京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」

庭園散策とともに堪能する紅葉狩り

無鄰菴:120年前に山縣有朋が庭を眺めた部屋から見る「近代日本庭園の傑作」と言われる名勝

©植彌加藤造園

無鄰菴:120年前に山縣有朋が庭を眺めた部屋から見る「近代日本庭園の傑作」と言われる名勝

※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。

現地スタッフ おすすめポイント
現地スタッフ

秋の深まりを感じさせる深紅の木々は、見る人の心を高揚させる美しさがあります。今年の紅葉狩りは、丁寧に整えられた庭園で鮮やかに色づく木々をゆったりと愛でる、そんな贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

京都の混雑状況(2023年9月28日現在) ★★★★☆ 例年よりも混雑しています。 ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

江戸の情景を今に伝える仏寺庭園

渉成園:鮮やかに紅葉するイロハモミジの並木が美しい「丹楓渓(たんぷうけい)」の景色

提供元:東本願寺

渉成園:鮮やかに紅葉するイロハモミジの並木が美しい「丹楓渓(たんぷうけい)」の景色

しょうせいえん

渉成園

東本願寺の飛地境内地である「渉成園」は、1641(寛永18)年に江戸三代将軍・徳川家光から寄進された寺地に造られた東本願寺十三代・宣如上人の隠居地でした。作庭家としても有名な武将・文人の石川丈山の趣向を入れて作庭され、今もなお当時の姿のまま残る貴重な庭園となっています。印月池の北側にある「丹楓渓(たんぷうけい)」の紅葉したイロハモミジ並木が、秋の見どころのひとつ。他にもイチョウやメタセコイヤなど、様々な植物が色づき季節の変化を伝えてくれます。また、庭を整える「植彌加藤造園」が発行する職人目線で見どころを紹介する見どころマップ『庭だより』は、季節ごとに発行。公式HPでも閲覧可能なので、訪れる前に一読しておくと、より深くお庭が楽しめます。江戸時代から変わらない四季の美を、広大な庭の隅々で見つけてみてください。

渉成園:丹楓渓と北大島を繋ぐ木橋「回棹廊(かいとうろう)」は、池に写る紅葉と橋が美しくフォトスポットとしてもオススメ。儒学者・頼山陽が「渉成園記」に記した渉成園十三景の一つに数えられる景色です

提供元:東本願寺

渉成園:丹楓渓と北大島を繋ぐ木橋「回棹廊(かいとうろう)」は、池に写る紅葉と橋が美しくフォトスポットとしてもオススメ。儒学者・頼山陽が「渉成園記」に記した渉成園十三景の一つに数えられる景色です

渉成園:江戸末期の二度の火災により、渉成園内の建物はすべて焼失。今ある建物は明治期に復元されたものです。京都タワーが借景になる角度もあるので、ぜひ探してみましょう

提供元:東本願寺

渉成園:江戸末期の二度の火災により、渉成園内の建物はすべて焼失。今ある建物は明治期に復元されたものです。京都タワーが借景になる角度もあるので、ぜひ探してみましょう

基本情報
所在地

京都市下京区下珠数屋町通間之町東入東玉水町地図

アクセス

各線「京都」駅より徒歩約10分、市バス5・26・86・88・205・206系統他「烏丸七条」より徒歩約5分

電話番号

075-371-9210

URL

https://www.higashihonganji.or.jp/about/guide/shoseien/

時間

【3月~10月】9:00-17:00(受付は16:30まで)
【11月~2月】9:00-16:00(受付は15:30まで)

休日

年中無休

料金

「庭園維持寄付金」500円~


秋風に揺られる深紅が彩る古刹

等持院:心の字を描いた池泉「心字池」を中心とした回遊式庭園の「東庭」

提供元:等持院

等持院:心の字を描いた池泉「心字池」を中心とした回遊式庭園の「東庭」

とうじいん

等持院

臨済宗天龍寺派の禅寺「等持院」は暦応4(1341)年に天龍寺開山である夢窓疎石を開山とし、足利尊氏によって創建されました。境内には足利尊氏の墓所があり、15代続いた足利氏の菩提寺として禅宗十刹の筆頭寺院に挙げられます。等持院のお庭は、大きく3ヶ所に分かれています。まず、心の字を描いた池泉「心字池」を中心とした回遊式庭園の「東庭」は、紅に染まるモミジが池に映る“逆さモミジ”が見事です。次に、芙蓉池を中心に茶室 清漣亭がある「西庭」。常緑樹である松などの緑と、真っ赤なモミジが共演する姿を見ることができます。そして、1本のモミジと白砂のコントラストが美しい枯山水の「南庭」。これら3つの魅力ある庭園で、深まる秋を心ゆくまで堪能してみてはいかがでしょうか。

等持院:書院では等持院限定菓子の「芙蓉の月」とお抹茶をいただきながら、ゆったりと「西庭」を眺めることができます。中心となる芙蓉池は蓮の花を模したもの。初秋には芙蓉が花を咲かせます

提供元:等持院

等持院:書院では等持院限定菓子の「芙蓉の月」とお抹茶をいただきながら、ゆったりと「西庭」を眺めることができます。中心となる芙蓉池は蓮の花を模したもの。初秋には芙蓉が花を咲かせます

等持院:現在の方丈(本堂)は、福島正則が建立した妙心寺塔頭海福院から文化9(1812)年に移築されたもの。霊光殿には、足利歴代の将軍像や徳川家康の像などが安置されているので、ぜひ方丈とあわせてお参りしましょう

提供元:等持院

等持院:現在の方丈(本堂)は、福島正則が建立した妙心寺塔頭海福院から文化9(1812)年に移築されたもの。霊光殿には、足利歴代の将軍像や徳川家康の像などが安置されているので、ぜひ方丈とあわせてお参りしましょう

基本情報
所在地

京都市北区等持院北町63番地地図

アクセス

京福電鉄北野線「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」駅より徒歩約5分、市バス12・15・50・51・55・59系統「立命館大学前」より徒歩約10分

電話番号

075-461-5786

URL

https://toujiin.jp

時間

月曜日~日曜日 9:00-16:30(16:00受付終了)
※12月30日~1月3日は9:00-15:00(14:30受付終了)

休日

年中無休

料金

「大人拝観料」500円、「お抹茶」500円


東山を望む近代日本庭園の自然な美

無鄰菴:七代目小川治兵衛により作庭された「近代日本庭園の傑作」と言われる名勝

©植彌加藤造園

無鄰菴:七代目小川治兵衛により作庭された「近代日本庭園の傑作」と言われる名勝

むりんあん

無鄰菴

「無鄰菴」は、明治27(1894)年から明治29(1896)年に第3代・第9代内閣総理大臣・山縣有朋の別荘として造営されました。七代目小川治兵衛により作庭された庭園は、山縣有朋の3つのリクエストに応えたもの。ひとつは、東山の借景を中心とした庭造りをすること。東向きにだんだん細く高くなっているところに滝をつくり、庭の中心を通る流れが、まるで東山の裾野から母屋に向かって流れるように見えます。2つ目がその流れ。躍動感のある水の流れをつくるため、琵琶湖疏水から引き入れています。そして最後に、苔ではなく芝をはること。それにより開放的な明るい雰囲気になっているそうです。「近代日本庭園の傑作」と言われる名勝の晩秋、紅葉する木々の美しさに時間を忘れて見入ってしまうことでしょう。

無鄰菴:母屋1階から眺める庭は圧巻の迫力。こちらは120年前に山縣有朋が庭を眺めた当時のままの空間です。激動の時代に生きた彼が、ひと時の安らぎを感じる場所だったのかもしれません

©植彌加藤造園

無鄰菴:母屋1階から眺める庭は圧巻の迫力。こちらは120年前に山縣有朋が庭を眺めた当時のままの空間です。激動の時代に生きた彼が、ひと時の安らぎを感じる場所だったのかもしれません

無鄰菴:母屋1階のカフェスペースでは、オリジナルスイーツやお抹茶をはじめ、ジュース、ビールなどが用意されています。庭園を管理する植彌加藤造園の職人によるガイドツアーもあります

©植彌加藤造園

無鄰菴:母屋1階のカフェスペースでは、オリジナルスイーツやお抹茶をはじめ、ジュース、ビールなどが用意されています。庭園を管理する植彌加藤造園の職人によるガイドツアーもあります

基本情報
所在地

京都市左京区南禅寺草川町31番地地図

アクセス

地下鉄東西線 「蹴上」駅より徒歩約7分、市バス5・46・86系統「岡崎公園・美術館・平安神宮前」より徒歩約10分

電話番号

075-771-3909

URL

https://murin-an.jp/

時間

4月~9月 9:00-18:00/10月~3月 9:00-17:00
※最終入場は、閉場時間の30分前まで

休日

12月29日~31日

料金

「入場料」600円「繁忙日料金」900円(4/1~9,24~30、5/1~31、9/24~30、10/15~21、11/1~5、12/1~3)、1,100円(11/6~26)


心潤すせせらぎと紅葉の共演

上賀茂神社:昭和を代表する作庭家・中根金作によって昭和35(1960)年に作庭された曲水庭園「渉渓園(しょうけいえん)」

提供元:上賀茂神社

上賀茂神社:昭和を代表する作庭家・中根金作によって昭和35(1960)年に作庭された曲水庭園「渉渓園(しょうけいえん)」

かもわけいかづちじんじゃ(かみがもじんじゃ)

賀茂別雷神社(上賀茂神社)

賀茂別雷大神を御祭神とする京都で最も古い神社「上賀茂神社」では、秋になると境内一円で赤く染まる紅葉を見ることができます。足立美術館などを作庭した作庭家・中根金作によって昭和35(1960)年に作庭された曲水庭園「渉渓園(しょうけいえん)」は、平安時代の貴族たちの遊びであった“曲水の宴”が平安時代末期の1182年に行われた場所ということに由来します。晩秋には苔庭に流れる小川と紅葉という風情ある景色に。また、4月には「賀茂曲水宴」などの祭事が行われています。さらに、渉渓園にはかつて龍が棲む池があったとされ、その池から出土した願い石(陰陽石)に両手で同時に手を触れることで力をいただけるそうです。紅葉狩りと一緒に、パワースポット巡りも楽しめます。

上賀茂神社:境内に流れる御物忌川と御手洗川が合流した「ならの小川」付近は、紅葉がトンネルのようになっています。川沿いに散ったモミジが作る、紅葉絨毯が見られることも

提供元:上賀茂神社

上賀茂神社:境内に流れる御物忌川と御手洗川が合流した「ならの小川」付近は、紅葉がトンネルのようになっています。川沿いに散ったモミジが作る、紅葉絨毯が見られることも

上賀茂神社:紅葉の季節に授与される可愛らしい「かおり守り」は、モミジの形をしたものから巾着まで色々な種類があります。秋限定なので、訪れた際はぜひチェックしてみてください

提供元:上賀茂神社

上賀茂神社:紅葉の季節に授与される可愛らしい「かおり守り」は、モミジの形をしたものから巾着まで色々な種類があります。秋限定なので、訪れた際はぜひチェックしてみてください

基本情報
所在地

京都市北区上賀茂本山339番地地図

アクセス

地下鉄烏丸線「北山」駅より徒歩約15分、市バス4・46・67号系統「上賀茂神社前」より徒歩すぐ

電話番号

075-781-0011

URL

https://www.kamigamojinja.jp/

時間

境内・渉渓園 月曜日~日曜日 5:30-17:00

休日

年中無休

料金

境内無料

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