京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を見る 更新日:2025.03.06
京の春、禅寺の桜を愛でる

提供元:建仁寺
建仁寺:京都最古の禅寺の静謐な空間を彩る桜
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。


枯山水が織りなす静寂の美、歴史ある建物に寄り添う桜の儚い彩り。京都の禅寺では、移ろう季節の中でしか味わえない特別な春景色が広がります。今年のお花見は、情緒ある禅寺の桜を訪ねてみませんか。
京都の混雑状況(2025年1月30日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。
禅の美を現す謎多き石庭が華やぐ一季

提供元:龍安寺
龍安寺:春には土塀の向こうから桜が彩りを添える、15個の石が配置された約75坪の石庭
りょうあんじ
龍安寺
ユネスコ世界文化遺産に登録されている「龍安寺」は、宝徳2(1450)年に細川勝元が創建した臨済宗妙心寺派の禅寺。元々は平安貴族・徳大寺家の山荘であり、勝元がこれを譲り受けて禅寺としたのが始まりです。世界的に有名な石庭「方丈庭園」は、15個の石が配置された約75坪の枯山水庭園で、土塀の高さや庭そのものに勾配を付けるなど、高度な遠近法が巧みに取り入れられています。また、どの角度から見ても石が14個しか見えない設計が施されており、禅の哲学や不完全の美を象徴しているとされています。この石の配置には多くの解釈があり、作者や意図は未だ謎に包まれています。例年3月下旬から4月中旬に桜が見頃を迎えると、石庭は春の光と桜に彩られ、静寂と華やぎが調和したこの時期だけの景色が楽しめます。

提供元:龍安寺
龍安寺:境内の約半分を占める鏡容池(きょうようち)は、平安時代の名残を伝える美しい池で、かつてはお公家さんが舟遊びを楽しんでいたと伝わります。池の周囲には四季折々に姿を変える自然が広がり、春には桜が水面に映る景色も雅です

提供元:龍安寺
龍安寺:桜より少し早い3月上旬から4月上旬に開花する日本最古とも言われる「侘助椿」や、徳川光圀(水戸黄門)が寄進したとされる「知足の蹲踞(つくばい)」など、石庭以外にも多くの見どころがあります
基本情報 | |
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所在地 | 京都市右京区龍安寺御陵下町13地図 |
アクセス | 嵐電北野線「龍安寺」駅より徒歩約7分、市バス59号系統「龍安寺前」より徒歩すぐ |
電話番号 | 075-463-2216 |
URL | |
時間 | 3月1日~11月30日 8:00-17:00、12月1日~2月末日 8:30-16:30 |
休日 | 年中無休 |
拝観料 | 大人 600円、高校生 500円、小・中学生 300円 |
悠久と刹那が織りなす美を堪能する

提供元:建仁寺
建仁寺:春には法堂と咲き誇るソメイヨシノのコラボレーションが見られる
けんにんじ
建仁寺
臨済宗建仁寺派の大本山「建仁寺」は、将軍・源頼家が寺域を寄進し、栄西禅師を開山として建仁2(1202)年に創建された京都最古の禅寺です。法堂の108畳分の天井に描かれた「双龍図」や、俵屋宗達筆の国宝「風神雷神図」、海北友松の襖絵(双方ともに展示は複製)など、数々の寺宝を有することで知られています。春には、ソメイヨシノやしだれ桜が「法堂」前をはじめとして境内一円を彩り、訪れる人々を魅了します。また方丈庭園は、方丈前に広がる枯山水「大雄苑」、緑豊かな草木の調和が美しい「潮音庭」、禅宗の四大思想を表現した「〇△□乃庭」という趣の異なる3つの禅庭から構成され、一年を通じて変わらぬ美しさを湛えています。これらの庭園の静けさと、桜が一気に咲き誇る華やかさ。どちらも体感できる贅沢な春のひと時を、ぜひお楽しみください。

提供元:建仁寺
建仁寺:紅殻格子に犬矢来という祇園情緒のあるお茶屋の家並みが続く花見小路。四条通から南に進むと建仁寺の北門が見えてきます。石塀越しに桜が出迎えてくれる、春だけの特別な景色です

提供元:建仁寺
建仁寺:境内南側にある浴室・法生池周辺では早咲きのおかめ桜やしだれ桜を見ることができます。寛永5(1628)年に建立された浴室は湯気で体を温める蒸し風呂で、僧侶の修行の場として使われていました
基本情報 | |
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所在地 | 京都市東山区大和大路通四条下る小松町地図 |
アクセス | 京阪「祇園四条」駅より徒歩約7分、市バス202・206・207号系統ほか「東山安井」より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-561-6363 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 10:00-17:00 ※年中行事による拝観時間の変更あり |
休日 | 4/19、4/20、6/4、6/5、その他法要で休日有 |
拝観料 | 一般800円、小中高生500円、※小学生未満は無料 |
昭和の名園を象徴する紅しだれ桜

提供元:妙心寺 退蔵院
妙心寺 退蔵院:余香苑の入口で出迎えてくれる、平安神宮の紅しだれ桜を祖とする「紅しだれ桜」
みょうしんじ たいぞういん
妙心寺 退蔵院
応永11(1404)年に無因宗因禅師によって開山された退蔵院は、臨済宗妙心寺派の大本山・妙心寺の塔頭寺院の一つ。禅の教えを絵画で表現した国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」を所蔵する古刹として知られています。池泉回遊式庭園「余香苑(よこうえん)」は、日本庭園の名匠・中根金作氏による作庭。庭園入口の瓢箪やなまずの彫刻が施された門をくぐると、美しい紅しだれ桜が目の前に広がります。平安神宮の紅しだれ桜を祖とする孫桜で、例年4月上旬に見頃を迎えます。その紅しだれ桜を中心に据えた枯山水庭園「陰陽の庭」では、散り際に花びらが敷砂と織りなす儚い美景も堪能できます。季節の緩やかな移り変わりを感じる、春のひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

提供元:妙心寺 退蔵院
妙心寺 退蔵院:昭和38(1963)年着工、3年もの月日を費やして完成した池泉回遊式庭園「余香苑」。随所に様々な工夫が施されており、池の正面から庭園を見渡すと奥行きが生まれ、広く見えるように設計されています

提供元:妙心寺 退蔵院
妙心寺 退蔵院:庭園の奥にあるお茶席「大休庵」では、どの位置からも庭を臨めるようになっています。目の間に咲く紅しだれ桜を眺めながら、お茶と菓子をいただきゆったりと一服することができます(一服700円)
基本情報 | |
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所在地 | 京都市右京区花園妙心寺町35地図 |
アクセス | JR嵯峨野線「花園」駅より徒歩約7分 |
電話番号 | 075-463-2855 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00 ※冬季は閉門時間の変動あり |
休日 | 年中無休 |
拝観料 | 一般600円(高校生含む)、小中学生300円(小学生未満の幼児は無料、但し保護者同伴に限る) |
荘厳な空間を包み込むあたたかな春の気配

南禅寺:約22mもの高さを誇る日本三大門の一つである「三門」と桜が生み出す美しいコントラスト
なんぜんじ
南禅寺
正応4(1291)年に亀山法皇によって創建された臨済宗南禅寺派の大本山「南禅寺」は、京都・鎌倉五山の上として別格の地位を誇る格式高い寺院です。その象徴である三門は、日本三大門の一つに数えられる高さ約22mの壮大な建造物で、寛永5(1628)年に藤堂高虎によって再建されました。紅葉の名所として名高い南禅寺ですが、春には美しい桜が三門を彩り、訪れる人々を魅了します。楼上から眺める景色は「絶景かな」と称されるほどで、春の京都を満喫することができます。また境内には、明治時代に造られたレンガ造りの水路閣や、「虎の子渡しの庭」とも呼ばれる方丈庭園(国指定名勝)など見どころが尽きません。

南禅寺:青空のもと、桜と歴史的建造物が織りなすコントラストは、一幅の絵画のような美しさ。凛とした厳かな空気を湛える広い境内を散策しながら、ぜひご自身の目で眺めてみてください

南禅寺:南禅寺の中心となる建物「法堂」は、法式行事や公式の法要が行われる場所。春には、火灯窓と桜の共演を見ることができます
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区南禅寺福地町地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「蹴上」駅より徒歩約8分 |
電話番号 | 075-771-0365 |
URL | |
参拝時間 | 12月1日~2月28日 8:40-16:30、3月1日~11月30日 8:40-17:00 |
休日 | 12月28日~12月31日 |
拝観料 | 「方丈庭園(一般)」600円、「三門(一般)」600円 |
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