京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」

睡蓮や蓮が彩る水辺の夏景色

東寺:現存する平安京唯一の遺構に咲く夏の花々と荘厳な伽藍との共演が楽しめる

東寺:現存する平安京唯一の遺構に咲く夏の花々と荘厳な伽藍との共演が楽しめる

※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。

現地スタッフ おすすめポイント
現地スタッフ

初夏から夏にかけて、京都では蓮や睡蓮などの水辺の花々が見頃を迎えます。蓮は午前中に開花するため、涼しい朝の鑑賞がおすすめ。水辺に咲く花々と歴史ある建造物とが織りなす、季節限定の景色を楽しみに訪れてみてはいかがでしょうか。

京都の混雑状況(2025年5月29日現在) ★★★★☆ 例年よりも混雑しています。 ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

千年の古池に咲く花々に涼を感じる夏景色

勧修寺:平安時代から残る古池「氷室池」に咲く夏の花々と池のほとりに建つ観音堂

提供元:勧修寺

勧修寺:平安時代から残る古池「氷室池」に咲く夏の花々と池のほとりに建つ観音堂

かじゅうじ

勧修寺

真言宗山階派大本山「勧修寺」は、昌泰3(900)年に醍醐天皇が生母・藤原胤子の追善供養のために創建した門跡寺院です。皇室との関わりが深いことから、現在の宸殿や書院は明正天皇(1624-1696)の旧殿が移築されたものです。また、境内の「氷室池」は平安時代から残る古池で、かつては池の氷が御所に献上され、その厚さで五穀豊穣が占われたと伝えられています。池のほとりには、昭和初期に再建された観音堂が佇み、屋根には鳳凰が飾られています。初夏から夏にかけては、杜若や睡蓮、半夏生、菖蒲が水辺を彩ります。なかでも蓮は遅咲きの品種が多く、例年8月上旬に最盛期を迎えるため蓮の見納めにもぴったり。ふっくらとした蓮の花びらと、優雅に泳ぐ鯉の姿が織りなす涼やかな光景に、心癒やされるひと時を過ごせます。

勧修寺:本堂は江戸初期に霊元天皇より仮内侍所を下賜されたもので、堂内には千手観音像が安置されています。他にも明正天皇の御殿を下賜された宸殿・書院など見どころが尽きません

提供元:勧修寺

勧修寺:本堂は江戸初期に霊元天皇より仮内侍所を下賜されたもので、堂内には千手観音像が安置されています。他にも明正天皇の御殿を下賜された宸殿・書院など見どころが尽きません

勧修寺:宸殿の左手裏には、樹齢750年の偃柏槙(ハイビシャクシン)に囲まれた雪見灯籠「勧修寺型灯籠」があります。江戸初期に水戸光圀が寄進したもので、笠が大きく高さの低い独特の形が特徴です

勧修寺:宸殿の左手裏には、樹齢750年の偃柏槙(ハイビシャクシン)に囲まれた雪見灯籠「勧修寺型灯籠」があります。江戸初期に水戸光圀が寄進したもので、笠が大きく高さの低い独特の形が特徴です

基本情報
所在地

京都市山科区勧修寺仁王堂町27-6地図

アクセス

地下鉄東西線「小野」駅より徒歩約7分

電話番号

075-571-0048

時間

9:00-16:00

休日

年中無休

料金

拝観料500円


平安の祈りと雅を映す神苑に咲く紅白の睡蓮

平安神宮:蒼龍池に浮かぶ珊瑚島へ渡る飛び石「臥龍橋」を包む白や紅の睡蓮

提供元:平安神宮

平安神宮:蒼龍池に浮かぶ珊瑚島へ渡る飛び石「臥龍橋」を包む白や紅の睡蓮

へいあんじんぐう

平安神宮

平安京遷都1100年を記念し、明治28(1895)年に創建された平安神宮。総面積約33,000㎡(約1万坪)におよぶ神苑は、七代目・小川治兵衛が作庭した池泉回遊式庭園で、東・中・西・南の4つの庭から構成されています。社殿を囲むように配された神苑は国の名勝にも指定されており、四季折々の草花や水辺の景色が楽しめます。夏には中神苑の蒼龍池(そうりゅういけ)に白や紅の睡蓮が可憐な花を咲かせます。また、蒼龍池に浮かぶ珊瑚島へ渡る飛び石「臥龍橋(がりゅうきょう)」には、天正年間(1573-1592)に豊臣秀吉が架けた三条・五条大橋の橋脚が用いられ、「龍の背に乗って、池に映る雲の間を舞うような気分を」との作庭家の意図が込められています。橋を渡る足元に咲き誇る睡蓮を、間近で愛でることができます。
※現在、令和8年3月15日に斎行される「百三十年祭」に向けた記念事業として、社殿の補修工事が段階的に進められていますが、神苑は通常通り公開中です。

平安神宮:仙洞御所から移築された楼閣風の泰平閣(橋殿)は、屋根上に鳳凰を戴き、栖鳳池(せいほういけ)に優雅な姿を映します。東山の華頂山を借景に、池に浮かぶ鶴島と亀島が蓬莱の風景をかたどり、雅な景観を形づくっています

提供元:平安神宮

平安神宮:仙洞御所から移築された楼閣風の泰平閣(橋殿)は、屋根上に鳳凰を戴き、栖鳳池(せいほういけ)に優雅な姿を映します。東山の華頂山を借景に、池に浮かぶ鶴島と亀島が蓬莱の風景をかたどり、雅な景観を形づくっています

平安神宮:毎年6月下旬~8月下旬にかけて、回廊と神苑(泰平閣)に約1000個もの風鈴が吊り下げられる「七夕風鈴まつり」が開催。参拝者は短冊に願いを書いて、好きな風鈴に付けることができます

提供元:平安神宮

平安神宮:毎年6月下旬~8月下旬にかけて、回廊と神苑(泰平閣)に約1000個もの風鈴が吊り下げられる「七夕風鈴まつり」が開催。参拝者は短冊に願いを書いて、好きな風鈴に付けることができます

基本情報
所在地

京都市左京区岡崎西天王町97地図

アクセス

地下鉄東西線「東山」駅より徒歩約10分、市バス5・46・86号系統「岡崎公園 美術館・平安神宮前」より徒歩約5分

電話番号

075-761-0221

URL

http://www.heianjingu.or.jp/

時間

境内参拝6:00-18:00 神苑拝観8:30-18:00(最終入苑17:30) ※季節により変動あり

休日

年中無休

料金

「神苑拝観」大人600円 ※境内参拝無料


禅寺の庭に咲く夏の訪れを告げる花々

妙心寺 退蔵院:正面から見渡すとその奥行きから庭園が広く見えるよう設計された「余香苑」と彩りを添える蓮

提供元:妙心寺 退蔵院

妙心寺 退蔵院:正面から見渡すとその奥行きから庭園が広く見えるよう設計された「余香苑」と彩りを添える蓮

みょうしんじ たいぞういん

妙心寺 退蔵院

臨済宗妙心寺派の大本山・妙心寺の塔頭「退蔵院」は、応永11(1404)年に妙心寺第3世をつとめた無因宗因禅師によって創建されました。「退蔵」とは、価値あるものを内に秘めておくという意味で、陰徳を重んじる禅の教えを表しています。剣豪・宮本武蔵が修行した地として、また国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」を所蔵していることでも知られています。境内の池泉回遊式庭園「余香苑」は、昭和期に造園家・中根金作氏の手で作庭されたもので、全国的にも評価の高い昭和の名園です。夏季には庭園中央の瓢箪池で蓮や睡蓮が咲き、流れる水面を彩ります。また、方丈前など境内には鉢植えの蓮が並び、苔庭では桔梗も咲き始めます。季節の移ろいを感じながら、草花と禅の文化が息づく空間を味わってみてはいかがでしょうか。

妙心寺 退蔵院:山門から瓢箪池へと向かう道中には、敷砂の色が異なる2つの枯山水庭園「陰の庭」・「陽の庭」があります。物事や人の心の二面性を伝えるとされる枯山水の片隅では、瑞々しい青紅葉が風に揺れます

提供元:妙心寺 退蔵院

妙心寺 退蔵院:山門から瓢箪池へと向かう道中には、敷砂の色が異なる2つの枯山水庭園「陰の庭」・「陽の庭」があります。物事や人の心の二面性を伝えるとされる枯山水の片隅では、瑞々しい青紅葉が風に揺れます

妙心寺 退蔵院:瓢箪池では白い睡蓮が可憐な花を咲かせます。花の影をすり抜けるように鯉が悠々と泳ぐ姿も。庭園内のお茶席「大休庵」では、季節の移ろいを間近に望みながらお抹茶をいただけます(一服700円)

提供元:妙心寺 退蔵院

妙心寺 退蔵院:瓢箪池では白い睡蓮が可憐な花を咲かせます。花の影をすり抜けるように鯉が悠々と泳ぐ姿も。庭園内のお茶席「大休庵」では、季節の移ろいを間近に望みながらお抹茶をいただけます(一服700円)

基本情報
所在地

京都市右京区花園妙心寺町35地図

アクセス

JR「花園」駅より徒歩約7分

電話番号

075-463-2855

URL

http://www.taizoin.com/

時間

月曜日~日曜日 9:00-17:00

休日

年中無休

料金

拝観料 一般600円(高校生含む)、拝観料 小中学生300円(小学生未満の幼児は無料、但し保護者同伴に限る)


威風堂々とした伽藍に水面の花が彩りを添える

東寺:夏には宝蔵の堀に咲く蓮と荘厳な伽藍との共演を見ることができる

東寺:夏には宝蔵の堀に咲く蓮と荘厳な伽藍との共演を見ることができる

とうじ(きょうおうごこくじ)

東寺(教王護国寺)

現存する平安京唯一の遺構である「東寺(教王護国寺)」は、平安遷都にあわせて国家鎮護の官寺として創建されました。弘仁14(823)年、嵯峨天皇より弘法大師空海に託され、真言密教の根本道場として重んじられてきました。弘法大師空海は密教の中心伽藍となる講堂をはじめとした大伽藍建立の大事業に着手し、その荘厳な堂宇は現代へと受け継がれています。
境内にある宝蔵を囲む堀では、7月上旬から下旬にかけて蓮が見頃を迎えます。なかでも多く植えられている漁山紅蓮(ぎょさんこうれん)は、淡紅色の一重から半八重の花を水面に咲かせます。花期があえば、宝蔵の周囲で咲くアジサイと蓮との共演も楽しめます。歴史ある伽藍と、夏の水面に咲く花々が織りなす唯一無二の風景をお見逃しなく。

東寺:東寺の本堂にあたる「金堂」。現在の建物は関ヶ原の合戦後に再建された姿をとどめています。天竺様と和様を融合させた桃山時代の代表的建築で、堂内には本尊の薬師如来を中心に重要文化財の薬師三尊像が安置されています

東寺:東寺の本堂にあたる「金堂」。現在の建物は関ヶ原の合戦後に再建された姿をとどめています。天竺様と和様を融合させた桃山時代の代表的建築で、堂内には本尊の薬師如来を中心に重要文化財の薬師三尊像が安置されています

東寺:東寺の象徴とも言える「五重塔」は瓢箪池の南側にあります。高さ約55m、木造塔としては日本一の高さを誇ります。現在の塔は江戸初期に再建された5代目で、初層内部には大日如来を中心に極彩色で彩られた密教空間が広がっています

東寺:東寺の象徴とも言える「五重塔」は瓢箪池の南側にあります。高さ約55m、木造塔としては日本一の高さを誇ります。現在の塔は江戸初期に再建された5代目で、初層内部には大日如来を中心に極彩色で彩られた密教空間が広がっています

基本情報
所在地

京都市南区九条町1番地地図

アクセス

JR「京都」駅より徒歩約15分、近鉄「東寺」駅より徒歩約10分

電話番号

075-691-3325

URL

https://toji.or.jp/

時間

月曜日~日曜日 5:00-17:00 ※金堂などの有料拝観エリア8:00-17:00(16:30受付終了)

休日

年中無休

料金

「拝観共通券(金堂・講堂・観智院)・大人(5月26日~9月19日)」1,200円

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