京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を見る 更新日:2024.02.22
源氏物語ゆかりの地の桜

提供元:平等院
平等院:春には阿字池に浮かぶ「鳳凰堂」を取り囲むように桜が咲く風光明媚な光景が楽しめます
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。


紫式部が描いた「源氏物語」の舞台の中心である京都。今回は物語が生まれた場所や、登場人物ゆかりの地を彩る桜をご紹介します。今年の春は国風文化を育んだ平安時代に想いを馳せながらお花見を楽しんでみてはいかがでしょうか。
京都の混雑状況(2024年2月1日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。
光源氏も参列した京の祭に思いを馳せて

提供元:上賀茂神社
上賀茂神社:葵祭の象徴・斎王の名を冠した紅枝垂れ桜の「斎王桜」
かもわけいかづちじんじゃ(かみがもじんじゃ)
賀茂別雷神社(上賀茂神社)
京都でもっとも古い神社と言われる通称「上賀茂神社」は、677年には賀茂神宮として現在の社殿の礎が造営されていました。京都三大祭のひとつである葵祭の正式名称は「賀茂祭」ですが、祭事に関わる人たちが葵を身に着けることから、葵祭と呼ばれるようになりました。源氏物語の「葵」の巻に登場する祭は、まさにこの賀茂祭のこと。当時から多くの見物客が訪れる京都を代表する祭で、光源氏が参列する行列を見ようと、正室である葵の上と六条御息所が「車争い」という事件を起こす印象的な場面として描かれています。斎王とは天皇に代わり神に仕えるために選ばれた未婚の皇族女性のこと。春にはその名を冠した紅枝垂れ桜の「斎王桜」など、数々の名桜が境内を華やかに染め上げます。

提供元:上賀茂神社
上賀茂神社:斎王桜に並ぶ古木である早咲きの「御所桜」は淡い花の色が特徴的な枝垂れ桜。孝明天皇が京都御所より御下賜された桜として、この名で呼ばれています

提供元:上賀茂神社
上賀茂神社:二の鳥居前では、ピンク色が目を引く紅枝垂れ桜の「風流桜」を見ることができます。葵祭ではこの風流桜の木が風流傘と花傘を並べる目印になります
基本情報 | |
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所在地 | 京都市北区上賀茂本山339番地地図 |
アクセス | 地下鉄烏丸線「北山」駅より徒歩約15分、市バス4・46・67号系統「上賀茂神社前」より徒歩すぐ |
電話番号 | 075-781-0011 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 5:30-17:00 |
休日 | 年中無休 |
料金 | 境内無料 |
日本文化の礎が生まれた平安時代の中心地

出典:(一財)国民公園協会京都御苑
京都御苑:五摂家筆頭・近衞家の邸宅跡庭園は「近衞邸跡の糸桜」と呼ばれる枝垂れ桜の名所としても知られています
きょうとぎょえん
京都御苑
千年以上にわたり天皇の住まいと政務の場だった「京都御所」は、紫式部が中宮彰子に仕え、また「源氏物語」でも中心となる場所です。当時は今よりもう少し西にあり、現在地へは1331年に移転。東京遷都に伴い一時は荒廃しましたが、明治天皇の計らいで行われた「大内保存事業」で京都御苑が誕生。1915年の大正天皇の即位式にあわせて大規模な改修が行われ、今日の姿の基礎が作られました。現在は休憩所や児童公園・運動施設などが整備されています。近衞邸跡にある約60本の枝垂れ桜をはじめ、御苑内には様々な種類の桜が植えられています。そのため3月中旬から1ヶ月以上もの間、桜を楽しむことができます。日本の歴史を見守り続けた地で、国花を愛でる春のひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

提供元:環境省京都御苑管理事務所
京都御苑:御苑内の西南にある「出水の小川」は水とふれあえるように作られた100mほどの小川。周辺には多くの品種の桜が植えられ、水のせせらぎと桜の共演を見ることができます

提供元:環境省京都御苑管理事務所
京都御苑:遅咲きの「御衣黄桜(ぎょいこうざくら)」は、出水の小川の南起点付近に1本だけ植えられた珍しい品種。貴族の服の色である萌黄(もえぎ)に近い花の色が名前の由来で、仁和寺発祥とされる京都にゆかりの深い桜です
基本情報 | |
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所在地 | 京都市上京区京都御苑地図 |
アクセス | 地下鉄烏丸線「丸太町」・「今出川」駅より各徒歩約5分 |
電話番号 | 075-211-6348(環境省京都御苑管理事務所) |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 24時間入場可能 |
休日 | 年中無休 |
料金 | 入場無料 |
紫式部、そして古典文学の傑作が生まれた地

提供元:廬山寺
廬山寺:紫式部が「源氏物語」を生んだ場所に彩りを添えるソメイヨシノ
ろざんじ
廬山寺
天台圓浄宗の本山「廬山寺」は、元三大師によって天慶年中(938~947年)に船岡山に創建されました。天正年間(1573~1593年)に移転。移転先である現在地は、紫式部の曽祖父である藤原兼輔が建てた邸宅跡地として知られています。「源氏物語」や「紫式部日記」など、紫式部が作品のほとんどを執筆したのがこの邸宅です。「源氏物語」の「花散里」の巻に登場する屋敷はこのあたりだと言われています。境内には、紫式部が幼友達に贈った歌が刻まれた石碑や、平安朝の庭園の“感”を表現した「源氏庭」など、紫式部のゆかりを感じられる見どころもたくさん。桜の時期には、ソメイヨシノが彩りを添えます。物語のファンなら誰もが訪れたい、まさに聖地とも言える場所です。

提供元:廬山寺
廬山寺:昭和40(1965)年11月に「源氏庭」が整備され、紫式部の宅址を記念する顕彰碑が建てられました。庭には紫式部にちなんで紫の桔梗が植えられ、6月末から9月初めまで咲き続けます

提供元:廬山寺
廬山寺:「源氏庭」は雲に見立てられた緑の苔が白砂に映える庭園です。この庭を眺めながら写経体験をすることもでき、心を込めて文字を綴るうちに、この地で執筆した紫式部の気分が味わえるかもしれません
基本情報 | |
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所在地 | 京都市上京区寺町通り広小路上る北之辺町397地図 |
アクセス | 京阪「出町柳」駅・「神宮丸太町」駅より各徒歩約15分、市バス3・4・17・205号系統「府立医大病院前」より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-231-0355 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 9:00-16:00 |
休日 | 年中無休 |
拝観料 | 500円 |
水面に揺れるこの世の春

提供元:平等院
平等院:阿字池に浮かぶ「鳳凰堂」を取り囲むように桜が並ぶ日本最古の浄土庭園
びょうどういん
平等院
「源氏物語」の最終章となる「宇治十帖」の舞台となった宇治。平等院の地は元々、光源氏のモデルと言われる嵯峨天皇の息子・源融が所有していた別荘で、1052年に父である道長より受け継いだ藤原頼通によって寺院として開かれました。平等院庭園は、平安時代に完成した最古の浄土庭園として、当時の貴族たちが追い求めた極楽浄土を表現。春には阿字池に浮かぶ「鳳凰堂」を取り囲むように桜が咲き、風光明媚な光景を楽しむことができます。また桜が散るころに色づき始める藤も見どころの一つで、1mを越える花房は滝にも例えられるほど。夏には蓮、秋は紅葉、冬には椿など、四季を通じて華やかな庭園の様相に時の権力者たちも心癒されたことでしょう。

提供元:平等院
平等院:平等院の塔頭である「浄土院」は、ちょうど「鳳凰堂」の背面側にあります。庭先には3月上旬から下旬にかけて大きな木瓜に真っ赤な花が咲き、3月下旬には枝垂れ桜との共演が楽しめます

提供元:平等院
平等院:「鳳凰堂」は紫式部が活躍した華やかな藤原摂関時代を感じさせる遺構として、国宝にも指定されています。屋根上に据えられた1対の鳳凰と、建物の形が羽を広げた鳥に見えることから、江戸時代始め頃より「鳳凰堂」と呼ばれるようになったそう
基本情報 | |
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所在地 | 京都府宇治市宇治蓮華116地図 |
アクセス | JR・京阪「宇治」駅より各徒歩約10分 |
電話番号 | 0774-21-2861 |
URL | |
時間 | 【庭園】月曜日~日曜日 8:30-17:30(受付終了17:15) |
休日 | 年中無休 |
拝観料 | 「庭園+平等院ミュージアム鳳翔館」大人600円 ※2024年4月1日より700円 |
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