本をお供にお酒が楽しめる、まさに大人の図書室のようなお店
老舗の料亭やフレンチの名店など、古き良き時代と現代の洗練された空気が混ざり合い、大人の街としての魅力を放つ神楽坂。そんな神楽坂に、本を読みながらお酒を楽しめる一風変わったバーがあるという。
お店の名前は〈Book&Bar 余白〉。お店は神楽坂上の交差点を飯田橋方面へ向かって歩いた、大久保通り沿いにある。
席はカウンターのみ。カウンター付近にも多数の本が並ぶ。
営業は夜のみ。ウイスキーを中心に日本酒や焼酎など多彩なお酒を揃える。料理は妻の純子さんが担当。ちょっとしたおつまみからお肉などのメイン料理、ご飯ものまで、旬の食材を使ったさまざまな家庭料理が味わえる。
神楽坂のほど近く、市ヶ谷のご出身だという根井さん。神楽坂は準地元のように思っているそうだが、この地にお店を開くことになったのは“偶然の巡り合わせ”と話す。
「最初は勤務先だった神保町で探していたのですが、なかなかよい物件に巡り会えず…。へとへとになって神楽坂を歩いているときに見つけたのが、こちらの物件です。神楽坂は名だたる文豪に愛されたり、出版社や印刷会社があったりなど、本と縁の深い街。本と文化が交差しているのもおもしろいし、老舗から新店までさまざまなジャンルのお店が点在し、新旧・和洋入り混じった独自の雰囲気も魅力だと思います」
〈Book&Bar 余白〉店主の根井浩一さん。
職場や家とは異なる第三の居場所を目指して
〈Book&Bar 余白〉の利用者は、近辺に住む30〜40代がメイン。一人客も多い。店内に映画のパンフレットが飾られていることもあり、本好きだけでなく、映画好きも足を運ぶ。そのうち本を読みながら時間を過ごす人は、意外にも全体の3割程度という。
「他のお客さんと会話を楽しむ人も多いですね。本が会話のとっかかりになっているのだと思います。映画のパンフレットをきっかけに話が弾むときも。一人で読書に耽る人もいれば、コミュニケーションをとりに来る人もいるという感じで、皆さんそれぞれが思い思いの時間を楽しんでいます」
本は自由に閲覧可能。読み切れない場合は借りることもできる。
「店主である自分の色をあまり強く出したくないという思いもあって、さまざまなジャンルの本を置くようにしています。お客さんにとっても、あえて自分の趣味嗜好から外れた本を読んで世界が広がったら楽しいんじゃないかと思います」数ある蔵書から、根井さんが旅に出る前におすすめの本を選んでくれた。悩みながら手に取ったのは、村上春樹の長編小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』だ。
「頭の中で想像する世界を冒険する話と、現実の東京を冒険する話が同時に進行する二重構造の物語です。読んでいると、自分が主人公となって物語を織りなしていくような没入感があり、ワクワク感や高揚感が味わえます。まさに冒険や旅の感覚を擬似体験できる一冊だと感じます。
私は、旅と読書はほぼイコールだと思っているんです。どのジャンルの本であれ、読めば読者の旅が始まり、世界が広がっていきます」
「店名にもなぞらえて、サードプレイスとして“余白”を提供できるお店でありたいです。わざわざ足を運んでくれるお客さんのためにも居心地のよい空間を目指していますし、当たり前にある場所になれるようこれからも続けていきます」
「お客さんに『ここに来るとおうちに帰ってきた感覚』と言われると嬉しい」と純子さん。
Text:Ayumi Otaki
Photo:Shinya Tsukioka
いつもと違う東京都観光には、新宿区の〈Book&Bar 余白〉がおすすめ。
Book&Bar 余白
| 所在地 | 東京都新宿区白銀町1-13 |
| アクセス | 都営地下鉄「牛込神楽坂駅」より徒歩約3分、東京メトロ「神楽坂駅」より徒歩約4分 |
| 電話番号 | 03-5229-7016 |
| @bookbaryohaku | |
| X(旧Twitter) | @yohaku_kagura |
| 営業時間 | 月曜 21:30〜25:00(LO24:30) 水〜日曜 18:00〜25:00(LO24:30) |
| 休業日 | 火曜 |
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