京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を遊ぶ 更新日:2023.07.06
東山の由緒ある写経道場で写経を体験
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
筆で字を書く機会はどれくらいあるでしょうか?暑い季節の京都旅行には、清涼な山の空気の中で行う写経体験がおすすめです。般若心経262文字に想いを込めて、没入する時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
京都の混雑状況(2023年6月1日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。
うんりゅういん
雲龍院
御寺泉涌寺の別格本山である「雲龍院」は、南北朝時代の天皇の菩提寺であり、1372年に後光厳天皇により創建されました。次の帝である後円融天皇が写経の功徳を御信奉されて以来、写経道場として信仰を集めてきました。1642年には後水尾天皇より写経会に要する仏具百余点が寄進され、現在も「如法写経会」が勤修されています。受付時間内であれば、珍しい朱色の墨を使った写経を修行体験することができます。650年以上の間、人々が願いを込めて文字を綴った場所で、ひとときの安らぎを感じてみてはいかがでしょうか。
写経体験 | |
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料金 | 1,500円 ※拝観料・御抹茶込み |
所要時間 | 約1時間~1時間30分 ※所要時間は目安です |
定員 | 1名~ ※大人数で参加する場合は、事前に要予約 |
受付時間 | 10:00-15:00 ※行事などにより変動あり |
雲龍院 | |
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所在地 | 京都市東山区泉涌寺山内町36地図 |
アクセス | 京阪・JR「東福寺」駅より徒歩約20分、市バス58・88・202・207・208号系統「泉涌寺道」より徒歩約15分 |
電話番号 | 075-541-3916 |
URL | |
時間 | 月曜日~火曜日、木曜日~日曜日 9:00-17:00(16:30受付終了) |
拝観休止日 | 水曜日 ※11月を除く |
拝観料 | 400円 |
受付
まずは書院にある拝観入口で、写経の申し込みをします。少人数であれば事前予約は不要ですが、体験には1時間30分ほどかかるので、時間に余裕を持って臨みましょう。
口のお清め
受付から雲龍院龍華殿へと移動し、お清めをしていきます。まず口から発する「不妄語・不綺語・不悪口・不両舌」の四つのことを清めるため、丁字(ちょうじ)を一つ口に含みます。写経中もそのまま口に含み、終わったらお庭などの自然に返します。
身体のお清め
次に塗香(ずこう)を手に塗り、身体でする「不殺生・不偸盗・不邪淫」の三つの行為を清めます。塗香とは、香木や漢薬などの香原料を細かいパウダー状にし、混ぜ合わせたお香です。
心のお清め
最後に加持祈祷した清水の「酒水(しゃすい)」を頭に注いでいただきます。これは、心から生まれる「不慳貪・不瞋恚・不邪見」の三つのことを清めます。
写経をする
お清めが終わったら写経を行います。雲龍院では、昔は貴重とされ、また魔除けともなる「朱墨」が代々使われています。「般若心経」が薄く書かれているので、その上から想いを込めて一字ずつ筆でなぞっていきます。
完成
書き終わったら最後に心願(願い事)を「右為」の下に書き入れます。家内安全・病気平癒・心願成就などはもちろんのこと、「〇〇になりますように」など自分の言葉でも良いそうです。最後に住所・氏名を書き入れて完成です。
納経
全て書き終えた写経を正面の三方の上に納め、雲龍院にて祈念いただきます。そのまま持ち帰ることもでき、ご自身と縁の深い寺院などに納めても良いそうです。
境内を拝観
境内には写経を行う本堂の龍華殿以外にも、見どころがたくさん。書院にある円窓「悟りの窓」や、4つの四角い窓が並んだ「蓮華の間」など美しい庭を様々な角度から楽しむことができます。夏には桔梗が花咲き、彩りを添えます。
拝服
最後に赤穂浪士・大石内蔵助が書いた額が飾られた「大輪の間」でお抹茶とお菓子をいただきます。風で木々がざわめく中、晴れやかな鳴き声を聞かせてくれる鳥たち。東山の自然を感じながら心静かな時間を過ごすことができます。
静寂な空気の中、筆を持って字を書くことで、とても穏やかな気持ちになれました。だんだんと集中していくのを感じ、目の前の文字に入り込んでいくような不思議な感覚に包まれた体験でした。
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