京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」

千利休生誕500年 ゆかりの地をめぐる

堀川遊歩道:かつて利休が居を構えた聚楽屋敷近くの堀川。周辺には名水が湧く井戸が複数あります

堀川遊歩道:かつて利休が居を構えた聚楽屋敷近くの堀川。周辺には名水が湧く井戸が複数あります

※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。

現地スタッフ おすすめポイント
現地スタッフ

令和4(2022)年は、千利休の生誕から500年を迎える記念の年。千利休は大永2年(1522)に堺の商家に生まれ、武野紹鷗にわび草庵の茶を学びました。堺が織田信長の直轄地となった際、信長に茶頭(さどう)として重用されるようになり、本能寺の変以降は豊臣秀吉の茶頭になりました。晩年には政治や軍事にも助言するようになった利休。京都に残る足跡をたどり、茶聖・利休のこころにふれてみませんか。

京都の混雑状況(2022年10月25日現在) ★★★☆☆ 例年並です。 ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

京都市バス「堀川中立売」からスタートです!

市バス「堀川中立売」へのアクセス:「京都駅前」より市バス9・50号系統で約25分
モデルコースの所要時間:3時間30

ルート

市バス「堀川中立売」からスタート!

徒歩約3分(約280m)

1

「樂美術館」

徒歩約5分(約450m)

2

「晴明神社」

徒歩約11分(約900m)

3

「茶道資料館」

徒歩約18分(約1km)

4

「大徳寺 大仙院」

利休の侘び茶の思想を濃厚に反映した樂茶碗

樂美術館:初代長次郎による「万代屋黒」は、小振りでゆがみや装飾を排した利休好みの茶碗

©「初代長次郎 黒樂茶碗 万代屋黒〈16世紀頃〉」 提供元:樂美術館

樂美術館:初代長次郎による「万代屋黒」は、小振りでゆがみや装飾を排した利休好みの茶碗

らくびじゅつかん

樂美術館

桃山時代に樂家初代・長次郎によって始められた樂焼。焼物師の初代・長次郎が千利休の指導によって、侘び茶の理想に叶う茶碗を生み出したと伝わります。轆轤(ろくろ)を使用せず手で捏ねあげる初代・長次郎の茶碗は、自然な凹凸の変化や光黒褐色の変化のある景色など、静かな存在感を放っています。当時は聚楽土を使ったことから「聚楽焼」とも、前衛的な作品性から「今焼」とも呼ばれていました。
写真の「万代屋黒」は利休が好んで使った茶碗の一つで、利休から娘婿の万代屋宗安に伝来し、現在は樂美術館が所有する名作です。同館では、樂家歴代の作品、茶道工芸美術品や古文書など約1200点を所蔵し、年に4回樂焼と茶道美術の企画展を開催しており、8月27日よりスタートする樂歴代 特別展※で「万代屋黒」を目にすることができます。歴代の茶碗から時空を超えた魂に想い馳せてみては。
※樂歴代 特別展「利形の守破離 -利休形の創造と継承-」2022年8月27日(土)~12月25日(日)開催。詳細は公式HP

樂美術館:樂焼窯元・樂家に隣接する樂美術館。樂家がこの地に居と窯場を構えたのは桃山時代。聚楽第近くに位置したことから、その一字を取って「樂焼」となったと伝わります

提供元:樂美術館

樂美術館:樂焼窯元・樂家に隣接する樂美術館。樂家がこの地に居と窯場を構えたのは桃山時代。聚楽第近くに位置したことから、その一字を取って「樂焼」となったと伝わります

樂美術館:現在の樂家建物は1855年再建されたもので国の登録文化財。石標に記された「樂吉左衞門」は樂家が代々襲名する名前です

提供元:樂美術館

樂美術館:現在の樂家建物は1855年再建されたもので国の登録文化財。石標に記された「樂吉左衞門」は樂家が代々襲名する名前です

基本情報
所在地

京都市上京区油小路通一条下る地図

アクセス

市バス9・12・50・67号系統ほか「堀川中立売」より徒歩約3分、地下鉄烏丸線「今出川」駅より徒歩約13分

電話番号

075-414-0304

URL

https://www.raku-yaki.or.jp/

時間

火曜日~日曜日 10:00-16:30 ※入館は16:00まで

休日

月曜日(但し祝日の場合は開館)、展示替え期間、年末年始

料金

展覧会により異なる


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見所
「晴明神社」まで徒歩約11分(約900m)
「晴明神社」まで徒歩約11分(約900m)

小川がせせらぐ堀川遊歩道を北上しましょう。写真は幾つもの伝説が語り継がれる「一条戻橋」付近。ここから地上に出て堀川通を渡ると、次なる目的地です。


吉祥の水が湧き出す境内に残る利休の面影

晴明神社:安倍晴明を祀る本殿の脇に樹齢推定300年の楠が茂り、神聖な雰囲気を醸しています

提供元:晴明神社

晴明神社:安倍晴明を祀る本殿の脇に樹齢推定300年の楠が茂り、神聖な雰囲気を醸しています

せいめいじんじゃ

晴明神社

平安中期に活躍した天文陰陽博士・安倍晴明を祀る「晴明神社」は、魔除けや厄除けの神社として、信仰を集めています。寛弘4(1007)年、晴明公の偉業を讃えた一条天皇の命により、その御霊を鎮めるために創建されました。その後、応仁の乱や豊臣秀吉による都の造営や度重なる戦火によって規模や社殿が変遷してきました。天正15(1587)年頃、千利休がこの地に聚楽屋敷を構え、境内の「晴明井」を茶湯に用いて秀吉にふるまったと伝わっています。しかし、次第に秀吉との関係が悪化していき、屋敷での切腹を命じられた際に最期に自服した茶もこの水で点てられたものだといわれています。
初夏から初秋にかけて、境内では社紋「晴明桔梗」のモチーフでもある桔梗の花が楚々とした彩りを添えます。

晴明神社:洛中名水の一つにも数えられる境内の「晴明井」。この水は利休が茶をたてるのに使ったと伝わります。※現在、新型コロナ対策のため水流は停止されています

提供元:晴明神社

晴明神社:洛中名水の一つにも数えられる境内の「晴明井」。この水は利休が茶をたてるのに使ったと伝わります。※現在、新型コロナ対策のため水流は停止されています

晴明神社:境内には、以前の一条戻橋を実際の部材を使って再現したミニチュアの橋があります。そばには安倍晴明の式神・十二神将像が控えています

提供元:晴明神社

晴明神社:境内には、以前の一条戻橋を実際の部材を使って再現したミニチュアの橋があります。そばには安倍晴明の式神・十二神将像が控えています

基本情報
所在地

京都市上京区晴明町806(堀川通一条上ル)地図

アクセス

市バス9・12・67号系統「一条戻橋・晴明神社前」より徒歩すぐ、地下鉄烏丸線「今出川」駅より徒歩約12分

電話番号

075-441-6460

URL

https://www.seimeijinja.jp/

時間

月曜日~日曜日 9:00-17:00 ※授与所は16:30まで

休日

年中無休

料金

参拝自由


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見所
「茶道資料館」まで徒歩約11分(約900m)
「茶道資料館」まで徒歩約11分(約900m)

晴明神社の鳥居前には趣のあるバス停「一条戻橋・晴明神社前」(北行き)があります。体力や天候にあわせてバス移動を組み合わせましょう。


精神性を重んじる「わび茶」を大成した利休ゆかりの資料館

茶道資料館:千利休の孫、宗旦が建てた茶室「又隠(重要文化財)」の原寸大の写し

茶道資料館:千利休の孫、宗旦が建てた茶室「又隠(重要文化財)」の原寸大の写し

ちゃどうしりょうかん

茶道資料館

堺の豪商・武野紹鷗らに茶の湯を学び、わび茶を大成した千利休。利休は茶会の形式を簡素化し、自らが茶室の設計に関わり、職人を指導して好みの道具を作るなど、新しい美意識を茶道に持ち込みました。そして、現在まで連綿と続くわび茶を徹底させ、茶禅一味を唱え、千家茶道の礎を築いたのは、利休の孫・千宗旦(1578~1658)です。
裏千家が運営する「茶道資料館」は、茶の湯に関する企画展を開催し、掛物や茶碗、花入などの茶道具や関連の美術工芸品、文献史料などを中心に展示を行うミュージアムです。館内には利休好四畳半を再現した茶室「又隠(ゆういん)」の原寸大の写しがあり、宗旦が2度目の隠居の際に建てたことから名付けられました。また、展示室では年に3回企画展が行われ、16代に渡る千家の歴史と各時代における先進性にふれることができます。

茶道資料館:1階展示室での「令和4年 春季展」風景。7月13日~9月1日「裏千家をまなぶ小展示」、9月15日~12月4日「秋季展 裏千家の茶趣―歴代宗匠の茶道具・書画を通して―」を予定

茶道資料館:1階展示室での「令和4年 春季展」風景。7月13日~9月1日「裏千家をまなぶ小展示」、9月15日~12月4日「秋季展 裏千家の茶趣―歴代宗匠の茶道具・書画を通して―」を予定

茶道資料館:館内1階には椅子に腰かける立礼(りゅうれい)式の呈茶席があり、四季折々の中庭の景色を臨みながら一服のお茶を味わえます ※予約優先制

茶道資料館:館内1階には椅子に腰かける立礼(りゅうれい)式の呈茶席があり、四季折々の中庭の景色を臨みながら一服のお茶を味わえます ※予約優先制

基本情報
所在地

京都市上京区堀川通寺之内上る寺之内竪町682地図

アクセス

市バス9・12・67号系統「堀川寺ノ内」より徒歩約3分、地下鉄烏丸線「鞍馬口」駅より徒歩約15分

電話番号

075-431-6474

URL

http://www.urasenke.or.jp/textc/gallery/

開館時間

9:30-16:30 ※入館は16:00まで

休業日

月曜日、展示替期間、年末年始他 ※展覧会によって異なる

料金

入館料:一般700円(特別展は別料金)、呈茶:一般500円
※入館と呈茶は予約優先制


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見所
「大徳寺 大仙院」まで徒歩約18分(約1km)
「大徳寺 大仙院」まで徒歩約18分(約1km)

堀川通をさらに北上し、堀川北大路の交差点から西北へしばらく進むと大徳寺にたどり着きます。大徳寺山内は石畳の道沿いに松並木が続く静謐とした雰囲気。本坊の北側に「大仙院」の案内看板が見えてきます。


利休にまつわる種々の逸話が語り継がれる名刹

大徳寺 大仙院:一の門に通じる参道と門前庭。左手の立派な松は、皇太子時代の平成天皇が植えられたものです

大徳寺 大仙院:一の門に通じる参道と門前庭。左手の立派な松は、皇太子時代の平成天皇が植えられたものです

だいとくじ だいせんいん

大徳寺 大仙院

永正6 (1509) 年に大聖国師によって創建された大仙院は、数ある大徳寺塔頭の中でも特に由緒ある名刹です。境内には室町随一といわれる庭園や方丈建築、襖絵など、高い評価を受けている貴重な文化財があり、当時の趣を感じられます。
千利休は堺の南宗寺とその本山の大徳寺で禅を学んだとされます。大仙院三世の古溪和尚は、利休の参禅の師であったのと同時に利休から茶を学ぶ深い関係でした。方丈の一角にある茶室は、利休が豊臣秀吉に茶をふるまったエピソードが残る場所。利休は、茶室前の石庭の銘石を濡らした上に一輪の花をいけ、茶を呈するタイミングで障子を開けてその景色を見せる演出をし、秀吉も大層喜んだそう。のちに、秀吉の怒りにふれて切腹を命じられた利休。さらし首にされた利休の首を持ち帰り、手厚く葬ったのも古溪和尚でした。千利休の帰依を受けて以降現在まで、茶人の系譜は大仙院歴代と密接な関係があります。

大徳寺 大仙院:拝観者玄関には沙羅双樹(写真)や紅葉などの四季の草木が彩りを添えます。玄関の左手には、方丈玄関(国宝)の外観を目にすることができます

大徳寺 大仙院:拝観者玄関には沙羅双樹(写真)や紅葉などの四季の草木が彩りを添えます。玄関の左手には、方丈玄関(国宝)の外観を目にすることができます

大徳寺 大仙院:院内でいただける秀吉ゆかりの「三福茶」。ともに供される菓子の「千瓢」は八ツ橋風味のひと口饅頭で、後を引くおいしさ。お土産には箱入りを購入可能

大徳寺 大仙院:院内でいただける秀吉ゆかりの「三福茶」。ともに供される菓子の「千瓢」は八ツ橋風味のひと口饅頭で、後を引くおいしさ。お土産には箱入りを購入可能

基本情報
所在地

京都市北区紫野大徳寺町54-1地図

アクセス

市バス12・204・205・206号系統ほか「大徳寺前」、市バス9・37・67号系統ほか「下鳥田町」より各徒歩約8分

電話番号

075-491-8346

URL

https://daisen-in.net/

時間

【3月~11月】月曜日~日曜日 9:00-17:00 【12月~2月】月曜日~日曜日 9:00-16:30

休日

年中無休

料金

拝観料(一般)400円 ※2023年より(一般)500円に改定、三福茶300円


お疲れ様でした

お疲れ様でした

大徳寺総門を出て、大徳寺道を南に行くと北大路通沿いにバス停「大徳寺前」があります。ここから京都駅や市内中心部へ向かう市バスが運行しています。


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