京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」

源氏物語・紫式部ゆかりの地巡り(滋賀・大津)

三井寺(園城寺):西国三十三所観音霊場の第十四番札所である観音堂は大津市街を眺望する小高い場所にあります。お堂前の観月舞台からは遠くに琵琶湖を望めます

三井寺(園城寺):西国三十三所観音霊場の第十四番札所である観音堂は大津市街を眺望する小高い場所にあります。お堂前の観月舞台からは遠くに琵琶湖を望めます

※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。

現地スタッフ おすすめポイント
現地スタッフ

京都と滋賀の県境にある日本仏教の母山・比叡山を狭間に、京都市内からアクセスの良い大津市は、今から約1350年前、天智天皇により創建された近江大津宮にそのルーツがある歴史都市です。雄大な琵琶湖を望む大津には史跡が点在し、紫式部は石山寺で源氏物語を起筆したと伝わります。今回は紫式部ゆかりのスポットをご紹介します。

京都の混雑状況(2024年7月31日現在) ★★★★☆ 例年よりも混雑しています。 ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

平安の女流文学を育んだ霊験あらたかな山寺

石山寺:滋賀県最古の木造建築と言われる本堂。紫式部が源氏物語を執筆した場所とされる「源氏の間」も残されています

石山寺:滋賀県最古の木造建築と言われる本堂。紫式部が源氏物語を執筆した場所とされる「源氏の間」も残されています

いしやまでら

石山寺

奈良時代の天平19(747)年に聖武天皇の勅願により良弁僧正が開基した「石山寺」は、古来より清水寺・長谷寺と並ぶ三観音として信仰を集めてきました。紫式部が源氏物語を起筆した場所であり、他にも「蜻蛉日記」の藤原道綱母や「更級日記」の菅原孝標女、松尾芭蕉や島崎藤村など、数々の文筆家たちが訪れた「文学の寺」としても知られています。本堂の相の間の東端には源氏物語の執筆に使われたとされる「源氏の間」が今も残され、「源氏窓」の由来となった火灯窓を見ることができます。また広大な境内は一年を通して美しい花が境内を彩ることから「花の寺」とも呼ばれ、初秋にはフジバカマやシュウメイギクなどが咲き、晩秋には境内を埋め尽くすモミジが紅に染まります。

石山寺:境内奥に広がる「源氏苑」の一角にある紫式部像。本堂から起伏のある境内を少し歩いた場所にあるので、歩きやすい靴や軽装がオススメです

石山寺:境内奥に広がる「源氏苑」の一角にある紫式部像。本堂から起伏のある境内を少し歩いた場所にあるので、歩きやすい靴や軽装がオススメです

石山寺:鎌倉時代に源頼朝によって寄進されたとされる石山寺の玄関口の「東大門」。後に、淀殿によって新築に近い大規模な修繕が行われたものと伝わっています

石山寺:鎌倉時代に源頼朝によって寄進されたとされる石山寺の玄関口の「東大門」。後に、淀殿によって新築に近い大規模な修繕が行われたものと伝わっています

基本情報
所在地

滋賀県大津市石山寺1-1-1地図

アクセス

京阪「石山寺」駅から徒歩約10分

電話番号

077-537-0013

URL

https://www.ishiyamadera.or.jp/

時間

月曜日~日曜日 8:00-16:30(最終入山16:00)

休日

年中無休

料金

石山寺入山料(入山のみ) 大人600円、本堂内陣拝観 大人500円、石山寺入山セット券(入山・本堂内陣拝観)大人1,000円


源氏物語誕生の地で大河ドラマの世界に出会う

光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館:ききょう(清少納言)の女房装束(十二単)や、まひろ(紫式部)とききょう(清少納言)ゆかりの小道具などが追加

提供元:大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会

光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館:ききょう(清少納言)の女房装束(十二単)や、まひろ(紫式部)とききょう(清少納言)ゆかりの小道具などが追加

ひかるきみへ びわこおおつ たいがどらまかん/げんじものがたり こいするもののあはれてん

光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館/源氏物語 恋するもののあはれ展

紫式部が源氏物語を起筆したと伝わる石山寺の境内にて、「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」が開催されています。7月18日からは展示内容がリニューアルし、現在はききょう(清少納言)の女房装束(十二単)が展示され、第16回放送「華の影」で描写された『香炉峰の雪』のシーンの解説パネルもあわせて設置されています。ストーリーの進捗に合わせて人物紹介パネルなども更新。「枕草子」誕生シーンで使用された小道具も新たに展示されています。同時開催されている「源氏物語 恋するもののあはれ展」もリニューアルされ、イラストレーター・mameによる書き下ろしイラスト6枚が登場。すでに訪れたという方も、新しい出会いが楽しめます。

光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館:石山寺の東大門を進んだ左手にある明王院にて「大河ドラマ館」が開催されています。8月28日には4Kシアターの映像もリニューアル予定です

提供元:大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会

光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館:石山寺の東大門を進んだ左手にある明王院にて「大河ドラマ館」が開催されています。8月28日には4Kシアターの映像もリニューアル予定です

源氏物語 恋するもののあはれ展:明王院に隣接する世尊院にて行われている「恋するもののあはれ展」では、恋をテーマに平安文化を体感できます。「大河ドラマ館」と同じチケットで入館可能

提供元:大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会

源氏物語 恋するもののあはれ展:明王院に隣接する世尊院にて行われている「恋するもののあはれ展」では、恋をテーマに平安文化を体感できます。「大河ドラマ館」と同じチケットで入館可能

基本情報
所在地

滋賀県大津市石山寺1-1-1石山寺境内
明王院「大河ドラマ館」、世尊院「恋するもののあはれ展」地図

アクセス

京阪「石山寺」駅より徒歩約10分

電話番号

077-500-0100

URL

https://otsu-murasakishikibu.jp/

開催日

2024年1月29日(月)~2025年1月31日(金) 9:00-17:00(最終入場16:30)

休日

期間中、原則無休

入館料

「大人(中学生以上) 」600円、「小人(小学生)」300円
※「大河ドラマ館」・「恋するもののあはれ展」どちらも観覧可能

主催

大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会


紫式部一族との仏縁の深い大寺院

三井寺(園城寺):三井寺の本堂である金堂は、桃山時代を代表する名建築で、国宝に指定されています

三井寺(園城寺):三井寺の本堂である金堂は、桃山時代を代表する名建築で、国宝に指定されています

みいでら(おんじょうじ)

三井寺(園城寺)

琵琶湖南西の長等山中腹に広大な敷地を有する三井寺は、正式名称を長等山園城寺といい、天台寺門宗の総本山です。平安時代、第五代天台座主・智証大師円珍和尚の卓越した個性により、天台別院として中興。境内には国宝の金堂をはじめ、西国第十四番札所の観音堂、釈迦堂、唐院などの堂舎が建ち並び、国宝・重要文化財は100点以上に及びます。
三井寺は紫式部一族にとって仏縁の深い寺であり、叔父・康延と異母兄弟・定暹が三井寺の僧侶であったほか、父・為時も紫式部の死後、三井寺で出家したといわれます。2024年10月1日~2025年1月31日まで、金堂において特別展『紫式部と三井寺』(後期)が開催され、三井寺所蔵の紫式部に関する史品が公開される予定です。

三井寺(園城寺):金堂の側には、天智・天武・持統の三帝が産湯に用いたと伝わる「三井の霊泉」の「閼伽井屋(あかいや)」があり、現在も祠の中で霊泉が湧き出ています。正面にある左甚五郎作と伝わる龍の彫刻もお見逃しなく

三井寺(園城寺):金堂の側には、天智・天武・持統の三帝が産湯に用いたと伝わる「三井の霊泉」の「閼伽井屋(あかいや)」があり、現在も祠の中で霊泉が湧き出ています。正面にある左甚五郎作と伝わる龍の彫刻もお見逃しなく

三井寺(園城寺):近江八景の一つとしても名高い「三井の晩鐘」。その音色の美しさから「音の三井寺」として「姿の平等院」「銘の神護寺」とともに天下の三名鐘と呼ばれており、実際に鐘をつくことも可能です(冥加料300円)

三井寺(園城寺):近江八景の一つとしても名高い「三井の晩鐘」。その音色の美しさから「音の三井寺」として「姿の平等院」「銘の神護寺」とともに天下の三名鐘と呼ばれており、実際に鐘をつくことも可能です(冥加料300円)

基本情報
所在地

滋賀県大津市園城寺町246地図

アクセス

京阪石山坂本線「三井寺」駅より徒歩約7分

電話番号

077-522-2238

URL

https://miidera1200.jp/

時間

月曜日~日曜日 8:00-17:00(受付終了16:30)

休日

年中無休

入山料

大人600円


琵琶湖を臨む、古来より近江を代表する景勝の地

唐崎神社:琵琶湖西岸に位置する境内は、滋賀県指定名勝に指定されています

唐崎神社:琵琶湖西岸に位置する境内は、滋賀県指定名勝に指定されています

からさきじんじゃ

唐崎神社

日吉大社の摂社にあたる「唐崎神社」は女別当命を御祭神とし、近江八景で名高い歴史的景勝地。平安時代、朝廷で毎月または臨時に行われた公事「七瀬の祓」の一所とされており、都より祓いのために訪れる場所でした。藤原道長が唐崎へ祓いに出かけた記録が残るほか、源氏物語の少女の巻にも、光源氏の家来の娘が唐崎で祓いを受けたことが描かれるなど、当時の貴族から「祓いの聖地」として認識されていたようです。また、紫式部が越前守となった父・為時とともに越前国に向かう際には、南の打出浜から出発して琵琶湖を渡ったと伝わります。琵琶湖畔に面した境内は、広い空と湖、巨大な霊松を仰ぎ見ることができる清々しい場所。参拝後は湖面のゆらぎを眺め、往時に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

唐崎神社:枝を傘のように広げる霊松「唐崎の松」は現代三代目の老木です。近くには種から育てた後継樹が植えられています

唐崎神社:枝を傘のように広げる霊松「唐崎の松」は現代三代目の老木です。近くには種から育てた後継樹が植えられています

唐崎神社:名勝地の石標が建つ境内から臨む琵琶湖。穏やかな湖面の先では水面と空が溶け合うような景色が広がります

唐崎神社:名勝地の石標が建つ境内から臨む琵琶湖。穏やかな湖面の先では水面と空が溶け合うような景色が広がります

基本情報
所在地

滋賀県大津市唐崎1-7-1地図

アクセス

JR湖西線「唐崎」駅より徒歩約15分

電話番号

077-578-0009(日吉大社社務所)

URL

https://hiyoshitaisha.jp/karasaki/

時間

参拝自由 ※社務所は日曜日・祝日10:00-16:00のみ開所

休日

年中無休

拝観料

境内無料

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