京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を歩く 更新日:2025.08.07
東山のふもとに広がる蹴上エリアの朝さんぽ

©植彌加藤造園
無鄰菴:山縣有朋の思想をもとに七代目小川治兵衛により作庭された美しい庭園。夏の朝には、苔や芝が朝露に輝き、水音が静かに響きます
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。


東山のふもとに広がる蹴上エリアは、古刹の風格と近代の文化が調和する落ち着いた場所。涼やかな空気に包まれる朝のひとときに、静かな寺院や緑に包まれた庭園、趣ある建物をめぐる「朝さんぽ」を楽しんでみませんか。
京都の混雑状況(2025年6月26日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。

地下鉄東西線「蹴上」駅からスタートです!
地下鉄東西線「蹴上」駅へのアクセス:各線「京都」駅より地下鉄烏丸線で約6分「烏丸御池」駅で地下鉄東西線に乗り換え約7分
モデルコースの所要時間:約3時間
ルート
地下鉄東西線「蹴上」駅からスタート! |
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徒歩約8分(約700m) |
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徒歩約5分(約450m) |
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徒歩約2分(約170m) |
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徒歩約3分(約240m) |
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閑静な伽藍に青もみじが涼を添える

南禅寺:法式行事や公式の法要が行われる「法堂」は明治42(1909)年に再建されたもので、天井には蟠龍図が描かれています
なんぜんじ
南禅寺
臨済宗南禅寺派の大本山である「南禅寺」は、正応4(1291)年、亀山法皇が無関普門禅師(大明国師)を開山に迎えて創建されました。室町時代には五山制度において「五山之上」の最高の寺格に位置づけられた「南禅寺」。その広い境内には歴史的建築や庭園が数多く残されており、見どころも豊富。なかでも高さ約22mを誇る三門は、「天下竜門」とも称され、日本三大門の一つに数えられます。また、法堂は法要を行う中心伽藍で、現在の建物は明治42(1909)年に再建されたもの。堂内には釈迦如来を中心に両脇に文殊菩薩・普賢両菩薩の三尊像が安置され、天井には今尾景年による「蟠龍図(ばんりゅうず)」が描かれています。夏の朝、青もみじに包まれた境内では涼やかな時間が過ごせます。

南禅寺:境内奥にある本坊から入り、大方丈(国宝)へと進みます。現在の方丈は慶長16(1611)年に御所の建物が下賜されたもので、小堀遠州の作と伝わる庭園や、桃山前期の狩野派絵師筆による障壁画(復元)を見ることができます

南禅寺:南側にはフォトスポットとしても人気の琵琶湖疏水の一部である「水路閣」があります。現在も使用されており、水が流れる音が聞こえてきます。瑞々しい青紅葉との共演は必見です
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区南禅寺福地町地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「蹴上」駅より徒歩約8分 |
URL | |
参拝時間 | 【12月~2月】8:40-16:30、【3月~11月】8:40-17:00 |
休日 | 12月28日~31日 |
拝観料 | 「方丈庭園(一般)」600円、「三門(一般)」600円 |
爽やかな一杯と甘い余韻を京町家で味わう

ブルーボトルコーヒー 京都カフェ:夏季限定メニューの「ワッフルプレート レモン and バター」は10月末頃までの提供予定
ぶるーぼとるこーひー きょうとかふぇ
ブルーボトルコーヒー 京都カフェ
南禅寺の参道に佇む「ブルーボトルコーヒー 京都カフェ」では、朝のひとときにぴったりのドリンクや軽食が揃い、夏季限定メニューも楽しめます。焼きたてのリエージュ ワッフルに、はちみつとケーンシュガーでやさしい甘さに仕上げたレモンコンフィをのせた「ワッフルプレート レモン and バター」は爽やかな味わい。皮までやわらかいレモンコンフィと好相性の別添えのハニーバターソースはお好みで。また、ブルーボトルコーヒーのシグネチャードリンク「ノラ」シリーズには、毎年夏になると北海道・美瑛のシングルオリジンミルクアイスクリームを浮かべた「ノラ フロート」などの限定ドリンクが登場します。今年はバレンシアオレンジの風味を加えた「オレンジクリーム ノラ」などの新作も発売予定。静かな京都の朝に、季節の味わいで心がほぐれるようなカフェタイムはいかがでしょうか。

photo Takumi Ota
ブルーボトルコーヒー 京都カフェ:築100年を超える京町家をリノベーションした木の温もりある空間。大きな窓から差し込む日の光に包まれる夏の朝のスタートに立ち寄りたくなる一軒です

photo Takumi Ota
ブルーボトルコーヒー 京都カフェ:手前の建物ではコーヒー豆やグッズの販売も。奥がカフェエリアになっていて、ドリンクやスイーツをはじめブランチプレートなどのフードメニューも充実しています
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区南禅寺草川町64地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「蹴上」駅より徒歩約6分 |
URL | |
営業日 | 月曜日~日曜日 9:00-18:00 |
休業日 | 年中無休 |
料金 | 「ワッフルプレート レモン and バター」891円(税込)、「ノラ フロート」750円(税込)、「オレンジクリーム ノラ」750円(税込) |
京都の発展を支えた水の道を学ぶ

琵琶湖疏水記念館:普段目にすることのない水力発電や舟運のしくみを模型などでわかりやすく展示
びわこそすいきねんかん
琵琶湖疏水記念館
琵琶湖疏水竣工100周年を記念して1989年に開館した「琵琶湖疏水記念館」は、琵琶湖から京都へ水を引いた明治期の大事業・琵琶湖疏水にまつわる博物館。館内では、設計を担った技術者の仕事や、水力発電・舟運のしくみを、模型など体感型の展示でわかりやすく紹介。2回のリニューアルを重ね、初めての方でも楽しみながら学べる展示空間になっています。2025年には24か所の疏水関連施設が重要文化財に、そのうち5か所が国宝に指定されるなど、あらためて注目を集めています。現在も上水道や発電などに使われている、近現代の京都の発展を支える水のしくみ。蹴上インクラインなど周辺の関連施設とあわせて巡るという「フィールドミュージアム」としての楽しみ方ができるのも、この場所ならではの魅力です。

琵琶湖疏水記念館:模型や資料パネルだけでなく、約9分間の映像や琵琶湖疏水ができるまでを漫画にまとめたものなど、小学生でもわかりやすいようにと様々な形の展示で構成されています

琵琶湖疏水記念館:今年リニューアルされたエントランス部分にある1階テラスなども含めてすべて入館無料。毎年秋ごろには特別展も開催されるので、訪れるたびに新たな発見があります
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区南禅寺草川町17地図 |
アクセス | 地下鉄東西線「蹴上」駅より徒歩約7分 |
電話番号 | 075-752-2530 |
URL | |
時間 | 火曜日~日曜日 9:00-17:00 ※入館16:30まで、ドラム工場の見学時間は16:00まで |
休日 | 月曜日、12月29日~1月3日 ※月曜日が祝日・休日の場合は翌平日休館、気象状況等により休館や入場制限の場合あり |
入館料 | 無料 |
水の流れと歩む歴史が息づく美しい庭園

©植彌加藤造園
無鄰菴:東山を借景として庭の中心を通る小川が母屋に向かって流れるよう設計された庭園。室内からも鑑賞できる
むりんあん
無鄰菴
明治27年(1894)から29年(1896)に、元老・山縣有朋が造営した別荘「無鄰菴」は、母屋・洋館・茶室が建ち、庭園と一体となった構成が特徴です。庭を手がけたのは、近代日本を代表する作庭家・七代目小川治兵衛。有朋の意向に沿って東山を借景とし、里山の風景や自然な水の流れを写し取る、写実的で動きのある表現が取り入れられました。芝生の広がりや渓流、三段の滝など、立体的で開放的な構成も見どころのひとつです。庭園を流れる水は、当時開通した琵琶湖疏水から引かれており、有朋は政治家としてその整備に関わるとともに、自らの別荘にもいち早く取り入れました。近代日本庭園の先駆けといわれる庭園で過ごす、夏の朝のひとときは格別です。

©植彌加藤造園
無鄰菴:母屋の1階にある庭園を臨むカフェスペースは、山縣有朋が庭を眺めた当時のままの空間が残されています。冷たいお抹茶をはじめ、ジュースやビールなどでのどを潤しつつ、往時に思いを馳せてみてはいかがでしょうか

©植彌加藤造園
無鄰菴:明治36年には山縣有朋、伊藤博文らが集い、日露戦争開戦前の外交方針を協議する「無鄰菴会議」が敷地内の洋館で開かれました。現在は1階で庭園についての展示が、2階でこの会議室を見学可能。(※2025年8月現在、洋館2階の障壁画は修復中。一部が取り外されています)
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区南禅寺草川町31地図 |
アクセス | 地下鉄東西線 「蹴上」駅より徒歩約7分 |
電話番号 | 075-771-3909 |
URL | |
時間 | 【4月~9月】9:00-18:00/【10月~3月】9:00-17:00 ※最終入場は、各閉場時間の30分前まで |
休日 | 12月29日~31日 |
料金 | 「通常入場料」600円、「繁忙日入場料」900円(4/1-4/13、4/26-6/1)、1,000円(10/11-10/19、11/1-11/14)、1,500円(11/15-12/7) |

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