宿場町に生まれた“旅”をテーマにした書店
かつて江戸と京都を結ぶ、東海道五十三次の宿場町として栄えた東京都品川区。江戸側から見た最初の宿場町としても知られている。その中心となる北品川駅付近の旧東海道は、史跡や社寺が点在し、当時の面影が残る場所。現在は商店街となっているこの通りに、独立書店〈KAIDO books & coffee〉がある。
「人力車で街をガイドするうちに、歴史を知ると街の見え方が変わることに気づきました。僕の生まれ育った品川もかつては宿場町として栄えた街です。『もしかしたら品川も見せ方を変えたらもっとおもしろい街になるのでは』と考えたことが、街に深く関わるきっかけとなりました」
〈KAIDO books & coffee〉店主の佐藤亮太さん。
「たくさんの旅人が行き交った品川宿は、かつては日本一の交通量があった場所。そんな品川宿の歴史に沿ったサービスを展開したいと考え、書店のテーマを“旅”に決めました」店名の「KAIDO」は、品川宿から着想を得た「街道」から。“場所と場所、人と人をつなぐ”という思いを込めた。そのコンセプトを体現するように、ただの書店ではなく人が集まれるカフェスペースも用意。パティシエと開発したスコーンや自家製のホットドッグが人気だ。
地域の人にとって大事なお休みどころのような存在に
「田中さんは日本や世界各地の街道を練り歩いてきた街道歩きのレジェンドとして知られ、2014年までは北品川で古本屋〈街道文庫〉を営業していました。その貴重な本を委託販売という形式で、〈KAIDO books & coffee〉で取り扱っています」
本棚は北海道から沖縄まで地域ごとにくくられてはいるが、食や文化など緩やかなジャンル分けで並べられ、思いがけない本との出会いや発見が楽しめる。
「萩田さんは、無補給単独徒歩で北極や南極の極地に挑戦します。風の音もなく、周りがまったく見えない極限状態の中で生死をさまよいながら進む、そのリアリティに圧倒されて読んだ後は放心状態になりました。
しかし極地の厳しさや冒険の醍醐味といった単なる記録ではなく、“なぜ人は生きるのか”という哲学に触れられるのがこの本の魅力といえます。旅や冒険を通じて得られるものを凝縮した一冊で、自分の生き方を見つめ直したくなりました。
萩田さんとは普段から交流があり、彼が神奈川県大和市で営む〈冒険研究所書店〉も大変おもしろいので、ぜひ機会があれば立ち寄ってみてください」
「近所の方に『お休みどころ』と言われることも(笑)。コンセプトである“旅”とは異なる文脈でご利用いただく方も多いのですが、それでも構わないと思っています。品川宿は外から入ってくるさまざまな方を受け入れて発展してきた文化があります。そして旅のよさも、訪れた場所の歴史や文化を受け入れて自分の価値観が変わったり、発見があったりすること。そういった意味で考えると、品川宿らしさや旅のおもしろさを表すお店になってきたのかなと感じます」
Text:Ayumi Otaki
Photo:Akihiro Morita
いつもと違う東京都観光には、品川区の〈KAIDO books & coffee〉がおすすめ。
KAIDO books & coffee
| 所在地 | 東京都品川区北品川2-3-7 丸屋ビル103 |
| アクセス | 京急「北品川駅」から徒歩約7分、または「新馬場駅」から徒歩約5分 |
| @kaido_booksandcoffee | |
| 営業時間 | 9:00〜18:00 |
| 営業日 | 金曜、土曜、日曜・祝日 |
※記事中の商品・サービスに関する情報などは、記事掲載当時のものになります。詳しくは店舗・施設までお問い合わせください。