京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を見る 更新日:2025.09.04
窓からの美景を楽しむ

提供元:源光庵
源光庵:元禄7(1694)年に建立された本堂に並ぶ、鶴亀庭園を臨む「悟りの窓」と「迷いの窓」
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。


まだ暑さが残る仲秋の京都旅の目的地には、ひと息つけるような美しい窓辺の風景はいかがでしょうか。庭園や自然など周囲の景色が、窓というフレームに美しく切り取られるスポットをご紹介します。屋内にいながら、季節の移ろいやその土地ならではの表情に触れられるような京都時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
京都の混雑状況(2025年7月28日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。
禅の教えと心を映す二つの窓

提供元:源光庵
源光庵:本堂に並ぶ、禅と円通の⼼を表す円型の「悟りの窓」と、⼈間の⽣涯を象徴する角型の「迷いの窓」。紅葉シーズンには秋色に染まる。
げんこうあん
源光庵
洛北の自然に囲まれた鷹峯エリアにある「源光庵」は、貞和2(1346)年に臨済宗大徳寺2代・徹翁国師によって開創。元禄7(1694)年以降は曹洞宗寺院となり、同年に建立された本堂に並ぶ円型の「悟りの窓」と角型の「迷いの窓」でも知られています。円型は「禅と円通」の心、円は大宇宙を表現。角型は「人間の生涯」を象徴し、生老病死の四苦八苦を表しています。窓の先には鶴亀庭園が広がり、窓枠によって切り取られた四季折々の景色が臨めます。また、本堂の天井には、伏見城の戦いで命を落とした武士たちを供養する「血天井」が使われており、戦国時代の物語が今に受け継がれています。日常から少し離れた場所で、自分の心と向き合う豊かなひとときをぜひ。

源光庵:書院から臨む「鶴亀庭園」は、紅葉シーズンには庭園全体が紅に染まり、青々とした苔や植栽と紅葉とのコラボレーションが見事です。鶴に見立てた樹木と、亀を模した亀石組もお見逃しなく

提供元:源光庵
源光庵:参拝者を迎える山門。元禄7(1694)年に源光庵の住持となり、曹洞宗の中興の祖とも称される卍⼭道⽩禅師が、42年の歳月をかけて実現した宗統復古を讃えた「復古禅林」の扁額が掲げられています
基本情報 | |
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所在地 | 京都市北区鷹峯北鷹峯町47地図 |
アクセス | 市バス北1・6号系統「鷹峯源光庵前」より徒歩約1分 |
電話番号 | 075-492-1858 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00(16:30受付終了) |
休日 | 年中無休 ※寺の行事がある時には、終日または臨時に拝観中止の場合あり |
拝観料 | 400円(紅葉時期は500円) |
大原の奥座敷で4つの庭景色に時を忘れる

提供元:宝泉院
宝泉院:近江富士をかたどる樹齢700年の五葉松。京都市指定の天然記念物で京都市内にある3つの著名な松の一つにも数えられる
ほうせんいん
宝泉院
平安時代末期に勝林院の僧坊として創建された「宝泉院」。江戸中期に再建された書院の廊下の天井は伏見城の遺構で、戦国時代のさむらいの血の跡が残る「血天井」としても有名です。屋内に入るとまず目を引くのが「鶴亀庭園」。池を鶴、築山を亀、山茶花の古木を蓬莱山に見立てた構成で、部屋の格子ごしに眺める設計になっています。さらに奥へ進むと「盤桓園(ばんかんえん)」が現れます。客殿の柱や鴨居を額縁に見立て、庭全体を一幅の絵のように切り取る構図。樹齢700年の五葉松をはじめ、枯山水や竹林、大原の山々を借景にした風景が奥行きを生み出します。「盤桓」とは“立ち去りがたい”の意。その名の通り、時の流れを忘れるような眺めに、心がゆっくりほどける時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

宝泉院:庭園「宝楽園」は、2005年に新たに作られた回遊式枯山水庭園。「仏神岩組雲海流水花庭」とも呼ばれ、太古の創世と原初の海を表現。石鳥居など独自の造形も見どころです

宝泉院:拝観料にはお抹茶と「若狭屋」オリジナルのお菓子も付いており、「盤桓園」を臨む客殿でいただけます。拝観時間の制限などもないので、好きな場所に座ってじっくりと味わってください
基本情報 | |
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所在地 | 京都市左京区大原勝林院町187番地地図 |
アクセス | 京都バス「大原」より徒歩約15分 |
電話番号 | 075-744-2409 |
URL | |
時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00 ※受付終了16:30、閉門17:00 |
休日 | 1月3日のみ要問い合わせ |
料金 | 大人900円(茶菓付) |
大山崎の風景と建築が響き合う美術館

提供元:アサヒグループ大山崎山荘美術館
アサヒグループ大山崎山荘美術館:天王山南麓に建つ山荘の2階に設けられた喫茶室からは庭園の風景や大山崎の雄大な自然が望める(写真はテラス席)
あさひぐるーぷおおやまざきさんそうびじゅつかん
アサヒグループ大山崎山荘美術館
京都駅からJR京都線で約15分、京都市の南西に位置する自然豊かな大山崎エリアの高台にある「アサヒグループ大山崎山荘美術館」。大正元(1912)年に実業家・加賀正太郎氏が建設を始めた英国風の山荘を修復し、平成8(1996)年には安藤忠雄氏設計の新館「地中の宝石箱」などを加えて開館しました。約5500坪の庭園に囲まれ、歴史的建築と自然が調和する美術館です。館内には外の風景を取り込むように窓やテラスが設けられており、作品とともに周囲の自然を感じられるのも魅力のひとつ。展示では、朝日麦酒株式会社・初代社長の山本爲三郎が支援した、民藝運動にまつわる作品などが観賞できます。アート、建築、そして風景を同時に味わえる特別な場所に、少し足を伸ばして訪れてみてはいかがでしょうか。

提供元:アサヒグループ大山崎山荘美術館
アサヒグループ大山崎山荘美術館:本館2階の喫茶室では飲み物とケーキ類を提供。テラス席からは四季折々の表情を見せる庭園の風景とともに、木津川・宇治川・桂川の三つの川と対岸の男山などの雄大な景色が望めます

提供元:アサヒグループ大山崎山荘美術館
アサヒグループ大山崎山荘美術館:安藤忠雄氏設計の「地中の宝石箱」(地中館)では、モネの《睡蓮》連作が常設展示されています。地中館と本館をつなぐガラス張りの階段通路からは、周囲の木々や睡蓮池が楽しめます
基本情報 | |
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所在地 | 京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3地図 |
アクセス | JR「山崎」・阪急「大山崎」駅より各徒歩約10分 |
電話番号 | 075-957-3123(総合案内) |
URL | |
時間 | 火曜日~日曜日 10:00-17:00 ※入館は16:30まで |
休日 | 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、臨時休館、年末年始 |
入館料 | 「一般」企画展ごとに異なる、「高校・大学生」700円(税込)、「障がい者手帳をお持ちの方」500円(税込)※付添者1名まで無料 |
明治の意匠が今も息づく現役の洋館庁舎

京都府庁 旧本館:正面玄関を入った先にあるのが凝った意匠の大階段と中庭を臨む大きな窓
きょうとふちょうきゅうほんかん
京都府庁 旧本館
明治37(1904)年に竣工した「京都府庁 旧本館」はレンガ造の洋館で、現在も執務に使われている現役の官公庁建築としては日本最古のもの。国の重要文化財にも指定され、創建当時の姿を今にとどめています。正面玄関の先にある大階段は、大理石の手すりが美しい堂々たる造りで、ドラマや映画のロケ地としてもたびたび登場。踊り場の大きな窓からは中庭を見渡せ、初秋には色づき始めた木々が風情を添えます。また、館内2階の旧知事室や正庁、館内1階の旧議場などの由緒ある部屋は、一般公開日に無料で見学可能。2023年7月に館内1階にオープンしたカフェ「salon de 1904」では、アンティークな空間で珈琲やスイーツ、ランチなどを楽しめ、建物の魅力をゆったりと味わえます。

京都府庁 旧本館:旧本館は京都守護職上屋敷の跡地に建てられました。ルネサンス様式を基調とし、正面屋根を中心に左右対称に張り出した特徴的な外観。正面中央に特に意匠が凝らされています

京都府庁 旧本館:旧議場は1969年まで実際に府議会が開かれていた場所です。竣工110周年の2014年に明治創建時の姿に修復。アーチ型のデザインや高い天井が当時の面影を感じさせます
基本情報 | |
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所在地 | 京都市上京区薮ノ内町地図 |
アクセス | 地下鉄烏丸線「丸太町」駅より徒歩約10分、市バス10・93・202・204系統「文化庁前・府庁前」より徒歩約5分 |
電話番号 | 075-414-5432 |
URL | |
時間 | 火曜日~金曜日、土曜日(第1週、第3週、第5週)10:00-17:00 ※京都府の事業等により見学できない場合があります。 |
休日 | 月曜日、日曜日、土曜日(第2週、第4週)、祝日及び年末年始 |
料金 | 見学無料 |
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