京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を遊ぶ 更新日:2024.09.19
平安貴族ゆかりの塗香づくり
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。
粉末にした香木と漢方等の天然の香原料を調合して作る「塗香(ずこう)」は、古来より身体に塗ることで邪気を払い、心身を清めるものだとされてきました。今回は、平安貴族ゆかりの嵯峨野エリアで行われている、日本文化に根付く「香」の世界に触れる体験を紹介します。
京都の混雑状況(2024年8月29日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。
てんこうどうしにせ さがのてん
天香堂老舗 嵯峨野店
全国の各宗派・総本山御用達の薫香製造商「天香堂」は、厳しい修行僧の願いに応える香りの追求を行ってきました。現在も天然素材だけを使い、香木の吟味・粉砕・調合までを一貫して行う職人技が受け継がれています。嵯峨釈迦堂と二尊院の間にある嵯峨野店では、2024年6月から一般向けに開催を始めた「塗香体験」では、職人が使うものと同じ素材でオリジナルの「塗香」を作ることができます。お香の元となる香木は主に伽羅・沈香(沈水香木)・白檀の3種類。体験では白檀をベースに、7種類の漢方生薬を混ぜ合わせて自分だけの香りに仕上げていきます。せっかくの京都旅行なので、静かな和の空間で優しい香りを堪能する、贅沢な体験をしてみてはいかがでしょうか。
【塗香体験】 | |
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料金 | 5,500円(税込) |
所要時間 | 約30~60分 ※所要時間は目安です |
定員 | 1名~6名 |
天香堂老舗 嵯峨野店 | |
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所在地 | 京都市右京区嵯峨釈迦堂門前南中院町25地図 |
アクセス | JR「嵯峨嵐山」駅より徒歩約19分、市バス28・91号系統「嵯峨釈迦堂前」より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-861-2891 |
URL | |
時間 | 月曜日~金曜日 9:00-16:00 |
休業日 | 土曜日~日曜日 |
料金 | 「塗香体験」5,500円(税込) |
受付
美しく整えられたお庭を臨むお座敷での体験。お店に入った瞬間から柔らかい香りに包まれ、穏やかな雰囲気です。重厚な座卓に並ぶ、見慣れない品々に体験への期待が高まります
お香について学ぶ
まずはお香についての歴史を学びます。飛鳥時代に淡路島に流れ着いた流木を燃やした際、良い香りがしたため島民が朝廷に献上し、聖徳太子が沈香と鑑定しました。また、平安時代には「薫物合」など貴族の雅な遊びも広まりました
塗香の説明
続いて塗香について、成り立ちや使い方を教わります。古来より“お清め”として使われてきた塗香ですが、現在ではその優しい香りを活かし、ボディフレグランスやルームフレグランスとしても広く使用することができます
素材の解説
体験で使用する素材について解説してもらいながら、好みの香りを選んでいきます。香りの土台となる白檀、菓子などにも使われる桂皮(シナモン)、鎮痛作用があるとされる甘松など全部で8種類の素材が用意されています
調香する
調香皿にまずはベースの白檀を摺り切り1杯入れ、続いて気に入った素材を加えて混ぜていきます。甘め・スッキリ・辛めなど、仕上がりをイメージしながらブレンドするのがおすすめ。じっくり選んでいきましょう
香りの調整
一つひとつが個性的な香りを持っているので、少量ずつ加えていき、毎回確認しながら進めましょう。後から素材を足すことはできますが、一度混ぜてしまうと減らすことはできないので慎重に調整していくのがポイントです
小袋に入れる
出来上がった塗香は紙の小袋に入れて持ち帰ります。香水のように肌に付けて使う場合、その日の体温や体調によっても香りの感じ方が変わるそう。使用する時の変化も楽しみの一つです
封入する
香りを長持ちさせるためにも密閉して保存するのがおすすめだそう。袋の閉じ方を教わって体験終了です。帰宅後は食品袋などに移し替えても大丈夫。密閉していてもほのかに香りがするので、そのまま飾っておくこともできます
お買い物
体験後は店頭を覗いてみましょう。美術家のYasuyoさんとコラボした人気の文香(ふみこう)「KaoLa」とメッセージカードのセットには嵯峨野店の限定柄も。他にもお土産にピッタリなお香と香立がセットになった商品なども並びます
店内に入った瞬間から香る和の香りがとても癒しになりました。今まで知らなかったお香の歴史や使い方を学びながら調香できる、世界にひとつの塗香作り体験は忘れられない思い出になりそうです。完成した塗香は早速明日から使ってみたいと思います。
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