ワーケーションにおすすめの地・中伊豆エリア

職場や自宅から離れた場所で仕事をしつつ、余暇も楽しむ新しい働き方 “ワーケーション”。今回は伊豆箱根鉄道に乗って、中伊豆エリアにある伊豆長岡で1泊2日のワーケーションを体験する旅。東京からも行きやすく、温泉や大自然を楽しめるスポットが点在する中伊豆エリアは、実はワーケーションにおすすめの地。温泉付きの宿と自然豊かなスポットでリフレッシュしながら仕事に取り組めば、いつもより作業が進みそうな気がする。さぁ、伊豆長岡でここならではのワーケーションを満喫してみよう。

ローカル鉄道に揺られ、のどかな伊豆長岡へ


東京から新幹線で1時間たらず、三島駅に降り立った。静岡県三島市内から、伊豆市の修善寺までは、ローカル鉄道の伊豆箱根鉄道駿豆線(すんずせん)が通っている。「いずっぱこ」の愛称で親しまれているこの鉄道に揺られ、歴史ある温泉地・伊豆長岡を目指す。
レトロな車両に乗り、ガタンゴトンと心地よい揺れを感じながら、三島市内の住宅地の景色が徐々に田園風景へと変わっていく様子を眺める。普段と違う景色に、これから過ごす時間への期待感がどんどん膨らんでいくよう。
20分ほど経った頃、伊豆長岡駅に到着した。ローカル線らしい味わい深い駅舎は雰囲気抜群で、降り立った瞬間から旅の気分を盛り上げてくれる。

〈蔵屋鳴沢〉の美しい茶畑で韮山エリアの自然を満喫


宿泊予定の旅館のチェックインまで時間があるので、伊豆長岡駅周辺を散策してみる。まずは、伊豆長岡駅の東側へ。この韮山エリアには世界文化遺産の〈韮山反射炉〉や、お茶どころである静岡を象徴するような美しい茶畑がある。
〈蔵屋鳴沢〉の茶畑。
〈蔵屋鳴沢〉の茶畑。
最初に訪れたのは、〈韮山反射炉〉に隣接する複合観光施設〈蔵屋鳴沢(くらやなるさわ)〉。ここでは、春と秋の期間限定で茶娘衣装に着替えてできるお茶摘み体験のほか、自社製造のお茶を使ったオリジナルカフェメニューや自社醸造のクラフトビール「反射炉ビヤ」などが楽しめる。訪れた日はちょうど三番茶の新芽が出ている時期で、青々とした茶畑がまぶしいほどに輝いていた。天気が良い日には富士山が拝め、〈韮山反射炉〉とともに2つの世界文化遺産を眺めることができる。

JR東海「EX旅先予約」のプラン購入者が限定で利用できる「天空のテラス」にも立ち寄ってみた。茶畑に浮かぶように建てられたテラスからの眺めは壮観!ここは富士山を独り占めできる特等席だ。軽食やドリンクの持ち込みが可能で、ひと休みしながらこの贅沢な景色を堪能できる。
天空のテラス。
天空のテラス。
「天空のテラス」は小高い場所にあるからか、時折、爽やかな風が抜けてとても気持ちよい。野点傘(のだてがさ)の日陰の下、真夏でも心地よい時間を過ごすことができた。

茶畑の近くには、こちらで製造されるお茶やクラフトビールのほか、〈韮山反射炉〉のお土産品などを購入できる「反射炉物産館たんなん」がある。1997年に生まれたクラフトビールメーカー「反射炉ビヤ」が、特にお土産としておすすめだ。常時20種類近い種類の缶ビールを販売しているので、飲み比べてみるのも面白い。今回はノンアルコールの「抹茶ビール」を購入してみることに。自園茶葉「おくひかり」を使った「抹茶ビール」は、抹茶の濃厚な風味が感じられ、夏にぴったりの爽やかさ。豊かな自然と、清々しい味わいのドリンクに、自然と心と身体がほぐれていくようだ。
  
 

貴重な産業遺産〈韮山反射炉〉を見学


ひと息ついたあとは、その足で〈韮山反射炉〉へ。〈韮山反射炉〉は、江戸時代末期に大砲を鋳造するために建てられた溶解炉。日本に現存する3基の反射炉の中でも、実際に稼働した反射炉がほぼ完全な形で残っているのはここのみ。「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として、2015年に世界文化遺産に登録されている。
〈韮山反射炉〉。江戸末期に建てられたものがそのまま残っている。
〈韮山反射炉〉。江戸末期に建てられたものがそのまま残っている。
〈韮山反射炉〉の周りには公園が整備されており、散策も楽しめる。青空に映える〈韮山反射炉〉は、つい写真に収めたくなってしまう美しさだ。
併設のガイダンスセンターでチケットを購入し、施設内を見学してみた。ここでは、展示や映像などで〈韮山反射炉〉の歴史や時代背景を知ることができる。

反射炉本体の製造には、オランダの大砲鋳造法が取り入れられているのだとか。このように西洋の科学技術を導入し、急速に産業化へと進んでいった日本。〈韮山反射炉〉は、まさに日本が近代化への第一歩を踏み出したことを示す貴重な建物だ。日本の繁栄を支えた先人たちの情熱が感じられる〈韮山反射炉〉は存在感抜群。眺めながら、その歴史に思いを馳せる。

働きながら地域の魅力に触れるというワーケーションの醍醐味を早くも味わうことができた。

 

〈珈琲焙煎 稜星堂〉で軽食をいただきつつ、だんだんと仕事モードへ


伊豆長岡駅に戻りつつ、ランチができるところを探す。伊豆長岡駅の西側すぐの場所にある、〈珈琲焙煎 稜星堂〉に立ち寄った。
〈珈琲焙煎 稜星堂〉は2026年にオープンしたばかり。静岡市清水区の出身だった藤森さんが伊豆長岡に移住してご夫婦で始めたお店だ。コーヒー豆の販売だけでなく、喫茶店の機能ももち、ドリンクや軽食を楽しむことができる。直火式の焙煎機で、じっくり豆を焙煎しているのが〈珈琲焙煎 稜星堂〉のこだわり。沼津市の焼き菓子専門店から仕入れたクッキーや、伊豆の国市の農家が栽培するレモンを使ったレモネードなど、地元に根付いたメニューのラインナップも魅力だ。一部の軽食やスイーツは、奥さまが調理を担当する。
「水だしアイスコーヒー」700円と、「ハムとチーズのホットサンド(ピクルス添え)」700円。
「水だしアイスコーヒー」700円と、「ハムとチーズのホットサンド(ピクルス添え)」700円。
軽食としていただいたのは、「ハムとチーズのホットサンド(ピクルス添え)」と「水だしアイスコーヒー」。ホットサンドのパンは、地元のベーカリーのものを使用。添えられているピクルスも地元野菜を使っており、プチトマトは藤森さんのお兄さんが伊豆長岡で栽培したものなのだとか。チーズがとろけるホットサンドは食べ応え満点。香りがよく、すっきりキレのよい味わいのアイスコーヒーともよく合う。「訪れる方の心休まる場所でありたい」と願う藤森さん。木のぬくもりが感じられる店内は居心地がよく、ゆったりとした時間を過ごしながら、少しずつ仕事モードへ頭を切り替えることができた。
ランチを食べたあとは、食後のウォーキングも兼ねて、近くを流れる狩野川を散策してみた。桜の名所としても知られる〈狩野川さくら公園〉まで足を運んでみる。透き通るような美しさの狩野川は、眺めているだけで癒される。

狩野川のせせらぎや深緑の自然に包まれ、心と身体が自然とリフレッシュされていくよう。だんだん仕事へのモチベーションも上がってきた。

老舗旅館〈石のや 伊豆長岡〉でリラックスしたワークタイムを


15時になったので、〈石のや 伊豆長岡〉にチェックインする。昭和40年代に建てられたという〈石のや 伊豆長岡〉は、伝統的な数寄屋造りの建物が美しい老舗旅館。2015年にリニューアルオープンし、快適さも兼ね備えた宿へと進化した。
客室は全部で22室。すべての客室が独立する“離れ”として構成されており、2000坪の日本庭園を囲むように客室が配置されている。1階の客室は専用の露天風呂付きで、なんとも贅沢。それぞれの客室に焼き物の名前が付けられているのもユニークだ。今回は1階の客室「薩摩」に宿泊する。
温泉露天(岩風呂)付スイート「薩摩」。
温泉露天(岩風呂)付スイート「薩摩」。
部屋に入ると、想像以上に大きな露天風呂(岩風呂)が見え、ワクワク感が高まってくる。深夜でも早朝でも好きな時間帯に温泉を楽しめるので、いつでもリフレッシュできるのが魅力だ。〈石のや 伊豆長岡〉は館内全体にWi-Fiが完備されており、パソコンで仕事をするのにも困らない。夕食の時間までワークタイムに充てることにした。静かで落ち着いた環境で、いつもより仕事が捗るような気がする。
作業がひと段落ついたところで、気分転換にロビー近くのブックカフェへ。本棚には地元関連の本や旅の本などがそろう。さらに映画などのDVDも。ドリンクバーもあり、静岡各地のお茶も楽しめた。一冊の本を手に取り、思考の整理をしながら、夕食までの時間を過ごすことに。
(提供:石のや 伊豆長岡)
(提供:石のや 伊豆長岡)
夕食は館内のお食事処も利用できるが、今回はゆっくりプライベートの時間を過ごしたいので部屋食を選択した。〈石のや 伊豆長岡〉の料理は、地元の新鮮な食材をふんだんに使う会席料理。地元野菜や地魚など、旬の食材を使った創作和食のコースは、どれも滋味深い味わいで、心と身体をじっくり満たしてくれる。

韮山エリアの観光地巡りや伊豆の恵みを味わう食事、落ち着いた環境でのワークタイムなど、1日目は満足度高く過ごすことができた。明日もきっといい日になるに違いない。

庭園を散歩したあとは、午前のワークタイム


2日目の朝は少し早めに起きて、〈石のや 伊豆長岡〉自慢の庭園を散歩してみることに。2,000坪の敷地を誇るこの日本庭園は、全国から集めた名石を配した石の庭園だ。
客室と客室の間まで庭園が広がっている。
客室と客室の間まで庭園が広がっている。
ところどころに池などがあり、水の流れが表現されていてとても涼しげ。ゆったりと景色を見ながら歩く時間は、今日午前中に行う仕事を頭の中で整理するのにぴったりの時間だった。部屋に戻って、伊豆の旬たっぷりの朝食をいただいたら、チェックアウトの時間まで仕事を。事前にレイトチェックアウト(追加料金あり)をお願いしているので、12:00まで滞在することができる。自然でリフレッシュしたあとの作業は、自ずと集中力が高まり、作業効率もアップ。充実したワークタイムを過ごすことができた。

〈伊豆パノラマパーク〉で伊豆の絶景に出会う


昼からは、近くを観光する。葛城山の山頂に広がる観光名所〈伊豆パノラマパーク〉へ向かった。〈石のや 伊豆長岡〉から徒歩5分ほどの位置にあるロープウェイ乗り場・山麓駅でチケットを購入し、ゴンドラに乗車。空中散歩を楽しみながら、山頂駅を目指す。

山頂に着くと、そこには素晴らしい景色が広がっていた。ここは展望広場「碧テラス」と呼ばれる場所だ。標高452mから眺める景色は圧巻で、駿河湾と富士山を見ることができる。
山頂の「アクアリング」から富士山がはっきり見えた。
山頂の「アクアリング」から富士山がはっきり見えた。
「碧テラス」には、2025年に新たな絶景スポット「アクアリング」が誕生している。円形にデザインされたステージからは360度のパノラマビューが体感でき、まるで空中に浮かんでいるような不思議な感覚が味わえる。
木漏れ日が涼しげな「フォレストウォーク」。
木漏れ日が涼しげな「フォレストウォーク」。
その先に進むと木々が美しい回廊「フォレストウォーク」がある。木漏れ日の下を歩くのは気持ちがよく、涼しく散策を楽しむことができた。階段の先にあるのは、遊歩道の「グランドループ」。せり出すように設計された展望デッキからの眺めもまた格別だ。しばし駿河湾と富士山の眺めを堪能する。
ランチは、絶景を眺めながら食事が楽しめる「かつらぎ茶寮」へ。夏らしいメニュー「桜海老とねばねば野菜添え冷やしそうめん」を頼んだ。

オクラのねばり気で、つるつるとした麺につゆが絡んで喉ごしよく食べられる。桜エビの香りもよく、食欲が刺激された。
「桜海老とねばねば野菜添え冷やしそうめん」1,400円。
「桜海老とねばねば野菜添え冷やしそうめん」1,400円。
デザートには、「プレミアムかき氷」を。味が4種類ある中で、伊豆いちご味を選んだ。
「プレミアムかき氷(伊豆いちご)」2,100円。※期間限定
「プレミアムかき氷(伊豆いちご)」2,100円。※期間限定
地元のいちごをたっぷり使用したソースと、バニラアイスをトッピングしたかき氷は、ボリュームたっぷりだが、ふわふわとした口当たりでぺろりと食べられる。追いがけできるソースが付いているのもうれしい。
 
帰りは山麓駅近くにあるお土産ショップ「ブルーマーケット!」で買い物を。〈伊豆パノラマパーク〉を十分に満喫できた。

ワーケーションの旅の締めくくりに狩野川へ


伊豆長岡駅に戻り、伊豆箱根鉄道へ乗車。最後に狩野川へ立ち寄って、旅を締めくくることに。伊豆仁田駅で下車し、〈川の駅 伊豆ゲートウェイ函南〉へ向かう。
ここでは狩野川の河川敷に広大な自然が広がり、気持ちのよい散策が楽しめる。ドッグランや多目的広場、キャンプ場などの施設もあり、住民の憩いの場になっているのだとか。週末にはマルシェやイベントなどの開催もあるようだ。
 中伊豆エリアは自然景観が美しく、心穏やかに過ごせる場所だと実感した。最後まで中伊豆の自然を満喫し尽くしたワーケーションの旅だった。
伊豆箱根鉄道での帰り道、中伊豆を旅するワーケーションの旅を振り返ってみる。仕事もしながら、自分の時間を楽しむワーケーション。メリハリのある1泊2日で、仕事へのモチベーションが向上したように感じた。何より中伊豆は自然が豊かで、ワーケーション中のリフレッシュには最適なエリア。またワーケーションの旅に訪れてみたい。

 

Text:Ayumi Otaki
Photo:Akihiro Morita



いつもと違う静岡県観光には〈伊豆箱根鉄道〉ワーケーションの旅がおすすめ。

蔵屋鳴沢


所在地静岡県伊豆の国市中272-1
アクセス伊豆箱根鉄道駿豆線「伊豆長岡駅」から徒歩約20分、またはタクシーで約5分
電話番号055-949-1208
URLhttps://kuraya-narusawa.co.jp/
営業時間9:00〜17:00
休業日年中無休


 

韮山反射炉


所在地静岡県伊豆の国市中260-1
アクセス  伊豆箱根鉄道駿豆線「伊豆長岡駅」から徒歩約30分、またはタクシーで約5分
電話番号韮山反射炉ガイダンスセンター 055-949-3450
URLhttps://www.city.izunokuni.shizuoka.jp/bunka_bunkazai/manabi/bunkazai/hansyaro/index.html
営業時間3月〜9月:9:00〜17:00
10月〜2月:9:00〜16:30
休業日第3水曜(祝日の場合は翌日)・年末年始
料金大人(高校生以上) 500円
子ども・幼児 50円


 

珈琲焙煎 稜星堂


所在地静岡県伊豆の国市南條730-12
アクセス伊豆箱根鉄道駿豆線「伊豆長岡駅」から徒歩すぐ
URLhttps://ryouseido.com/
Instagram@ryouseido
営業時間10:00〜17:00
休業日火曜
※水曜はコーヒー豆の販売とテイクアウトのみ


 

狩野川さくら公園


所在地静岡県伊豆の国市中条162-1他
アクセス伊豆箱根鉄道駿豆線「伊豆長岡駅」から徒歩約22分、またはタクシーで約4分


 

石のや 伊豆長岡


所在地静岡県伊豆の国市長岡192
アクセス伊豆箱根鉄道駿豆線「伊豆長岡駅」から徒歩約30分、またはタクシーで約10分
※無料送迎サービスあり(要予約)
電話番号055-947-0733
URLhttps://www.ishinoya.jp/izunagaoka/
Instagram@ishinoya_official
休業日不定休


 

伊豆パノラマパーク


所在地静岡県伊豆の国市長岡260-1
アクセス伊豆箱根鉄道駿豆線「伊豆長岡駅」からバスで約15分、下車後徒歩で約2分
電話番号055-948-1525
URLhttps://www.panoramapark.co.jp/
Instagram@izu_panoramapark
営業時間夏季:9:00〜17:30(上り最終 17:00)
冬季:9:00〜17:00(上り最終 16:30)
休業日年中無休
料金国内居住者当日券(ロープウェイ往復乗⾞券含む)
 大人(中学生以上)3,500円
 子ども(小学生)1,800
 幼児(3才以上)900円


 

川の駅 伊豆ゲートウェイ函南


所在地静岡県田方郡函南町塚本920-1
アクセス伊豆箱根鉄道駿豆線「伊豆仁田駅」から徒歩約30分、またはタクシーで約7分
電話番号055-979-7048
URLhttps://www.kawanoekiizugateway.com/
Instagram@kawanoeki_igw
営業時間9:00〜17:00


 
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