小田原駅から歩いて15分ほどの小田原市青物町。かつて小田原北条氏の時代に、町内で野菜の市が開かれていたため名付けられたといいます。昔ながらのお店と新しいお店が入り混じっている「青物町商店街」を歩いていると、なんだか気になる看板がありました。「旅籠さとう」。古くからある旅館かな?と思ったのですが、看板の末尾には「文房具|事務用品」とあります…。
旅先で気になる場所があったら覗いて見るのが一番!ということで足を向けてみると、窓越しにレトロな雑貨や家具などがうかがえます。こちらはわれら編集部の大好物、古道具屋さんでは…!となると引き戻す理由はありません。
すぐに戸を開けました。
中に入ると、手前の土間のスペースには所狭しと並んだ雑貨たち。どれもいい味出しているなぁと眺めていると、奥から店主ならぬ“女将”が顔を出してくれました。
女将の名は上山あかねさん。鎌倉出身で、以前は保育士として働いていたそうですが、ご両親ともども小田原に引っ越してきたそう。上山さんとお母さまはいつか一緒に何かやりたいよねと話していて、当初は喫茶店を考えていたようなのですが、お母さまが家事代行の仕事をしていたこともあり、宿泊施設をやるのがいいのでは?となったそうです。
なるほど、だから“旅籠(はたご)”なんですね。でも看板には「文房具|事務用品」ともありましたが…?「こちらの場所は以前『さとう』という文房具屋さんだったみたいです。残っていた看板が可愛くて、前に「旅籠」を足しました。わたしは「さとう」ではないのですが(笑)」と女将の上山さん。
二つの客室に共用スペースのあるゲストハウススタイルの宿で、最大4名で一棟貸しもできる「旅籠屋さとう」。そのひとつのスペースとして、レトロ雑貨や家具などを販売する「はたごつどいの間」をオープンしているそうです。
上山さんご自身が元々古いものが好きだったそうで、ボロボロだったというこの場所を、リノベーションしてオープンしたのが2024年の12月。ただお母さまは本職が忙しくなってしまい、まだ一緒に働けてはいないようですが…。
〈旅籠屋さとう〉のコンセプトは「作家応援」だそう。小説や映画、ドラマが大好きな上山さんは、作家さんが執筆のために泊まってくれるような宿を目指しているそうで、上山さんの大好きな脚本家の方が、ここに泊まって小田原を舞台にした作品を書いてくれるのが夢だと言います。素敵な土地にある風情のある宿で創作活動…憧れます!
「作家応援」という意味では、地元作家の作品展示も定期的に行っているという上山さん。ギャラリースペースでもある奥の離れに案内してくれました。不思議な路地のような内廊下を歩いていくと出現したその名も「変な部屋」。こちらには素敵な家具たち(購入できます)がたくさん。手に入れた後のイメージがつきやすそうなレイアウトで嬉しいです。さらにこちらの部屋は宿泊者の「音楽・映画鑑賞スペース」としても兼ねているそうで、通りで居心地がいいわけです。
上山さんは地元のラジオ局であるFMおだわらに出演されたり、タビガタリでも取材させていただいた、同じく小田原市内の本屋「
南十字」さんともコラボイベントを行うなど、地域に密着した活動を積極的にされているそうです。
お店に着いた時から気になっていた、軒先で売っている野菜について話を伺ったら、「近隣に高齢の方が結構住んでいるのですが、近所でお野菜が手に入ると助かるかなぁと思って」と上山さん。
ちょうど取材中、向かいのマンションに住んでいらっしゃるおばあさまが大根を買っていかれました。お店をオープンして1年ちょっとですっかり地域に溶け込んでいて、素晴らしいですよね。今後もとても楽しみです!
Text & Photo:tabigatari editorial departmentいつもと違う神奈川県観光には、小田原市の旅籠屋さとう〈はたごつどいの間〉がおすすめ。
はたごつどいの間(旅籠屋さとう内)
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