リニューアルした〈東洋文庫ミュージアム〉


東洋学の研究機関および研究図書館である〈東洋文庫〉。その膨大な資料を紐解き、アジアの歴史と文化をわかりやすく一般の方に伝える役割を担うのが、併設された〈東洋文庫ミュージアム〉だ。

そんな〈東洋文庫ミュージアム〉は、約1年の休館期間を経て、2026年1月21日にリニューアルオープンしたばかり。現在、リニューアル記念として、企画展「ニッポン再発見-異邦人のまなざし」(2026年1月21日[水]〜2026年5月17日[日])が開催されている。

今回は、新しく生まれ変わった〈東洋文庫ミュージアム〉を旅するために、“EX旅先予約”で事前にオリジナルスタンプ付き入館券を予約。東洋学のおもしろさを心ゆくまで味わいたいと思う。
  
 

展示を通して東洋学の貴重な文献に出会える博物館


1924年に、三菱第3代社長の岩崎久彌(ひさや)の手によって設立された〈東洋文庫〉。オーストラリア出身のジャーナリスト、ジョージ・アーネスト・モリソンから購入したコレクションを柱に、国宝5点・重要文化財7点を含む約100万冊を所有し、東洋学の世界五大研究図書館として知られている施設だ。

そんな〈東洋文庫〉の希少な蔵書の数々を通して、一般の方にも東洋学の魅力を伝える〈東洋文庫ミュージアム〉。駒込駅を出て約8分ほど南下すると、桜の名所〈六義園(りくぎえん)〉を通り過ぎたあたりに、白いタイル張りの外装が印象的な〈東洋文庫ミュージアム〉が見えてきた。
〈東洋文庫〉創立100周年記念事業の一環としてリニューアルオープンした〈東洋文庫ミュージアム〉は、入口にあった従来の壁が撤去され、より開かれた空間となっている。外壁をよく見ると、ところどころに「東洋文庫」の文字が。幅の違うタイルが整列している様子は本をイメージしているそうで、“知の殿堂”と呼ばれる〈東洋文庫〉らしいデザインが美しい。中に入ると、木を基調とした落ち着いた空間が広がっていた。入口のすぐ近くにあるのは、ミュージアムショップと受付。〈東洋文庫〉の所蔵品にちなんだオリジナルグッズや、企画展の図録などが販売されていて、よりワクワク感が増してきた。
さっそく受付で入館券とオリジナルスタンプを受け取り、展示室を巡ってみよう。
スタンプは所蔵品からセレクトされたモチーフを用いた全5種類(ランダム)。
スタンプは所蔵品からセレクトされたモチーフを用いた全5種類(ランダム)。

世界一美しい本棚「モリソン文庫」に出会う

企画展に合わせて内容が変わるオリエントホールの展示。
企画展に合わせて内容が変わるオリエントホールの展示。
最初の展示室は、やわらかい光が差し込むオリエントホール。壁際の長い展示ケースには、〈東洋文庫〉の歴史が感じられる書籍や写真が並んでいた。今回のリニューアルで展示ケースそのものとガラス面が大きくなり、子どもから大人、車いす利用者までさまざまな方が見やすい展示になったのだとか。じっくり眺めながら、日本における東洋学研究の歴史に思いを馳せてみる。
奥には、この周辺エリアの複製古地図も。
奥には、この周辺エリアの複製古地図も。
オリエントホールから階段を使って上へのぼると、〈東洋文庫ミュージアム〉名物の「モリソン書庫」がある。モリソンは、20世紀初頭にアジア情勢を第一線で伝えるジャーナリストとして活躍し、その過程でさまざまな書籍を収集していたという。ここにある約24,000冊の書籍は、1917年に岩崎久彌がモリソンから一括で購入したものだ。
三方に天井近くまである本棚が並び、歴史ある書籍でびっしりと埋め尽くされているさまは、まさに圧巻のひと言。荘厳な美しさに圧倒され、つい見惚れてしまう。近くにあるソファに座って、この静かな空間をゆっくり堪能していると、積み重ねてきた歴史の重みが伝わってきて不思議な気持ちになった。
展示品を保護するため、照度が低く設定されている展示室。
展示品を保護するため、照度が低く設定されている展示室。
次の展示室は、東洋文庫の名品コーナーと企画展示のスペースだ。現在開催されている「ニッポン再発見-異邦人のまなざし」は、海外の文献から外国人たちが抱いた日本のイメージをたどる企画展。リニューアルオープンに合わせて〈東洋文庫〉が所蔵する名品を数多く公開したいという思いから企画されたものだという。マルコ・ポーロの『東方見聞録』や、朝ドラで有名となった小泉八雲の『ラフカディオ・ハーン書簡集』など、貴重な文献が数多く展示されている。
展示品には、キャッチコピー付きの解説が添えられていて、歴史の知識に自信がなくても十分楽しめる。展示を見ていると、海外の人々の目を通した日本は、自分の知らない別の国のように感じられておもしろい。また違った日本の一面を感じられた気がした。

 

ミュージアムショップやレストランも


展示を見終わったあとは、ミュージアムショップでお買い物を。素敵なグッズがたくさんあって、どれを購入するか迷ってしまいそうだ。
受付から中庭を抜けた先には、併設のレストラン「オリエント・カフェ」がある。カフェへの通り道「知恵の小径(こみち)」には、アジアの名言が刻まれたパネルが並んでいた。インド独立の父と呼ばれるマハトマ・ガンディーの『非暴力は強者の武器である』をはじめ、数々の名言がアジア各地の言語で刻まれている。

さらに、中庭の「シーボルト・ガルテン(日本語で“シーボルトの庭”という意味)」には、東洋文庫が所蔵するシーボルトの名著『日本植物誌』に載っている木や花などが植えられているのだとか。至る所に東洋学のエッセンスが散りばめられていて、歩いているだけでも楽しい。岩崎久彌にゆかりのある小岩井農場が運営する「オリエント・カフェ」では、〈東洋文庫〉の所蔵品をイメージしたメニューが楽しめる。企画展に合わせたメニューも登場するので、展示を見終わったあとに立ち寄るのがおすすめだ。
オリエント・カフェ
オリエント・カフェ
最後に、〈東洋文庫〉の主幹研究員である岡崎さんに東洋学のおもしろさを尋ねてみると、 「地域ごとの違いや共通項などを知ることで、同時代にアジアでどんなことが起きたのかなど、縦と横のつながりを感じられるのが東洋学のおもしろさです。教科書で勉強するだけでなく、それらの元となる文献に触れることで多くの気づきを得ることができ、さらに歴史を興味深く感じられると思います」と答えてくれた。
今回、〈東洋文庫ミュージアム〉を訪れて、東洋学の“知”に触れる素敵な旅が楽しめた。知的好奇心を刺激する〈東洋文庫ミュージアム〉は何度でも訪れたい、魅力にあふれる名スポットだった。
 



Text:Ayumi Otaki
Photo:Misa Nakagaki




いつもと違う東京都観光には、文京区の〈東洋文庫ミュージアム〉がおすすめ。

東洋文庫ミュージアム


所在地東京都文京区本駒込2-28-21
アクセスJR「駒込駅」から徒歩約8分
都営地下鉄「千石駅」から徒歩約7分
URLhttps://toyo-bunko.or.jp/
Instagram@toyo_bunko
営業時間10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休業日火曜
入館料一般 1,000円、65歳以上 900円、大学生 800円、高校生 700円、中学生以下 無料

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