京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を歩く 更新日:2025.04.03
新緑が芽吹き、山吹が花咲く松尾エリアへ

松尾大社:境内を流れる一ノ井川沿いを黄金に染める約3,000株もの山吹は、4月中旬に見頃を迎える
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。


桜の終わりとともに色づき始める山吹(やまぶき)の黄色い花。春から初夏へと少しずつ様相を変える松尾エリアの自然を眺めながら散策する、ちょっとツウな京都旅はいかがでしょうか。最後は説法を聞いて心が穏やかになるような、非日常のひと時を満喫してみませんか。
京都の混雑状況(2025年2月28日現在 ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

阪急嵐山線「松尾大社」駅からスタートです!
阪急嵐山線「松尾大社」駅へのアクセス:「京都」駅より地下鉄烏丸線で約3分「四条」駅で阪急電車に乗り換え。阪急電車「烏丸」駅から京都線で約6分「桂」駅で嵐山線に乗り換え約4分
モデルコースの所要時間:約2時間30分
ルート
阪急嵐山線「松尾大社」駅からスタート! |
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徒歩約3分(約240m) |
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徒歩すぐ(約20m) |
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徒歩約2分(約150m) |
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徒歩約14分(約1km) |
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都の西を守護する社を黄金色に染める春景色

提供元:松尾大社
松尾大社:春に見頃を迎える約3,000株もの山吹が、境内を流れる一ノ井川沿いを黄金に染める
まつのおたいしゃ
松尾大社
京都最古の神社の一つである「松尾大社」は、古代から地域住民が松尾山の神霊を祀っていたのがその起源と伝わります。5世紀ごろに渡来した養蚕や酒造などの技術を伝えた秦氏によって、大宝元年(701年)に社殿が造営。平安京遷都後は「皇城鎮守の社」となり、また「酒造の神」としても全国の酒造関係者から篤く崇敬を受けています。春になると、境内を流れる一ノ井川沿いに約3,000株もの山吹が咲き誇り、黄金色の花が風に揺れる美しい光景が広がります。毎年4月10日から5月5日には「山吹まつり」が開催され、神輿出御や桂川の船渡御などの神事や、フリーマーケット「亀の市」などで賑わいます。また、境内には昭和を代表する作庭家・重森三玲氏の絶作となった「松風苑」や、神像彫刻の祖とも言われるご神像など見どころは尽きません。

松尾大社:仕込みに使うと酒が腐らないとされる神泉「亀の井」が湧き出す境内。境内南側の神輿庫前には全国の酒蔵から奉納された酒樽が並びます。1蔵1銘柄のみの陳列ですが、実際にはここに並べきれないほどの数の酒樽が納められているそう

松尾大社:重森三玲氏が作庭した「松風苑」は平安の雅・曲水の宴をモチーフにした「曲水の庭」から始まり、山中の大岩などが神霊の宿る聖地とされていた古代の信仰の場を表現した「上古の庭」など趣の異なる3つの庭で構成。即興で造られた「即興の庭」をあわせた4つの庭が見学できます
基本情報 | |
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所在地 | 京都市西京区嵐山宮町3地図 |
アクセス | 阪急「松尾大社」駅より約3分、市バス28・29号系統「松尾大社前」より徒歩約2分 |
電話番号 | 075-871-5016 |
URL | |
時間 | 月曜日~土曜日 9:00-16:00、日曜日・祝日 9:00-16:30 |
休日 | 年中無休 |
拝観料 | 境内自由、「庭園・神像館共通」大人500円 |
お酒の神様の境内で酒造りを学ぶ

お酒の資料館:松尾大社と酒造りの歴史などが学べるパネルや、江戸時代の酒造りを再現した模型や酒樽などが展示されている
おさけのしりょうかん
お酒の資料館
古くから日本第一酒造神として信仰される「松尾大社」。境内にある「お酒の資料館」では、江戸時代の酒造りを再現した模型や酒樽、仕込み道具、昔の酒瓶やラベルなどが展示されています。毎年11月の「上卯祭(じょううさい:醸造祈願祭)」では新酒の仕込みが無事に行われるよう祈願され、4月の「中酉祭(ちゅうゆうさい:醸造感謝祭)」では醸造完了を感謝する神事が行われるなど、今なお全国の酒造家や醸造業者から厚い崇敬を受けています。江戸時代には、松尾大社の神札を酒蔵に祀る風習が広まり、「松尾の神に祈れば酒が腐らない」と信じられています。資料館では、こうした松尾大社と酒造りの歴史などが学べるパネル展示などもされているので、ぜひ参拝後に立ち寄ってみてください。

お酒の資料館:鳥居と楼門の間にある「お酒の資料館」では、樽の看板と杉玉が出迎えてくれます。向かい側には大きな酒樽と一緒に写真が撮れるフォトスポットも用意されています

お酒の資料館:資料館に隣接した「京つけもの もり」では、酒粕を使用した「酒かすたけのこ」や「酒かすだいこん」など松尾大社店と祇園店限定の商品も販売されています。日本酒の販売もあるので、散策の後の晩酌セットが揃います
基本情報 | |
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所在地 | 京都市西京区嵐山宮町3(松尾大社境内)地図 |
アクセス | 阪急「松尾大社」駅より約3分、市バス28・29号系統「松尾大社前」より徒歩約2分 |
電話番号 | 075-871-5016 |
URL | |
時間 | 月曜日~土曜日 9:00-16:00、日曜日・祝日 9:00-16:30 |
休日 | 年中無休 |
料金 | 入場無料 |
松尾大社の門前で出会う京の甘味

提供元:松楽
京菓子司 松楽:松尾大社の御神酒を練りこんだ「大社 酒まん」とよもぎの香り豊かな生地が特徴の「奥嵯峨」
きょうかしつかさ しょうらく
京菓子司 松楽
松尾大社の門前にある「京菓子司 松楽」は、酒造の神様を祀る松尾大社御用達の和菓子店。看板商品の「奥嵯峨」は、先代が奥嵯峨を散策した際に得たインスピレーションから生まれた一品。よもぎの香り豊かな生地が特徴で、自然の息吹を感じさせる味わいが魅力です。賞味期限も5日から1週間ほどあるのでお土産としても好適。もう一つの看板商品である「大社 酒まん」は、松尾大社の御神酒を練りこんだ香り高い生地で粒餡を包み、ふっくら蒸し上げた贅沢な一品です。最近では、彩り豊かな12種類の「京おはぎ」も人気で、多彩な味わいが楽しめます。こちらは日持ちしないので、ぜひ京都旅の途中で楽しんでください。春限定のイチゴを包んだ桜餅もおすすめです。

京菓子司 松楽:明るい雰囲気の店内のカウンターにはお菓子が整然と並びます。12種類の「京おはぎ」は売り切れることも多いので、全種類購入したい場合は電話予約がおすすめです

京菓子司 松楽:令和元年にリニューアルオープンしたお店。阪急「松尾大社」駅から大鳥居をくぐってすぐの距離にあり、「京おはぎ」ののぼり旗が目印になっています
基本情報 | |
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所在地 | 京都市西京区嵐山宮ノ前町23-3地図 |
アクセス | 阪急「松尾大社」駅より約2分、市バス28・29号系統「松尾大社前」より徒歩約2分 |
電話番号 | 075-871-8401 |
URL | |
営業日 | 月曜日~火曜日、木曜日~日曜日 9:00-18:00 (売切れ次第、閉店) |
休業日 | 水曜日 |
料金 | 「よもぎ入 奥嵯峨」6個入750円(税込)、「大社 酒まん」6個入800円(税込)、「京おはぎ」1個380円(税込) |
りんりんと虫の声に包まれながら願い事ひとつ

提供元:華厳寺(鈴虫寺)
華厳寺(鈴虫寺):一つだけ願い事を叶えてくださるという「幸福地蔵菩薩」は、日本で唯一わらじを履いたお地蔵様
みょうとくざんけごんじ(すずむしでら)
妙徳山華厳寺(鈴虫寺)
享保8(1723)年に鉄眼禅師の弟子・鳳潭上人(ほうたんしょうにん)によって創建された「妙徳山華厳寺」。80年ほど前、8代目住職の台厳和尚が鈴虫が懸命に鳴いている姿から悟りを開いたそう。戦後復興への思いから研究を始め、一年中鈴虫の音色が響くようになったことから「鈴虫寺」として親しまれるようになりました。また門前にある「幸福地蔵菩薩」は、日本で唯一わらじを履いたお地蔵様。自ら参拝者のもとへ歩いて願いを叶えてくださると伝えられ、一つだけ願い事を託すことができます。客殿で行われる、30分ほどのユーモアあふれる温かな「鈴虫説法」という法話も魅力のひとつで、幸福地蔵菩薩への願掛けの仕方についても説明が行われます。「幸福御守」を授与いただき、幸福地蔵菩薩を参拝してみてはいかがでしょうか。
※法話の開始時間は、公式HPで確認してください。

提供元:華厳寺(鈴虫寺)
華厳寺(鈴虫寺):階段を上り受付を済ませると、まず客殿へと案内されます。お茶とお菓子をいただきながら、止むことのない鈴虫の音色の中で行われる「鈴虫説法」に耳を傾け、心和むひと時を過ごすことができます

提供元:華厳寺(鈴虫寺)
華厳寺(鈴虫寺):鈴虫説法を聞いた後はお庭の散策へ。美しい苔と四季折々に彩りを見せる草花が楽しめます。また2023年に迎えた開山三百年を記念した御朱印も、庭園内の授与所で受けることができます
基本情報 | |
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所在地 | 京都市西京区松室地家町31地図 |
アクセス | 阪急「松尾大社」駅より約14分、京都バス73・83系統「苔寺・すず虫寺」より徒歩約2分 |
電話番号 | 075-381-3830 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00 ※入門時間16:30まで |
休日 | 年中無休 |
拝観料 | 「大人(茶菓子付き)」500円 |

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