京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を歩く 更新日:2025.06.05
アートな一乗寺さんぽ

恵文社一乗寺店:「生活館」衣食住を中心とした生活にまつわる書籍と、生活雑貨が並び、季節やフェアによって変化します
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。


京都の東側、比叡山のふもとに広がる一乗寺エリア。周辺には大学が点在していることから、古くから学生や文化人が行き交うエリアとしても知られます。初夏の京都旅は街のにぎわいを離れて、ゆったりとアートなひと時を味わう散歩はいかがでしょうか。
京都の混雑状況(2025年4月25日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

市バス「一乗寺下り松町」からスタートです!
市バス「一乗寺下り松町」へのアクセス:「京都駅前」より市バスで約50分
モデルコースの所要時間:約2時間30分
ルート
市バス「一乗寺下り松町」からスタート! |
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徒歩約7分(約500m) |
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徒歩約5分(約400m) |
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徒歩約9分(約700m) |
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徒歩約18分(約1300m) |
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静けさの中に美学が残る山荘跡

詩仙堂丈山寺:柱や欄間が額縁のようにして庭園を切り取った景色が楽しめる「書院」
しせんどうじょうざんじ
詩仙堂丈山寺
現在は曹洞宗大本山永平寺の末寺である「詩仙堂丈山寺」は、寛永18(1641)年に造営された江戸初期の文人・石川丈山の山荘跡です。正式には「凹凸窠(おうとつか)」といい、でこぼこした土地に建てた住まいという意味。徳川家に仕えた武士だった丈山は、59歳で隠棲し、詩・書・造園に打ち込みながら約30年をここで過ごしました。庭園は中国風の唐様庭園で、自然と調和した非対称の構成がその特徴です。丈山が静寂を際立たせるため、庭に初めて取り入れたとされる「僧都(鹿おどし)」が今も澄んだ音を響かせます。また、境内には隷書・漢詩の大家である丈山直筆の貴重な作品も展示されており、その足跡を間近に感じることができます。幽寂な美の世界で、豊かな時間を味わってみてはいかがでしょうか。

詩仙堂丈山寺:「凹凸窠(おうとつか)」の名の通り、庭園内にはいくつかの階段があります。6月中旬から7月末にかけては、庭を流れる川沿いに色とりどりのガクアジサイが咲き誇るなど、100種類以上の草花が四季折々に彩ります

詩仙堂丈山寺:詩仙堂の通称の由来になっている「詩仙の間」。丈山が日本の三十六歌仙に倣い選定した、中国の詩人三十六人の肖像と丈山直筆の隷書体が掲げられています
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区一乗寺門口町27番地地図 |
アクセス | 市バス5・北8号系統「一乗寺下り松町」より徒歩約7分 |
電話番号 | 075-781-2954 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00(受付終了16:45) |
休日 | 5月23日 |
拝観料 | 大人700円、高校生500円、小中学生300円 |
新旧和洋が織りなす銘菓で当地を味わう

一乗寺中谷:一乗寺の郷土銘菓「でっち羊かん」と、三代目と若女将が生み出した新定番の「絹ごし緑茶てぃらみす」
いちじょうじなかたに
一乗寺中谷
3代にわたり一乗寺の郷土銘菓「でっち羊かん」を作り続ける「一乗寺中谷」。もとは一乗寺村に伝わる伝統菓子で、2代目が手土産にしやすいよう日持ちする形に仕立て直しました。竹の皮で蒸し上げる伝統製法を守り、無添加で一つひとつ手作りされています。現在は3代目とパティシエールの若女将が和洋折衷の創作スイーツも手がけており、中でも「絹ごし緑茶てぃらみす」は特に人気の一品。他にも宮本武蔵や詩仙堂にちなんだ菓子、和の素材を使った「白みそと木の実のケーキ」などの洋菓子もラインナップ。店舗に併設された茶家では、ドリンクや甘味などのカフェ利用はもちろん、白みそ雑煮を中心とした「京雑煮のいろどりごはん」も楽しめるので、散策前後の軽食利用もおすすめです。

一乗寺中谷:店内手前のショーケースには和菓子が、奥には洋菓子が並びます。またお土産にも好適な焼き菓子などもあり、今の自分にぴったりな一品を探す宝探しのような時間が楽しめます

一乗寺中谷:白川通から東に向かってすぐ、比叡山延暦寺へと続く参道に佇むお店。名物菓子の名前が書かれた看板が目印です
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区一乗寺花ノ木町5地図 |
アクセス | 市バス5・北8号系統「一乗寺下り松町」より徒歩約2分 |
電話番号 | 075-781-5504 |
URL | |
営業日 | 月曜日~火曜日、木曜日~日曜日 9:00-18:00(茶屋10:00-18:00※17:00LO) |
休業日 | 水曜日 |
料金 | 「でっち羊かん(2切)」550円(税込)、「絹ごし緑茶てぃらみす」480円(税込) |
本と出会う、ということ以上の楽しみを

恵文社一乗寺店:恵文社の象徴的な場所として知られる幻想文学が集められたエリア。選書は長年勤めるスタッフが行っているそう
けいぶんしゃいちじょうじてん
恵文社一乗寺店
2025年に創業50年を迎える「恵文社一乗寺店」は、この店を目当てに京都を訪れる人もいるほどの名物書店。代々受け継がれる乙女の棚や、幻想文学が彩るシンボリックなエリア、自主制作本が並ぶリトルプレスコーナーは、どれも恵文社を象徴する存在です。本棚はどれもスタッフ一人ひとりの感性に沿ってテーマごとに編集され、思いがけない選書につい足を止めてしまうこともしばしば。また、書店・アンフェールフロア(ギャラリー等)・生活館がゆるやかにつながり、雑貨や文具も含めた「本にまつわるあれこれ」が丁寧に並ぶ空間が特長です。街の本屋としての役割と、恵文社ならではの世界観が心地よく同居するこの場所には、記憶や感覚がふと呼び覚まされるような出会いが待っています。

恵文社一乗寺店:建物の東側にあるアンフェールフロアには2ヶ所のギャラリーがあり、メインギャラリーは1~2週間程度で展示が入れ替わります。展示ごとに来店する常連さんもいるそう

恵文社一乗寺店:写真奥(東側)からアンフェールフロア・書店・生活館という構成。生活館では衣食住を中心とした生活にまつわる書籍と生活雑貨が並び、大きな窓が光を呼び込む明るい雰囲気です
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区一乗寺払殿町10地図 |
アクセス | 叡電「一乗寺」駅より約3分、市バス204・206号系統ほか「高野」より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-711-5919 |
URL | |
営業日 | 月曜日~日曜日 11:00-19:00 |
休業日 | 元日 |
珈琲の香りが包む、うつわと灯りに出会う場所

提供元:白夏
白夏:店主が自ら手をかけた店内。受け継がれる連棟町家の1棟で、京都の文化と島文化が交差する場所になっています
すさなつ うつわとこーひーとまどあかり
白夏 -susanatsu- うつわと珈琲と窓あかり
京都芸術大学のほど近く、住宅街にひっそりと佇む「白夏」は、町家をまるごと活かしたギャラリー兼カフェ。展示スペースとカフェスペースが心地よく溶け合い、どこにいても手仕事の温もりを感じられる空間です。取り扱う作品は、店主が沖縄・八重山や奄美など島々の作家のもとに足を運び、丁寧に選んだ陶磁器やランプシェード、アクセサリーなど。さらに今年からはガラスや紙もの、木の作品も徐々に増える予定で、訪れるたびに新しい出会いが待っています。伝統を踏まえつつも、新たな形を追求し進化していく作家さん達の作品を店主自ら紹介してくれるので、気になるものがあればぜひ声をかけてみてください。カフェでは、自家焙煎の豆で提供する珈琲やエスプレッソに加え、波照間産の黒糖を使った自家製ジンジャーシロップや甘味も提供。ドリンクは作家のうつわで提供されるので、実際の使い心地を味わえます。好みのうつわを選べるので、今日はどれにしようかと選ぶ楽しみも。心に余白が生まれるような、穏やかな時間を過ごしてみてください。

提供元:白夏
白夏:2階とロフト部分はギャラリーになっており、うつわはもちろん、様々な作家さんのランプシェードなども間近に見ることができます

提供元:白夏
白夏:店名の「白夏」は、八重山の言葉で秋の始まりの時期を意味する言葉だそう。風に揺れるサトウキビ(ウージ)の花を紅型で描いた暖簾が目印です
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区北白川瀬ノ内町30-2地図 |
アクセス | 市バス3・5・204系統「上終町・瓜生山学園京都芸術大学」より徒歩約2分 |
電話番号 | 050-7117-7226 |
URL | |
営業日 | 火曜日~土曜日 11:00-18:00 ※変更の場合あり |
休業日 | 不定休 ※公式Instagramにてカレンダー更新 |
料金 | 「本日の珈琲」550円(税込)、「ほんのり黒糖 米粉ピッツェーレ」400円(税込) |

前回までの特集
- 2025.05.22遊ぶ器の絵付け体験
- 2025.05.08見る初夏に訪れたい竹林スポット
- 2025.04.17食べる水辺の景色を楽しむカフェ・レストラン