京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を歩く 更新日:2024.07.18
疏水沿いの木々が涼を呼ぶ夏の哲学の道

哲学の道:哲学者・西田幾太郎にちなみ名づけられた「哲学の道」。脇を流れる琵琶湖疏水の運河は南から北へと流れています
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。


銀閣寺と若王子神社を南北に繋ぐ約2kmの「哲学の道」は、京都大学教授だった哲学者・西田幾太郎が毎朝この道を思索に耽りながら歩いたことから名づけられた散歩道。緑に包まれる今の季節はゆったり散策できるので、周辺の歴史ある庭園や寺社とあわせて巡ってみてはいかがでしょうか。
京都の混雑状況(2024年6月27日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

市バス「銀閣寺道」からスタートです!
市バス「銀閣寺道」へのアクセス:「京都」駅より市バスで約40分
モデルコースの所要時間:約2時間
ルート
市バス「銀閣寺道」からスタート! |
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徒歩約4分(約280m) |
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徒歩約8分(約600m) |
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徒歩約10分(約700m) |
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徒歩約7分(約600m) |
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画家が自らの美を尽くした邸宅

白沙村荘 橋本関雪記念館:大画室「存古楼」を中心とした3つの池を巡る池泉回遊式庭園や茶室、美術館など見どころが尽きません
はくさそんそう はしもとかんせつきねんかん
白沙村荘 橋本関雪記念館
銀閣寺の近くにある「白沙村荘」は10000㎡の敷地を誇り、日本画家の橋本関雪がアトリエとして自ら設計を手掛けた邸宅。画家が設計した貴重な庭園として、国の名勝にも指定されています。敷地内は大画室「存古楼」を中心とした3つの池を巡る池泉回遊式庭園や茶室、美術館など様々な営造物で構成されています。1914年から30年に渡って造営が行われ、造園時期が新しい場所ほどより自然に近い環境に作られているなど、関雪の美意識の変化を感じることができます。1917年以降の大作屏風のほとんどが「存古楼」で描かれたもので、ここから敷地内のほとんどが見えるように設計されています。どこを切り取っても美しい庭園を、じっくり散策してみてください。

白沙村荘 橋本関雪記念館:庭園内には、平安から桃山時代の石塔や石灯籠などの石造美術品がさりげなく配置されています。自然に溶け込むその姿をぜひお見逃しなく

白沙村荘 橋本関雪記念館:美術館では橋本関雪の作品はもちろん、関雪が蒐集した数々の古美術品などが展示されます。2階のテラスからは、庭園と大文字山が一体となった絶景を望めます
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区浄土寺石橋町37地図 |
アクセス | 市バス5・203・204号系統ほか「銀閣寺道」より徒歩約4分 |
電話番号 | 075-751-0446 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 10:00-17:00 ※最終入館受付16:00 |
休日 | 年中無休 ※夏季・冬季に不定休あり |
入館料 | 一般(庭園・美術館含む)1,300円 |
清閑な山寺で観て聴いて心で出会う

法然院:瑞々しい緑に包まれた茅葺きの山門。門前の石碑には「不許葷辛酒肉入山門」の文字が刻まれています
ほうねんいん
法然院
哲学の道を少し東に登った山間にある「法然院」は、浄土宗の開祖・法然上人ゆかりの寺院。鎌倉時代初期、法然上人が弟子の住蓮・安楽と「鹿ヶ谷草庵」を開き修行していたそう。しかし、後鳥羽上皇の女房である松虫・鈴虫が安楽・住蓮を慕って出家したことで、法然は讃岐国へ流罪、安楽・住蓮は処刑され草庵は荒廃。1680年に「知恩院」第三十八世萬無和尚の弟子・忍澂和尚によって再興されました。方丈はその際に伏見の後西天皇の皇女の御殿を移築したもので通常は非公開ですが、春と秋に方丈内部が方丈庭園とあわせて特別公開されます。瑞々しい緑に包まれた茅葺きの山門や、白砂による白砂壇などの境内は年中拝観することが可能です。法然上人の教えを今に伝える古刹で、仏教に出会う静かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

法然院:山門をくぐると、両側に白砂壇(びゃくさだん)という白い盛り砂があります。水を表す砂壇の上には紋様が描かれていて、この白砂壇の間を通ることで心身が清められ浄域へと入ることを意味しています

法然院:白砂壇から本堂へと向かう道は苔むす美しい情景が広がっています。1690年に忍澂和尚が鋳造させた自身と等身大の地蔵菩薩像が、本堂の向い側にある石段の上に安置されています
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地地図 |
アクセス | 市バス5・203・204号系統ほか「浄土寺」より徒歩約10分 |
電話番号 | 075-771-2420 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 6:00-16:00 |
休日 | 年中無休 |
拝観料 | 無料 ※伽藍内特別公開時のみ有料 |
命が巡る自然の中で歴史を紡ぐ古刹

大豊神社:大豊神社:東山三十六峰の第十五峰目“椿ヶ峰”の麓。本殿前の狛へびをはじめ、大国社の狛ねずみ、稲荷社の狛きつね、愛宕社の狛とび、日吉社の狛さるなど、それぞれの社をゆかりの動物が守っています
おおとよじんじゃ
大豊神社
東山三十六峰の第十五峰目“椿ヶ峰”の麓にある「大豊神社」は、元々887年に宇多天皇の病気平癒を祈願するために、少彦名命(すくなびこなのみこと)を祀り創建された勅願社でした。のちに、宇多天皇と親交の深かった菅原道真公と応神天皇が合祀されました。1017年に現在の場所に遷座され、以来鹿ケ谷・南禅寺一帯の氏神として信仰を集めています。また椿ヶ峰の名の通り、春には境内や山内で様々な種類の椿が咲き誇ります。御所から真東の場所に建てられたことから、本殿は御所の方角である西向きに建てられている珍しい造り。本殿前の狛へびをはじめ、大国社の狛ねずみ、稲荷社の狛きつね、愛宕社の狛とび、日吉社の狛さるなど、本殿と4つの末社それぞれをゆかりの動物が守っています。日々の恵みに感謝し、豊かな自然の残る山裾のお社をお参りしましょう。

大豊神社:本殿前には脱皮をくり返すことから、古来より「治病健康長寿」の象徴とされるへびが両脇を守っています。また川の字がへびに見えることから五穀豊穣、ひいては金運恵授の象徴ともされています

大豊神社:大国社前には、大国主命が素戔嗚尊から与えられた試練を、ねずみの助けにより乗り越えたという「古事記」の神話にちなみ狛ねずみが。左のねずみが持つ玉は万物の根源である水玉、右のねずみが持つ巻物は学問や芸事を象徴しています
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区鹿ケ谷宮ノ前町1地図 |
アクセス | 市バス5・32・93・203・204号系統ほか「東天王町」より徒歩約7分 |
電話番号 | 075-771-1351 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00 |
休日 | 年中無休 |
拝観料 | 境内無料 |
緑滴る夏景色を差し色が引き立てる

永観堂 禅林寺:秋に人気の放生池で、夏には山々の新緑と常に赤い種類の紅葉2色の共演が楽しめます
えいかんどう ぜんりんじ
永観堂 禅林寺
貞観5(863)年に弘法大師の弟子である真紹僧都によって創建された「禅林寺」は正式名称を「聖衆来迎山無量寿院禅林寺」といい、「第七世永観律師」にちなみ「永観堂」という通称で知られています。「古今和歌集」で永観堂を詠んだ 平安時代の歌人・藤原関雄の山荘がルーツで、1200年以上前から紅葉の名所として愛されてきました。境内には約3000本のモミジの木々があり、枯れたものは寺内で育てられた木に植え替えられているそう。夏には山々の新緑と常に葉が赤い種類のモミジの2色の共演が楽しめます。境内の山上にある多宝塔からは新緑に染まる寺内と京都の街が一望できるので、ぜひ登ってみてください。また境内には、1504年から1511 年にかけて後柏原天皇(1462-1526)によって 最初に建てられ、その後 1627年に再建された釈迦堂や、桃山時代に豊臣秀頼により大阪の四天王寺から移築された本堂の阿弥陀堂など、見どころは尽きません。

永観堂 禅林寺:大玄関から入ると、釈迦堂や御影堂、開山堂などの諸堂が回廊で結ばれているので、靴を脱いだまま拝観路を進むことができます。回廊の屋根と手すりが額縁のようにお庭を際立たせています

永観堂 禅林寺:釈迦堂の南庭には白砂と緑のコントラストが美しい庭園があります。白砂が水の如く奥から流れてくるかのような、枯山水と池泉庭園とが一体となった光景が広がっています
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区永観堂町48地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「蹴上」駅より徒歩約15分、市バス5号系統「南禅寺・永観堂道」より徒歩約3分 |
電話番号 | 075-761-0007 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00 ※16:00 受付終了 |
休日 | 年中無休 |
拝観料 | 一般600円 |

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