と呼ばれるもの。焼成の度に何度も何度も使われ、次第に割れ目が入ったり、ゆがんだりすると、役目を終えます。やきものは、一度焼かれれば土に還ることはないので、産業廃棄物になってしまいます。そこで、当時の職人たちが知恵を絞り、いつしか生まれたのがこの窯垣だということです。
しばらく歩いていると、〈窯垣の小径資料館〉を見つけたので、おじゃましてみました。
窯垣の小径資料館
入り口すぐには“窯垣”の窯道具が置かれ「こう使われていたのか!」と納得
その隣には、日本の量産タイルの先駆けといわれる「本業タイル」も並んでいました。明治維新によって洋館が増えた頃、瀬戸ではタイルが大量に作られました。明治時代から大正時代にかけて瀬戸でたくさん作られてたという「染付便器」は粋な人々からもてはやされたといいます。
実際に使用されていたというお風呂。なんて贅沢な造り!
あまりにも膨大な量で、明治時代には瀬戸の山から木が消え、「日本三大はげ山」の一つに数えられるほどだったそうです。一体どれだけやきものを焼いたら、これだけの窯垣ができるのか?と考えると、想像を絶しますね。
1958年、民藝運動の主唱者・柳宗悦から〈瀬戸本業窯〉の六代・半次郎に、瀬戸の窯道具に深く感銘を受けた旨が電話で伝えらます。同じ年には、雑誌『民藝』でも大々的に〈瀬戸の窯垣〉が紹介され、住民にとっては当たり前の風景が文化的な意味合いを持つ、という認識が生まれたのだそうです。
魅惑の脇道があちこちに
つい登りたくなるようなふしぎな建物の足元には窯垣が
一番の観光名所として知られるスポットがこちらの窯垣。すばらしい幾何学模様!
瀬戸本業窯
大切に保存された、1979年まで使われていたという瀬戸市指定文化財の登り窯
歴史の旅へ出たような小径でした。寄り道スポットはまだまだありそうです。窯垣の小径資料館には、地図も用意されていましたので、ぜひ歩いてみてくださいね。
Text & Photo:Miku Minami
いつもと違う愛知県観光には、愛知県瀬戸市の〈窯垣の小径〉がおすすめ。
窯垣の小径
| 所在地 | 愛知県瀬戸市仲洞町(Google Map) |
| アクセス | 名鉄「尾張瀬戸駅」から徒歩約20分 または名鉄バス「陶祖公園」から徒歩約5分。 |
窯垣の小径資料館
| 所在地 | 愛知県瀬戸市仲洞町39(Google Map) |
| アクセス | 名鉄「尾張瀬戸駅」から徒歩約20分 または名鉄バス「陶祖公園」から徒歩約3分。 |
| 電話番号 | 0561-85-2730(瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会) |
| 営業時間 | 11:00〜15:00 |
| 休業日 | 月曜〜水曜(ただし祝休日は開館)、年末年始 |
瀬戸本業窯
| 所在地 | 愛知県瀬戸市東町1-6(Google Map) |
| アクセス | 名鉄「尾張瀬戸駅」から徒歩約25分。 |
| 電話番号 | 0561-84-7123 |
| URL | https://www.seto-hongyo.jp/ |
| 営業時間 | 10:00〜16:30 |
| 休業日 | 月曜〜水曜(ただし祝休日は営業)、年末年始 |
| 入館料 | ※瀬戸・ものづくりと暮らしのミュージアム/瀬戸民藝館は有料です 一般 600円、高校生以下 300円 |
※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。