京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」

レトロでモダンな京都の西洋風建築

東華菜館 本店:玄関ファサードが印象的な、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズによる生涯唯一のレストラン建築

東華菜館 本店:玄関ファサードが印象的な、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズによる生涯唯一のレストラン建築

※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。

現地スタッフ おすすめポイント
現地スタッフ

京都といえば寺社仏閣、町屋などの「和」の建物をイメージしがちですが、明治・大正期に建てられたモダンな西洋建築の宝庫でもあります。今回は建築様式や意匠も様々楽しめる、個性あるスポットをご紹介します。

京都の混雑状況(2023年11月30日現在) ★★★★☆ 例年よりも混雑しています。 ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

日本近代建築の父が手がけた地域のシンボル

京都文化博物館 別館:“辰野式”と呼ばれる赤レンガに白いラインが特徴的な外観

提供元:京都文化博物館

京都文化博物館 別館:“辰野式”と呼ばれる赤レンガに白いラインが特徴的な外観

きょうとぶんかはくぶつかん べっかん(きゅうにほんぎんこうきょうとしてん)

京都文化博物館 別館(旧日本銀行京都支店)

日本銀行京都支店として明治39(1906)年に竣工。東京駅などで知られる、日本を代表する近代の建築家・辰野金吾とその弟子・長野宇平治が設計した建物です。昭和44(1969)年には国の重要文化財に指定され、現在は京都文化博物館の別館として保存・公開されています。かつて営業室だった場所はホールとして演奏会や講演会などに使われ、所長室や応接室だった場所は和雑貨店などのお店として活用されています。多くの歴史的建造物が残る三条通に佇むこちらの建物。その中でも“辰野式” と呼ばれる赤レンガにライン状に施された白い花崗岩(かこうがん)の装飾や、屋根に設置された自然光を取り入れるための窓(ドーマー窓)といった特徴的な外観は、今も昔も変わらずこの地域のランドマークとなっています。

京都文化博物館 別館:営業室(現在のホール)にはドーマー窓といわれる屋根から自然光を取り入れるための窓が設けられています。こうした細かな建築技術がじっくり見られるのも楽しみの一つ

提供元:京都文化博物館

京都文化博物館 別館:営業室(現在のホール)にはドーマー窓といわれる屋根から自然光を取り入れるための窓が設けられています。こうした細かな建築技術がじっくり見られるのも楽しみの一つ

京都文化博物館 別館:元々金庫室だった場所には「前田珈琲 文博店」があり、その手前の中庭は休憩スペースに。別館を眺めながら喫茶タイムを過ごすことができます

提供元:京都文化博物館

京都文化博物館 別館:元々金庫室だった場所には「前田珈琲 文博店」があり、その手前の中庭は休憩スペースに。別館を眺めながら喫茶タイムを過ごすことができます

基本情報
所在地

京都市中京区三条高倉地図

アクセス

地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池」駅より徒歩約3分

電話番号

075-222-0888

URL

https://www.bunpaku.or.jp/

時間

火曜日~日曜日 10:00-19:30

休日

月曜日(祝日は開館、翌日休館)、年末年始

料金

入場無料 ※催事により入場料金が必要な場合があります。


ルネサンス様式の佇まいと和の技術の融合

京都府庁 旧本館:正面の屋根を中心として左右両翼に対称に張り出した形が特徴的な外観

提供元:京都府庁 旧本館

京都府庁 旧本館:正面の屋根を中心として左右両翼に対称に張り出した形が特徴的な外観

きょうとふちょうきゅうほんかん

京都府庁 旧本館

中庭を彩る祇園しだれ桜などの桜景色でも知られる「京都府庁 旧本館」。明治37(1904)年に京都府庁の本館として竣工。設計は松室重光によるものです。現在も執務室として使用されており、創建時の姿をとどめる現役の官公庁としては日本最古の建造物です。平成16(2004)年には国の重要文化財に指定され、無料で内部を見学することも可能。ルネサンス様式を基本とし、外観は正面の屋根を中心として左右両翼に対称に張り出した形が特徴的です。2023年7月には1階南東の前庭を見渡せる場所にカフェ「salon de 1904」がオープンし、府庁本館時代に使用されていたテーブルや椅子が使用されるなど、華やかながらも落ち着いた空間でカフェタイムを過ごすことができます。

京都府庁 旧本館:明治38(1905)年から昭和44(1969)年まで、京都府議会が開催されていた「旧議場」。竣工110周年(平成26年12月)を迎えた際に、明治期当初の姿へと修復整備されています

提供元:京都府庁 旧本館

京都府庁 旧本館:明治38(1905)年から昭和44(1969)年まで、京都府議会が開催されていた「旧議場」。竣工110周年(平成26年12月)を迎えた際に、明治期当初の姿へと修復整備されています

京都府庁 旧本館:2階にある「正庁」は、旧本館の中で最も格式の高い部屋。大正天皇・昭和天皇即位の礼の際には内閣の閣議も開かれるなど、公式行事や公賓の接遇等を行うための場所です。現在は結婚式会場や撮影場所としても解放されています

提供元:京都府庁 旧本館

京都府庁 旧本館:2階にある「正庁」は、旧本館の中で最も格式の高い部屋。大正天皇・昭和天皇即位の礼の際には内閣の閣議も開かれるなど、公式行事や公賓の接遇等を行うための場所です。現在は結婚式会場や撮影場所としても解放されています

基本情報
所在地

京都市上京区薮ノ内町地図

アクセス

地下鉄烏丸線「丸太町」駅より徒歩約10分、市バス10・93・202・204系統「文化庁前・府庁前」より徒歩約5分

電話番号

075-414-5435

URL

https://www.pref.kyoto.jp/qhonkan/

時間

火曜日~金曜日、土曜日(第1週、第3週、第5週)10:00-17:00
※京都府の事業等により見学できない場合があります。

休日

月曜日、日曜日、祝日及び年末年始

料金

見学無料


ヴォーリズ建築唯一のレストラン

東華菜館:玄関ファサードにあしらわれた印象的な海の幸・山の幸等食材のモチーフ

東華菜館:玄関ファサードにあしらわれた印象的な海の幸・山の幸等食材のモチーフ

とうかさいかん ほんてん

東華菜館 本店

四条大橋の南西にある「東華菜館 本店」は大正15(1926)年に竣工した西洋建築。学校や教会などで知られる建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した、生涯唯一のレストラン建築となっています。玄関ファサードにあしらわれた海の幸・山の幸など食材のモチーフが、館内各所の意匠としても散りばめられています。5階建てのフロアごとに、異なるイメージの内装デザインになっており、どのフロアに案内されるかは訪れた際のお楽しみです。
創業時は西洋料理店でしたが、戦時中に当時のオーナーが中国人の友人・于永善に託してから、現在の北京料理店が誕生。伝統的な北京料理に舌鼓を打ちながら、今もなおほぼ竣工当時の姿を残す、貴重なヴォーリズ建築を堪能してみてはいかがでしょうか。
※見学のみの入場はできません。

東華菜館:玄関の右手にある現存する日本最古のエレベーターも見どころの一つ。1924年に米国で製造・輸入されたもので、昇降は運転手による手動式です

東華菜館:玄関の右手にある現存する日本最古のエレベーターも見どころの一つ。1924年に米国で製造・輸入されたもので、昇降は運転手による手動式です

東華菜館:北京料理は、山東料理がルーツとされ皇帝に献上する宮廷料理が発展したもの。コース料理だけでなく、アラカルトの注文も可能。席だけ予約もできるのでお気軽に

提供元:東華菜館

東華菜館:北京料理は、山東料理がルーツとされ皇帝に献上する宮廷料理が発展したもの。コース料理だけでなく、アラカルトの注文も可能。席だけ予約もできるのでお気軽に

基本情報
所在地

京都市下京区四条大橋西詰地図

アクセス

阪急「河原町」駅・京阪「祇園四条」駅より各徒歩約1分、市バス3・4・17・37・58・201・203・207号系統ほか「四条河原町」より徒歩約4分

電話番号

075-221-1147

URL

https://www.tohkasaikan.com/

時間

11:30-21:30(21:00LO)※平日15:00-17:00は中休み

休日

週1日不定休(HPでご確認下さい)

料金

「コース料理」6,600円(税込)~、「一品料理」1,800円前後(税込)~


明治期の趣を残す京都の知の拠点

京都府立図書館:建築家 武田五一により設計された旧館の面影を残す外壁正面部

提供元:京都府立図書館

京都府立図書館:建築家 武田五一により設計された旧館の面影を残す外壁正面部

きょうとふりつとしょかん

京都府立図書館

日本で最初の公立図書館「集書院」を源流とする「京都府立図書館」は、明治31(1898)年に京都御苑内に設立されました。明治42(1909)年に移転し、レンガ造のフランス・ルネサンス風のクラシックな様式の建物が岡崎エリアに誕生。京都にも多くの建築を残し、旧京都帝国大学に建築学科を設立するなど研究者としても活躍した建築家・武田五一による設計です。阪神・淡路大震災により建物が大きく損傷したため、平成13(2001)年に新館に建て替えられました。外壁正面部は移転当時のまま保存されているので、今も明治期の姿をうかがい知ることができます。また館内では旧館で使われていた扉や階段、天井飾りなどが常設展示されています。

京都府立図書館:明治期に貴賓室にあった調度品や旧館で使われていた家具なども保管され、毎月第3水曜日の館内見学会などで直接見ることができます

提供元:京都府立図書館

京都府立図書館:明治期に貴賓室にあった調度品や旧館で使われていた家具なども保管され、毎月第3水曜日の館内見学会などで直接見ることができます

京都府立図書館:移転当時は3階建てでしたが、平成の建て替えに伴い地上4階地下2階建に。正面にはサンクンガーデン(半地下式の庭)があり、地階閲覧室に光を取り込んでいます

提供元:京都府立図書館

京都府立図書館:移転当時は3階建てでしたが、平成の建て替えに伴い地上4階地下2階建に。正面にはサンクンガーデン(半地下式の庭)があり、地階閲覧室に光を取り込んでいます

基本情報
所在地

京都市左京区岡崎成勝寺町地図

アクセス

地下鉄東西線「東山」駅より徒歩約10分、市バス5・46・86号系統「岡崎公園 美術館・平安神宮前」より徒歩すぐ

電話番号

075-762-4655

URL

https://www.library.pref.kyoto.jp/

時間

火曜日~金曜日 9:30-19:00 土曜日・日曜日・祝日 9:30-17:00

休日

月曜日(祝日及び振替休日は開館、翌日が休館)、第4木曜日(祝日は開館)、年末年始(12月28日~1月4日)、特別整理期間(今年度は2024年1月22日~2月1日)

料金

入場無料

前回までの特集