京都在住の私がすすめる「京のまち歩き」
京都を見る 更新日:2025.11.06
晩秋に愛でたい紅葉絨毯
常寂光寺:平安時代から貴族が山荘を構える景勝地として知られる小倉山中腹にある常寂光寺では、境内一円の石畳を散りもみじが染める
※掲載した内容は全て取材時点での情報であり、現在の内容と異なる場合があります。

京都の晩秋は、足元に広がる景色が主役。石段や苔庭に散り重なる葉が赤や橙の絨毯となり、歩くたびに表情を変えます。木々を見上げる紅葉とはひと味ちがう、秋の終わりにこそ堪能できる特別な紅葉狩りへ出かけてみませんか。
京都の混雑状況(2025年9月29日現在) ※現地取材スタッフの主観に基づく取材時の混雑状況です。
悲恋の物語が静かに眠る紅の苔庭
提供元:祇王寺
祇王寺:しっとりとした苔庭を彩り、奥嵯峨に秋の深まりを知らせる散りもみじ
ぎおうじ
祇王寺
嵐山をさらに北に進んだ奥嵯峨にあり『平家物語』にも登場する「祇王寺」は、平清盛の寵愛を受けた白拍子・祇王が、妹の祇女と母の刀自とともに出家し、静かに暮らした地として知られます。もとは平安後期に法然の門弟・良鎮が開いた「往生院」の一角で、広い寺域を占めていましたが、後年は荒廃。ささやかな尼寺として残り、やがて「祇王寺」と呼ばれるようになりました。苔に覆われた境内の秋、紅に染まるモミジが彩りを添えます。見頃を迎える頃には、葉が色づくだけでなく、落葉が苔庭に降り積もる散りもみじの美しさが際立ちます。苔庭全体が赤や橙の葉に覆われ、緑とのコントラストが一面に広がる景観はこの時期ならでは。竹林に囲まれた境内で、足元から深まる秋を満喫できます。
提提供元:祇王寺
祇王寺:草庵の控えの間にある丸窓は「吉野窓」と呼ばれ、境内の緑葉を通して差し込む光が障子に色彩を映すことから「虹の窓」とも。季節ごとに移ろう色と光が室内に美しい陰影をもたらします
提供元:祇王寺
祇王寺:竹林を抜けて草庵へ向かう途中にある歌碑には、『平家物語』にも登場する祇王が清盛のもとを去る際に屋敷の襖に書き付けたと伝わる歌が刻まれています
| 基本情報 | |
|---|---|
| 所在地 | 京都市右京区嵯峨鳥居本小坂町32地図 |
| アクセス | JR「嵯峨嵐山」駅より徒歩約25分、市バス11・28・85・93号系統「嵯峨小学校前」より徒歩約17分 |
| 電話番号 | 075-861-3574 |
| URL | |
| 時間 | 月曜日~日曜日9:00-16:30(受付終了)※16:50まで参拝可能 |
| 休日 | 1月1日 |
| 料金 | 「参拝料」大人300円、こども(小中高)100円 |
極楽の名を持つ古刹に満ちる秋
提供元:真如堂
真如堂:例年11月中旬から見頃を迎える紅葉。本堂裏に現れる真紅の散りもみじの絨毯が晩秋のハイライト
しんしょうごくらくじ(しんにょどう)
真正極楽寺(真如堂)
桜・紅葉の名所として知られる「真正極楽寺」、通称「真如堂」は平安時代に戒算上人が比叡山から阿弥陀如来像を遷したことにはじまる、由緒ある天台宗の寺院です。本堂のことを「真如堂」と呼んでいた名残が、いつしか寺全体の名として親しまれるようになりました。享保2(1717)年に再建された現在の本堂正面には「真如堂」の大額が掲げられています。本尊の阿弥陀如来は「うなずきの弥陀」とも呼ばれ、やさしくうなずくような面差しで、特に女性の信仰を集めてきました。紅葉が色づき始める11月15日には毎年本尊の御開帳が行われ、多くの参拝者でにぎわいます。本堂裏に散りもみじの絨毯が広がると、紅葉もそろそろ終わりを迎えます。
提供元:真如堂
真如堂:文化14(1817)年に再建された本瓦葺の三重塔は、高さ約30mを誇る真如堂のシンボル。秋には色づくモミジに包まれるように佇み、写真映えする一景として親しまれています
真如堂:元禄8(1695)年に完成した朱色の総門を抜け本堂へと向かう参道では、色づいた葉が苔や石畳に積もり重なる風景を見ることができます
| 基本情報 | |
|---|---|
| 所在地 | 京都市左京区浄土寺真如町82地図 |
| アクセス | 市バス5・32・93・203・204号系統ほか「錦林車庫前」より徒歩約8分 |
| 電話番号 | 075-771-0915 |
| URL | |
| 時間 | 月曜日~日曜日 9:00-16:00(受付15:45まで)※行事などのために拝観を休止、または制限する場合あり |
| 休日 | 第2日曜日庭園拝観休止(8・11月は通常拝観)、11月15日庭園拝観休止 ※公式HPにて随時更新 |
| 料金 | 「通常期拝観料」大人500円、高校生300円「特別拝観料(秋季)」大人800円、高校生500円 ※秋季(観経曼荼羅・宝物特別公開)11月1日~12月7日、中学校以下無料 |
紅と黄色が彩る小倉山の伽藍と石畳
提供元:常寂光寺
常寂光寺:平安の昔より人々に親しまれる小倉山。境内一円が紅葉と銀杏に染まりゆく光景は、古の風雅を今に伝える秋の名場面
じょうじゃっこうじ
常寂光寺
平安時代から貴族が山荘を構える景勝地として知られ、紅葉と鹿の名所として親しまれてきた小倉山。その中腹に佇む日蓮宗の寺院「常寂光寺」は、慶長年間(1596-1614)、大本山本圀寺第16世・究竟院日禛上人により開創されました。本堂は戦国武将・小早川秀秋の助力を受け、伏見桃山城の客殿を移築して造営されたものです。秋には境内が一面の紅葉に染まり、歴史ある伽藍と鮮やかな彩りが調和します。また、寛永18(1641)年建立の鐘楼と紅葉の共演も見どころの一つ。さらに横に延びる末吉坂など、石畳や階段には落葉が積もり、散りもみじが足元を鮮やかに染め上げます。嵐山の賑わいから少し離れ、秋の深まりを静かに堪能できる名刹です。
提供元:常寂光寺
常寂光寺:寛永年間に建立された多宝塔は重要文化財で、秋には紅葉に包まれる姿が美しい姿を見ることができます。展望台からは嵯峨野や京都市街、比叡山まで望む絶景が広がります
常寂光寺:貞和年間(1345-1350)に建立され元和2(1616)年に移築された仁王門は、境内最古の建物で茅葺屋根がその特徴。運慶作と伝わる仁王像は目と足腰の病にご利益があるとされます
| 基本情報 | |
|---|---|
| 所在地 | 京都市右京区嵯峨小倉山小倉町3地図 |
| アクセス | JR「嵯峨嵐山」駅より徒歩約15分、市バス11・28・85・93号系統「嵯峨小学校前」より徒歩約12分 |
| 電話番号 | 075-861-0435 |
| URL | |
| 時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00(16:30受付終了) |
| 休日 | 年中無休 |
| 料金 | 「拝観料(一般)」500円 |
歴史と格式を彩る門跡寺院の紅葉路
提供元:毘沙門堂
毘沙門堂:勅使門へと続く石段参道は真っ赤なトンネルが現れ、散り際には一面の敷き紅葉が広がる絶景スポット
びしゃもんどうもんぜき
毘沙門堂門跡
七福神の毘沙門天をご本尊とする「毘沙門堂門跡」は、山科にある天台宗の門跡寺院。起こりは飛鳥時代、文武天皇の勅願により行基が開いたと伝わり、寛文5(1665)年に現在の地で再興されました。ご本尊は伝教大師最澄が比叡山で三尊仏を彫った際の余材から刻んだと伝わる毘沙門天像。江戸時代に後西天皇の皇子・公弁法親王が入寺したことで、天台宗京都五箇室門跡のひとつに数えられるようになりました。秋になると勅使門前の石段参道を紅葉トンネルが覆い、散り際には「敷き紅葉」となり一面が赤に染まります。朱塗りの仁王門や後西天皇ゆかりの宸殿を背景に彩るモミジは、華やぎから侘びた景色へと表情を変え、訪れる人を惹きつけます。
提供元:毘沙門堂
毘沙門堂:弁天堂の周辺は、鮮やかなドウダンツツジとモミジが織りなす彩りが見どころ。紅葉が深まる頃(11月23日10:30~)には「もみじ祭」が催され、境内では奉納演奏や演舞が披露されます
提供元:毘沙門堂
毘沙門堂:江戸初期に作庭された回遊式庭園「晩翠園」には、「心」の裏文字をかたどった池があり、周囲の草木が紅葉し水面に散る落葉が風情を添えます
| 基本情報 | |
|---|---|
| 所在地 | 京都市山科区安朱稲荷山町18番地地図 |
| アクセス | JR「山科」駅・地下鉄東西線「山科」駅・京阪「山科」駅より各徒歩約20分 |
| 電話番号 | 075-581-0328 |
| URL | |
| 時間 | 月曜日~日曜日 9:00-17:00(16:30受付終了)※冬季(12月1日~2月末日)9:00-16:30(16:00受付終了) |
| 休日 | 年中無休 |
| 料金 | 「入山拝観料」一般700円、高校生400円 小・中学生300円 |
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